
【SNK】パチスロ時代【MI】
最近のファンはもはや知らないのかもしれないが、今のSNKがSNKプレイモアだった頃、そのメイン事業はパチスロ開発だった。年間にリリースされる新作ゲームより新作パチスロのほうが数が多く、しかもゲームでは滅多におこなわない発表会をパチスロの新作ではまめにおこなっていたのだから、これは誰が何といおうとパチスロが主力であろう。
こうしてSNKのゲームの大半はパチスロになってホールへと送り出されていった。まあ、『風雲』シリーズはパチスロ化されていないが。
そんな中、『MI』ももちろんパチスロになっている。当時の『KOF』本編がオール2Dで、パチスロ演出のためには映像を新規で製作しなければならなかったのに対し、まがりなりにも『MI』は3Dモデルを使用した作品なので、そのぶん、演出用の映像を作るためのハードルは低い。流用できるボイスも豊富だし。まあ、アルバやソワレが街中をてくてく歩くシーンを新規に製作されたからといって、さあどうですか!? と問われても困るわけだが。
で、である。
このパチスロ作品、実はぼくもかかわっている。すべてが『MI』から流用されたわけではなく、ビッグボーナス演出の際に流れる専用BGMなどは新規で製作したのだが、これがボーカル入りの曲になっていて、ぼくにその作詞の仕事が回ってきた。別段、ぼくに『MI』関連の仕事は断らないというポリシーがあったわけではなく、当時は契約的なアレで、字を書く仕事はとりあえずあいつに振っとけ、みたいな? そんな流れで回ってきたのである。何なら『餓狼』のパチスロの仕事もしたしな。
とにかくそんな感じで作詞をすることになったのだが、ひとつ大きな問題があった。
ぼくには音楽的な才能がまるでないのである!

などと悩んだのもほんの一瞬のこと。依頼の話をよく聞いてみると、演出用のボーカル曲は、全体の雰囲気も考えて英語の歌詞にするとのこと。で、さすがにぼくに英語で歌詞を書かせるのはいくら何でもハードル高いんじゃね? ということで、ぼくが作った日本語の歌詞をネイティブの人が英語の歌詞にしてくれるらしい。
「え? じゃあぼくの音楽センスゼロの歌詞も、翻訳の段階で何となくマイルドにいい感じになるんじゃ……?」
という期待込みでテキトーに熟考した歌詞をアルバ用とソワレ用に1曲ぶんずつ作成し、無事納入の運びとなった。
もっとも、ぼくはパチスロをまったくやらない人間だし、いわゆるシミュレーターとしてもリリースされていない台なので、この2曲がどういうふうに使われていたのかはついぞ確認できなかった。
ただ、10年ほど前に発売された『スロキャラファンブック』というムックに、実際に使用された英語の歌詞が掲載されている。さらにこのムックにはCDが付録としてついていて、くだんの2曲も収録されているので、手もとにあるというかたは確認してつかぁさい。『ROF』でもお馴染みの「みこし音頭」も収録されているぞ!

ちなみにぼくのお勧めは、『球児』のテーマソングです。