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【SNK】コラボ解説07【キミヒロ】

 というわけで、『龍虎』コラボの続き。

 Mr.BIGにスカウトを受けた(けど断固拒絶した)キングの情報によれば、Mr.BIGは廃工場をアジトとして、怪人たちを集めて自分の軍団を着々と作り上げているという。
 ただ、これまでみなのんたちが戦ってきたオロチやミヅキといった敵は、見るからに人間ではない形而上的な存在だが、対してMr.BIGはあくまでも人間である。この世界でも、通常の犯罪は警察の管轄で、ヒーローが出動を要請されるのは怪人による犯罪だけらしい。現実的、人間的な悪への対処に不慣れなみなのんたちは、敵がギャングと聞いて戸惑いを覚えていた。とはいえ、Mr.BIGが怪人と手を組んでいる以上は、やはりヒーローたちが出動しなければならない。
 そこで不動老師は、学園の1年生全員に出動命令を下す。1年生の総力を挙げて廃工場に集まった怪人たちを撃破し、その上でみなのんたちには、彼らを束ねるMr.BIGの捕縛を命じるのだった。
 ちなみに、ヒーロー学園には2年生や3年生もいるのだが(リムルルやあかりが所属する中等部もあるらしい)、ストーリー上ではほとんど出てこない。1年生と上級生たちの間にどういう差があるのかも、残念ながら最後まで描かれることはなかった(というか、年度が変わってもみなのんたちが進級している描写自体がなかった)。

 Mr.BIGが相手なら自分たちも出向かざるをえない、というリョウロバキングらといっしょに廃工場へ向かうみなのんたち。クラスメイトたちに怪人たちの相手を頼み、Mr.BIGのもとへとたどり着いたみなのんたちだったが、彼らを迎え撃つMr.BIGは秘策を用意していた。リョウの妹であるユリが人質として捕らわれていたのである。
 Mr.BIGはリョウとロバートに対し、自分の部下となって邪魔なヒーローたちを始末するよう迫るが、この窮地を救ったのは天狗の面をかぶった謎の格闘家、Mr.KARATEであった。
 人質という切り札を失ったMr.BIGは、みなのんたちの活躍と、リョウロバの双星龍虎乱舞(『NBC』で二代目KARATE&ロバートが使うダブルアサルトね)の前に敗北する。だが、この束の間の勝利すらもある男の計画の一部にすぎなかった。

 学園のヒーローたちが廃工場に集中している隙を狙ったかのように、街の各所に怪人たちが現れ、組織的な破壊活動を開始する。その後ろで糸を引いていたのは、若き悪の天才、ギース・ハワードであった。
 Mr.BIG以上の手腕で怪人たちを組織化し、忠実な軍団としたギースは、誰に聞くでもなくここが異世界だということに気づいており、怪人たちの能力を利用して、この世界に悪の帝国を築き上げようとしていた。
 それを阻止するため、ギースのもとへとやってきた『龍虎』勢+ヒーローたち。しかしみなのんたちは、目の前にいる金髪ロン毛の青年がギースだと聞いて驚愕する。彼らが知るギースは、『餓狼』コラボの時に出会った40代の渋いギースだからである。

以前みなのんたちが出会ったギース・ハワードはこれ。渋いね!
でも今回出会ったギースはこっち。バズソー!

 そこでみなのんは、これもまたパラレルワールドのせいなのだとすぐさま気づいた。テリーたちのいた『餓狼』世界とリョウたちのいた『龍虎』世界が別モノだと考えればこの違いにも説明がつく。
 とはいえ、ギースを倒して怪人たちを止めなければならないことに変わりはない。みなのんたちは力を合わせ、ギースを撃退することに成功する。ただ、ギース自身はまだ余力を残しており、まんまとその場から逃げ出してしまうのだった(補足すると、逮捕されたはずのMr.BIGもいつの間にか脱獄していて、のちのちタコヤキ怪人たちと悪事をはたらいていたりする)。

 最終盤、あらためてこの世界の制覇を心に期する若ギースの前に渋ギースが現れる。渋ギースは若ギースに対し、さまざまな世界から力のある者たちを呼び寄せる大いなる意志の存在を示唆し、それらは宿命の糸に結ばれているのだと語る。『龍虎2』までの人生経験しかない若ギースは、それでもなお未来のギースに向かって、自分こそがすべての上に君臨する支配者たらんと豪語するのだった。

 ……という具合に、このコラボのラストは年齢の違うふたりのギースの邂逅で幕を閉じる。こういうところが『キミヒロ』展開の楽しいところ。そして、ここでもうお気づきのかたもいるかもしれないが、『餓狼3』直前のギースがこの世界に飛ばされてきて、元の世界に戻ることなくここに定着してしまったということは、原作での2度目のビル落ちが発生しないということになるわけで――。
 渋ギース、若ギース、テリー、それにロックも交えたキャラ同士の関係性には今後も要注目である。

 ここまで『KOF』、『餓狼』、『サムスピ』、『月華』、そして『龍虎』と、メインの格ゲータイトルとのコラボを立て続けに展開してきた『キミヒロ』が送り出す、次なるコラボとは――?

まあ、夏だからね!

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