見出し画像

【SNK】テリニキ【餓狼】

 最近では『KOF XV』のVTRトリオの一角、陽気な火力ゴリラとして認識されつつあるテリー・ボガードだが、いうまでもなく彼は『KOF』出身ではなく、かといって『スマブラ』出身というわけでもない。そう、『餓狼伝説』出身のキャラクターである。
『餓狼伝説』の完全新作がリリースされなくなって久しいが、それでもテリーが京だの庵だのナコルルだのを差し置いて『スマブラ』参戦を果たしたのは、やはりテリーの抜群の知名度のおかげだろう。そしてまた『スマブラ』で知名度をアップさせ、『XV』に堂々帰還を果たした感があるわけだが、それはそれとして。

『RB餓狼伝説』でギースが死んだあと、ストーリー的には、おそらくテリーはロックを連れてサウスタウンを離れ、『餓狼MotW』であらたなKOFの招待状を受け取るまで放浪の旅を続けていたのだろう。当然、放浪中のロックが学校に通っていたとは思えない。というか、10歳の時に養父であるジェフがギースに殺されたのを契機に修行の旅に出たテリー自身、たぶんまともに学校に通ったことがないに違いない。
 何という負の連鎖か……などというと、何だかテリーとロックの暮らしがやたら極貧な、毎度のように『KOF』で揶揄されてきたサカザキ一家のそれよりヒドいものに思えてこなくもないわけだが、実際のところ、テリー(&ロック)の放浪生活は、定住していないということに目をつぶれば、それなりに充実していたと思われる。
 その証左となるものが、DC版『餓狼MotW』の取扱説明書である。「なぜ取説?」と思う人もいるかもしれないが、『MotW』の取説には、「デイリー・セカンドサウスの記者ケイン・ゴールドマンによるレポート」という体裁で、登場キャラクターの紹介文が掲載されており、そこに『MotW』時点でのテリーたちの暮らしを垣間見ることができるのである。
 ちなみにデイリー・セカンドサウスというのは、『MotW』の舞台となるセカンドサウスの地方紙だと思われる。『MIA』のアーケード版ロケテスト時には、開発スタッフが実際にデイリー・セカンドサウスの号外を作り、ロケテスト参加者に無料配布したこともある(読みたい人は『MIR』のムック捜してたもれ。縮刷版が載ってるから)。

 閑話休題。
 その取説にある紹介文によれば、ギースの死後、テリーは各地の格闘技の大会に出場して全米にその名をとどろかせ、テレビや映画に出演したり、講演活動やボランティアなどをおこなっているという。ボランティアはともかく、ほかの3つは明らかにギャラが発生する経済活動であろう。つまりこの時代のテリーは、格闘家と俳優、タレント、文化人と、草鞋を何足も履いていることになる。どう考えても金持ってるじゃん!
 ごく短い紹介文ではあるのだが、『MotW』の続編がリリースされなかったため、35歳になったテリーがどんな暮らしをしているのか、その手掛かりとなるものはこれしかない。『MI2』で35歳のテリーがワイルドウルフという名前で登場した際も、キャラクターストーリーはおのずとこれに準拠しており、やはり講演活動やエッセイ執筆などで生活費を稼ぎつつ、一方では、自分の放浪生活につき合わせてしまっているロックのことで、将来の悩みをかかえる父親的な横顔を見せている。
 うっかりすると我が子の将来で悩むどころか結婚すらままならないこの時代に、何とぜいたくな奴!

 ハァハァハァ……あぁあ……。
 ……いや、いいんだ、きみがしあわせなら。

まあ、今は35歳でゲームばっかりして暮らしてる人もいるし、多少はね?

 いろいろなところで目にするスタッフインタビューなどでは、『餓狼』の続編をもう一度やりたいという声も聞こえてくるので、もしかするとさらにお年を召したテリーに出会うこともあるのかもしれないが、個人的には、老後のテリーには、中古のトレーラーハウスなんかでのんびり暮らしていてほしいな、と思うのである。

いいなと思ったら応援しよう!