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【SNK】己私我拙者問題【SNK】

 みなさんには自分の価値観が大きく揺らいだ経験はあるだろうか?
 ぼくはあった、つい先日!
 その日ぼくは某おるすたくんをプレイしていた。そこで特に意味もなく登場してきた如月影二が――ひどいいいようだが、実際ここで影二が登場する意味は本当になかった――自分のことを「我」といっていたのである。

この3人を『スト6』コラボであえて登場させる意味とは……?

 なのでぼくは反射的に、
「影二の一人称は拙者だろ」
 と思ったのだが、よくよく考えれば、影二は本家『龍虎』には『2』にしか登場していない。リョウロバユリキンタクマほどではないにしても、もはや『KOF』での客演のほうが圧倒的に回数をこなしている。つまり『KOF』でのほうが発言量は多いといえよう。
 ……ということで、影二が客演してきた『95』と『XI』、『98UM』のムックや動画をひもといて調べてみたところ、恐るべき事実にぶち当たった。

 前提として、本家『龍虎2』での影二は自分のことを「拙者」と称している。「我が如月流こそ――」などということはあっても、基本的に一人称は「拙者」。
 で、『龍虎2』の翌年に発売された『95』では、チームストーリー、ボス戦前のデモ、勝利メッセージなどで「私」と「我」が混在しているが、「拙者」は使われていない。おそらく当時のスタッフが『龍虎2』を参照しなかったため、こうしたぶれが生じたのだろう(憶測)。
 続いて『XI』では、チームストーリーやエンディングで一人称を使っている場面はないものの、勝利メッセージでは自分のことを「我」といっている。影二たちアンチ極限流チームは、ストーリーもエンディングも全体的にコミカルで、影二のメッセージも「〜なり!」のような、やや時代がかったセリフを多用する傾向があるのが少し気になるが、とにかくここでも、本家で使われていた「拙者」の出番はない。
 それでは『98UM』ではどうだったか。無印『98』と同じく、『UM』にもストーリーやチームエンディングはないが、ゲーム中の勝利メッセージでは「我」という一人称が使用されている。やはりここでも「拙者」の出る幕はなかった。

 …………。

 なぜ誰も「拙者」を使わない!? もう少し本家を尊重しろ! 特に、今でも一番露出の多そうな『98UM』のテキスト担当スタッフ! 貴様は『龍虎2』で遊んだことがないのか!? 猛省しろ!

 ハァハァハァ……あぁあ。

 ……いや、ぼくが本当にいいたかったのはこんなことではない。ぼくがぶち当たった(というか今になって思い出した)恐るべき事実というのは、『95』のストーリーで、あの八神庵が、
「つまらん真似をしよって……」
 などというおじさん臭いセリフ回しをしていたことなのである。
 は? 「つまらん真似をしよってからに……プンスカ」みたいなぼやきなの、これ? つかもうこれ庵じゃなくて柴舟のセリフじゃん!
 まあ、人間の手で生み出されたキャラクターも、時間経過によって徐々に変化していくのはある意味当然のことだと判っているのだが、庵の場合はそのスタンスが変わらないことが魅力のひとつで、初登場時から未来永劫、死ぬまであのままでいてほしいと思うファン心理のせいか、誕生直後のまだ今ひとつキャラが固まっていない時期の「つまらん真似をしよって……」はあまりに破壊力がありすぎた。破壊力がありすぎて、そのせいできっときょうまでそのことを忘れていたのだろう。

 だから、ぼくが以下のことを忘れていたのも仕方のないことだった。
 影二は無印の『98』には参戦していなかったので、勝利メッセージも『98UM』に追加参戦した際、当時のスタッフによって作成されたわけだが、動画などを漁っていてそのスタッフが判明。
 猛省すべきはこの人です。

そうだ、ぼくが参加してないリメイク作品は『98UM』じゃなく『94REBOUT』だった……。

 ……自分でやった仕事をホントに素で忘れてたんだけど、たぶんその時のぼくは、影二の本来の一人称は「拙者」だと理解した上で、テキスト分量の多かった『XI』に合わせて、たぶんこっちも「拙者」ではなく「我」にしたのではないかと……たぶん。たぶんね。

 というわけで、長い歴史を持つキャラクターの人称がぶれるのはよくあることなので、そこにいちいちツッコミを入れるのは野暮というもの。ゲームはあくまでも純粋な気持ちで楽しむべきだという、教訓に満ちたお話
 ぼくも今後は広い心でおるすたくんをプレイすることにして、よほどひどいアレでないかぎりツッコミは入れないようにする。

でもまあこういう前科のあるゲームだからな……。このレベルだとツッコミ入れたくなる。

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