【GAME】石の中にいない【etc.】
最近、『Wizardry』で遊んでいる。据え置き機とかSteamで遊べる『五つの試練』ではなく、ソシャゲの『Wizardry Variants Daphne』のほうね。
ぼくの『Wiz』歴というのは大したことがなく、初めてエンディングを見たのは――というほどエンディングが明確に存在するシリーズではないけど――FC版の『Ⅱ』だったと思う。一応『Ⅰ』もやっていたが、『Ⅲ』はほとんど遊んでいない。ぼくが一番遊んでいたのはGB版『外伝Ⅱ』である。トライアスとかデリュージャンとか、かっちょいい東洋系のモンスターが出てくるやつな。
本編の『Ⅳ』以降のシリーズや、あちこちのメーカーが版権を借りて作ったものについては、「ほほう……?」と思うことはあっても、わざわざ手を出すまではいかなかった。南米っぽさを感じさせる『DIMGUIL』だけはちょっとやりたかったが、確かあの頃のぼくは、空いている時間のすべてを『ペルソナ2』にそそぎ込んでいたような気がするので、それでスルーしたのだろう。そのあとは子育て始まったしなあ……。
そんなこんなでひさびさの『Wiz』。まあ、いいか悪いかでいうのは気が早いのだが、たぶん開発体制は悪い。間違いない。リリース直後から不具合多発できちんと遊べなかったり何だりと、ごたついたまま1か月が経過したのにまだふつうに遊べない。あっちを直せばこっちに不具合が、こっちを直せばそっちにまた不具合が、みたいな感じか。
ふつうなら、こんなソシャゲはあっという間に過疎って半年後にはサ終の運命をたどるところだろうが(ぼくもそういうゲームの仕事をしたことがあるし)、なぜか『Daphne』は文句をいわれながらも何だかんだで遊ばれているようで、ジャンル的な地味さのわりには売上も悪くはないらしい。本当のところはよく判らんけど。
肝心のゲームの中身については、3人✕2列の6人パーティー構成でダンジョンにもぐり、宝箱から出てきたアイテムを地上に持ち帰って鑑定して、宿屋に泊まってレベルアップして――という『Wiz』伝統? 基本? の部分は健在。ハリトだのラツモフィスだのといった、「それは何語だい?」的な呪文などにも『Wiz』らしさを感じた。
ただ、各所にソシャゲらしさと現代風のリニューアル(?)がほどこされてもいて、たとえば初代の頃は、特に決まった主人公は存在せず、5つの種族、4つの基本職、3つの属性の組み合わせで自由にキャラクターを作り出してパーティー編成するという形だったが、『Daphne』には何やら特別な出自を持った主人公が設定されており、冒険のすべては彼から見た主観で描かれることになる(それゆえに、主人公自身の姿は見えない)。
また、ともに冒険する仲間たちも、主人公がなぜか所持している、時間を巻き戻す特殊能力「逆転の右手」を使い、「命を落とした過去の冒険者をその遺骸から再生させる」という形で増やしていくことになる。ソシャゲらしいというのはまずここの部分で、冒険者の遺骸を入手するためのもっとも楽な方法が課金なのである。
もちろん無課金でも入手できなくはないが、哀しいかな、冒険者にもランクというものが存在する。
もっともランクが高いのが、「稀なる遺骸」から復活させられる伝説の冒険者で、いわゆる期間限定ガチャでしか排出の可能性がない(現時点で2名実装されている)。ゲーム中でそういう表記はされていないが、まあ、URみたいなもんである。
それに次ぐのが、同じく伝説の冒険者と分類されてはいるものの、恒常ガチャからでもわりと出てくる連中。現時点では6人実装ずみ。いってみればSSRランクか。
さらにその下に来るのが、一般の冒険者というあまり誇れない肩書がついた冒険者たち。一応SR? くらい?
そしてもっともレア度が低く、いわばただのRみたいなあつかいなのが無名の冒険者たち。固有の名前を持たず、「名もなき人間戦士」とか「名もなき獣人女盗賊」とかいう名前で復活してくる過去の亡霊どもである。一応どの冒険者も、ギルドに登録する際に自分で名前をつけられるのだが、あとからは変更できないので、うっかりしていると、「おーい、名もなき人間戦士さん!」さんなどと呼ばれ続ける第二の人生を送るはめになる。
でまあ、いわなくとも察せられるとは思うが、やはりUR冒険者たちは金をかけなければ手に入りにくいようになっている。無課金でも排出の確率はゼロではないのだが、課金して入手すると、なぜかカシナートの剣がおまけでついてきたりもする。ファンタジー世界においてもマネーイズパワーなのであろう。
ちなみに、戦闘で命を落とした冒険者は基本的に寺院送りとなり、莫大な寄付と引き換えに蘇生させてもらえるが、これまた伝統の、確率によって灰になるシステムがちゃんと存在していて、灰からの蘇生に失敗すると完全に消滅する。するわけだが、ここでもリアルマネーが幅を利かせており、サブスクによって1日2回まで蘇生の成功率が100パーセントになる。どうやらここでは金の力>神の恩寵という法則が成り立つらしい。
そんな『Daphne』だが、難易度高すぎないか? と思いつつも、ついつい遊んでしまう。課金パワーだけでは難易度が下がらないという作りもいいし、まったく明るい未来が見えない世界観、気づいたらいろんなところにいるコザキユースケのキャラデザもいい。登場する女性キャラの大半が病んでいるところも好ましい。要するに、トータルで見てぼくはかなりこのゲームが気に入っている。
なので、せめてストレスなくプレイさせてほしい。ストレスがかかるのは難易度だけでいい。時間経過で水位が上昇して魔法が使えなくなるようなダンジョンで「通信中…」とかいってしばらく移動不可になるとか、テクスチャが剥がれてダンジョン内が真っ暗になるとか、そういうのはさすがにもう勘弁な!