【SNK】ネームレスと我が品性【KOF】
ネームレスとイゾルデ、という並びにピンと来ない人にはまったく無縁のお話なので、いろいろと細かい説明はスッ飛ばして語る。
以前、Twitterか何かで、ネームレスの設定を固めていく過程について呟いたことがあるのだが(新キャラの名前はK0774にしようとかイゾルデにしようとかそういう話)、そういうテキスト関連の作業をしている段階では、もちろんこちらはネームレスのデザインがどうなるかは判っていない。確認は取ってないのであやふやなところはあるものの、おそらく、ネームレスの細かい設定にSNKがGOサインを出したあと、それをもとにヒロアキさんがイラストを描く、みたいな順番で完成したんだと思う、たぶん、おそらく。
要するにぼくは、ネームレスの設定やストーリーをひねってはいても、それがどういうビジュアルのキャラに仕上がるのか、実際に知るのはわりとあとになってからということになる。なので、文字として設定していない部分については、のちのち目にして初めて「カッコよすぎない、これ!?」と驚くことも多い。たとえばあの二色になってる髪色とか、軽くガッチャマンぽいボロボロのマントとか。
今回こうして書いているのは、そういう、こちらの作業とビジュアル的な作業の間に生じるタイムラグによって、はからずもぼくがぼくという人間の本質に直面させられた話である。
みなさんご存じのように、ネームレスとイゾルデの出会いというのは、単純にいえば患者とナースである。ネム公が患者でイゾルデさんがナース。このあたりのストーリーを書いている時点では、上述したように、まだぼくはヒロアキさんのイラストを見ていない。
見てはいないが、ただ、それでもぼくの中にはぼやっとしたイメージはある。
「ネームレスはこんなカンジだといいなあ、イゾルデはこんな子だといいなあ」
とか妄想しながら作業をしている。実際のビジュアルを見て驚くというのは、そういう妄想の中のイメージを超えたカッコいいものが上がってくるからである。特にヒロアキさんは、『2001』のノベライズでお任せしたイラストや、某『EX2』でのキャラデザインの時にも、
「もー! あんた可愛い子を描くのは苦手っていってたくせに、この子可愛いじゃん! ウソツキ!」
みたいなプラスの裏切りを見せてくれたので、ぼくはこの時にもそういうものを妄想していた。
そしてこの時、ぼくがおもに妄想していたのは、実はネームレスではなくイゾルデのほうだった。なぜかというと、ネームレスの場合、いかにもネスツっぽいバトルスーツ系のコスチューム+白いカスタムグローブというのは確定だったので、デザインの自由度ではイゾルデのほうがずっと大きかったからである。イゾルデは「何となくクーラを思わせる少女」くらいの縛りしかなかったしね。
ところが、実際にイゾルデのデザインを見た瞬間、ぼくはぼく自身のアレさ加減を見せつけられたような気がしてひとり赤面してしまった。これまたご存じの通り、イゾルデはクーラの私服を思わせるワンピ姿でお目見えしたわけだが、これを目にするまで、ぼくは勝手に、
「ふゥ……ヒロアキさん、どんなエッチなSFナースを描いてくれるんだろうなあ……」
などと妄想していたのである。
いや、ぼくを白い目で見る前に、みんなよく考えてみてほしい。ネームレスとイゾルデの出会いは、負傷したネームレスを救護班所属のイゾルデが助ける、みたいなシチュエーションなのである。ネームレスがバトルスーツ姿なら、当然、イゾルデはナース服だろう!? 救護班の制服!? そんなものは知らん!
しかも、出会いの舞台は地球を遠く離れた火星の衛星ダイモスにあるネスツの基地、つまりSF! SFでナースとくれば、てらてらした光沢のある、身体にぴっちり張りつく謎素材のミニスカワンピだろ!? ノースリーブならなおよし! みんなもそう思うよな? 思うだろ、なあ!? そういうデザインの美少女キャラを期待するのは自然な流れ、自然の宴だろ!?
ハァハァハァ……あぁあ……。
結局、同じテキストから、ヒロアキさんはああいう清楚なイゾルデ像をイメージし、対してぼくはぬるぬるてらてらしたSFナース服に身を包んだイゾルデ像をイメージしたということである。つまり、最終的に何がいいたいかというと――。
……多様性のすばらしさ?