![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/129777980/rectangle_large_type_2_a39fbd6e6e92d8e0def3c81da523f039.png?width=1200)
【SNK】テリマリはべり【餓狼】
2月4日はタクマ・サカザキの誕生日――には違いないが、今回は同日生まれのマリー・ライアンさんの話。例によって個人的な感想まみれ。
そもそもぼくと彼女の(ゲームではなく仕事での)馴れ初めは、1995年の春のこと。
そうそう、ちょうどこの頃。この記事で触れたZ文庫と並行して、ぼくは『餓狼伝説3の謎』という本にライターのひとりとして参加していた。初めてたずさわったSNK関連の本ということで、個人的にも思い入れはかなり強い一冊である。
で、ぼくがこの本の中で担当したキャラというのが、ボブ、山崎、秦兄弟、そしてほかならぬブルー・マリーだった。……今にして思うと、なかなかいいキャラばっかり引いたな。
公式ストーリーを読むかぎり、エージェントになる以前のマリーは、明るくて可愛い少女という印象を受ける。幼い頃から父の手ほどきを受け、格闘技経験は積んでいたはずだが、その一方で周囲からよくドレスをプレゼントされていたということは、やはりそういう服装が似合うフェミニンな雰囲気の、ほがらかでよく笑う少女だったのだろう。……まあ、恋人ブッチと出会った時点で20歳だったらしいが。
しかし、彼女がコマンドサンボを学ぶきっかけでもあったブッチと、さらに父までを同時に失うという悲劇を経験したマリーは、笑顔を見せないクールな女性に変貌を遂げた。
公式では、そんな氷の女マリーに変化をもたらしたのは、彼女がサウスタウンで出会ったすごくバカな(でも純粋で強い意志を持っている)男たちということになっている。これはほぼ間違いなく、テリー&愉快な仲間たちのことを指しているのだろう。とはいえ、実際にマリーと特に絡みがあるのはテリーくらいなので、この際アンディとジョー&その他大勢は無視してもいいと思う。
マリーの場合は祖父の仇、テリーの場合は義父の仇と、ギースとの関係性では似ているように見える両者だが、マリーにはテリーのように仇討ちに執着している描写はない。明言されていないものの、おそらくマリーは、祖父である周防辰巳と会ったことがなく、それゆえにギースを祖父の仇として強く意識することがないのかもしれない。もしくは、プロ意識がそうした個人的な感情を抑え込んでいるかのどちらかだろう。
いずれにしても、「ギースが仇」という共通点が、マリーとテリーの距離感を詰めるのに大きな役割を果たしたとは思えない。むしろ、唐突かつ理不尽に大切な人を失った哀しい過去を持つという共通項のほうが、ふたりがおたがいを意識し合うきっかけとしては大きかったのではないか。
ただ、そういう前提があるにしても、マリーのほうから積極的にテリーにアプローチはしなかっただろう。なぜならマリーは、自分はプロだと強く意識し、つねにクールにふるまおうとしているはずだからである。
事実、『3』以降の勝利メッセージやエンディングを見ると、テリーのほうからマリーに声をかけ、ふたりで出かけたりしている(そしてそれを見てジョーがやっかむ)。
![](https://assets.st-note.com/img/1707026326412-RtXhTHDebH.png?width=1200)
復讐に身を捧げてきたにもかかわらず、テリーは陰に籠もらず陽気で前向きな性格をしているし、自分自身が深い哀しみを知っているからこそ、他者の哀しみにも理解をしめすことができる(とぼくは思っている)。そんな天性の明るさと懐の深さを持ったテリーなら、変に湿っぽい空気にさせることなく、さりげなくマリーの哀しみに寄り添うこともできるような気がするし、そういうところが、かたくなに閉ざされていた彼女の心に少しずつ変化をもたらしたのだろう。
『KOF』に活躍の舞台を移してからも、マリーとテリーの関係は友達以上恋人未満という印象で、アテナ&ケンスウよりはマシだがロバ&ユリほどは進んでいないように見える。
テリーはともかく、マリーのほうは過去に恋人のブッチと死別していることから、積極的に新しい恋人を作る気にならないのかもしれないが、マリーの仕事をたびたびテリーが手伝うようなやり取りもあり、両者の間にはかなり深い信頼関係が築かれていることが窺える。
![](https://assets.st-note.com/img/1707027539390-fFyrB8kgI0.png?width=1200)
先日、紅ちづ大好き! と宣言したばかりのぼくだが、テリマリもまた大好物である。ただ、そこを強く推したい心と、これまた自分勝手にふたりの関係を推し進めるようなThe 私物化をやらかしすぎるのもなあ……という自制心との葛藤の狭間でできあがったのが、『MIA』でのマリーの参戦ストーリー、【相棒】である。
かつて危険と隣合わせの職業に就いていた父と恋人を同時に亡くしたマリーが、同業者であるセスとの対話を通じ、家族や親しい人間とどう折り合いをつけて生きていくべきなのかを考える――というようなショートストーリーだが、最後は結局テリマリ!
そう……テリマリは世界を救うのです(あくまでもぼくの個人的な意見です)。