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【SNK】我唯知足【SNK】
2022年2月。
予定よりやや遅れたとはいえ、無事に『KOF XV』が発売された。あれから約9か月がたち、来年以降も継続してDLCが配信されることがすでにアナウンスされている。
だが。それではそのあとはどうなるのか。
考えてみてほしい。『XIV』発売から『XV』発売まで、たっぷり6年かかったのである(正確には5年半くらいだが)。次回作の『XVI』にも、前作と同程度の開発期間が必要になるかもしれない。というか、今回でシュンエイを主人公としたエピソードが完結したということは、次回作からまた新章スタートということもありえるわけで、となれば、さらに長い開発期間が必要になる可能性もありえるだろう。2018年に発売された『SNKヒロインズ』も2019年発売の『令サム』も、すでにDLCの配信が終了し、22年11月現在、続編のウワサもまったく聞こえてこない(一応、『令サム』はSwitch版をハブったロールバック方式の実装が発表されているが)。
また、『餓狼』の新作についても夏に発表があったものの、具体的にいつリリースされるというような情報は出ていない。ネオジオ時代の作品はすべてアケアカでリリースされており、ネオジオ64やアトミスウェイブ以降の作品がアケアカに来るという話もない。
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そう考えてみると、今の時点で確定している来年の新しいお楽しみは、『XV』に追加される真吾とキムだけということになる。
これはいったいどういうことだ? 新時代のSNKには財団Xの潤沢な謎資金が投入されるのではなかったのか? 目黒の一等地に東京開発部をオープンして開発力をアップさせたのではないのか? いつになったらぼくは新しいエサ(=新規タイトルに関する情報)にありつける!? 風よ、雲よ、太陽よ、心あらば教えてくれ!
明け方、近所迷惑も考えずに朝日に向かって叫んでいたぼくの心に、その時、神の声が聞こえてきた。
「うれしのふよ……12年前を思い出すのです。そうすればおまえの心は救われるでしょう……」
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おお、我が心の女神よ……!
ぼくはその啓示にしたがい、12年前――2010年を思い返してみた。
2010年といえば、世界的にいうと「コンボイ死す!」の年だが、SNK的にいえばアーケード版『XIII』稼働開始の年である。この後は家庭用への移植やらアケへの逆移植やらモバイル版やらあれこれと出るには出たが、結局はすべて『XIII』のバージョン違いであり、2016年に『XIV』が発売されるまで完全新作は出なかった。
同様に『サムスピ』シリーズも、2019年の『令サム』発売まで、2008年稼働の『閃サム』がずっと最新作だった。『餓狼』、『龍虎』、『月華』、そしてかの『風雲』シリーズなどについても、最新作にして(あくまで現時点での)最終作は20世紀末に出てそれっきりである。
他方、地味にシリーズをかさねてきた『メタスラ』は、ナンバリングとしての最新作は2008年にDSで発売された『7』となっており、これ以降は完全にソシャゲ路線になってしまった感がある。
総じて見るに、2010年以降、これらの主要タイトル以外に発売されたタイトルとなると、おそらくだが、あとはもう各種パチスロシミュレーターくらいしかない。『DOM』やら『どき魔女』やらといったDSタイトル群は、これよりもさらに前なのである。
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要するに、大雑把にいってしまえば、SNKは2010年の『XIII』から2016年の『XIV』まで、新作と呼べるゲームを発売していない。ならどうやって企業として食っていたのかといえば、まあ、パチスロ+過去作の移植だったわけだが。
「どうですか、うれしのふ。あの暗黒の6年間、おまえはほぼ『XIII』と過去の記憶だけを心の糧として生き長らえてきたのです。ならば来年以降の6年間も、『XV』を糧として乗り切れるとは思いませんか?」
「そ、それは……理屈では確かにそうかもしれませんが、ですが女神さま、本当にその後の6年で新作が出るって保証はあるんですか?」
「…………」
「何その沈黙?」
「……うれしのふ。今こそあなたのこの言葉を送りましょう。我、ただ足るを――」
「足らねえよ」