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時々疎かになる

何かに夢中になったとき、
例えばそれが仕事だったとき、
誰かに夢中になったとき、
例えば心を奪われて一日中あの子のことを思うとき、

とても大事なことをいつも頭の隅に追いやって忘れてしまうことがある。

常識、モラル、思いやり。

全てが自分軸に書き換えられて、見えている風景まで歪んで認識いていることがある。

例えば鏡に映る顔。
眉毛が濃い。
整える。
僕の目に映る目元はとても涼しく凛々しい。

試しに嫌いな自撮りをやってみる。

そこに映った自分の眉毛は驚くほどまだまだ濃い。

例えば他者に対する思いやり。
踏切で立ち往生している年配の方がいる。
荷物を持って一緒に渡る。

その人は今しがたようやくこちら側に踏切を渡ってきたばかりだったのに。

例えば好きな人に会う。
とても楽しい時間が流れる。
その人の笑顔を見て、少なくとも嫌な思いはしていないと思う。

別れ際の笑顔が今日一番の笑顔だった。

そこに至って、話している最中に小さなため息をたくさんついていたことに気がつく。

自身の神経症も疑った。
そうであったら、それであったら、
そこまで他人にかけた迷惑が帳消しになるかもしれないと踏んだからだ。

色々考えて負を伴う思考のループにハマる。

この時に必ず思い起こす。

また大事なことを疎かにしてしまったのではないかと。
きっとクヨクヨ考えているのだろう。

しかし、ネガティブな考えは現実の世界に良いことなど一つも呼び込まない。

不運と思うものの9割は自分の思考が呼び込んで実現したものだと聞いたことがある。

ともあれ、考え方がネガティブなものから離れないのであれば、
せめて口から出てくる言葉だけでも、
目に映る世界のことだけでも前向きに捉えようと考える。

そう考えた日の夜は必ず濃い眉毛を整える。

すっきりした目元に満足して顔を洗う。
鏡に映る僕はとても涼しい目元で笑っている。
常識もモラルも思いやりもちゃんと性根に据えて行動できる。

今朝も踏切を渡る年配の方を助けることができた。

今夜のデートも、あの子が好きな町中華にしよう。
僕もそこはお気に入りだ。

そういえば昨日のメッセージの返事が遅いな。

迷惑かもしれないけど連絡してみるか。

僕はSNSのDMに”今日どうする?”と打ち込んだ。




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