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【SNK】旧正月【SNK】
2024年の旧正月は2月10日だそうである。
ということで、今回は旧正月にちなんで(?)タン先生の話。フゥ〜ッ、雑な導入〜ッ! 『餓狼SP』でのぼくの持ちキャラでもあるね、うん!
知っている人は知っているかもしれないが(逆に『KOF XIV』で入ってきた若いファンのかたはよく知らないかもしれないが)、タン先生のタン・フー・ルーという名前は偽名である。初代の時点ですでに本名は不明ということになっていた。
で、このあたりの公式設定が今どうなっているのかイマイチはっきりしないのだが、少なくとも『餓狼』シリーズがコンスタントにリリースされていた頃は、おそらくアニメでの設定のフィードバックを受けて、
「もともと本名不詳のタン先生(仮名)は、自分の正体を伏せたままギースに近づくため、そして愛弟子ジェフの息子たちの成長を見守るため、タン・フー・ルーという名の太極拳使いとしてKOFに参戦した」
みたいな感じになっていた気がする。……まあ、武侠小説には本名不詳でアダ名でしか呼ばれない武術の達人なんてゴロゴロしてるから、まあこのへんはいい。
そしてこれも初代の頃には、タン・フー・ルーという名前は「好物の茶たまご(タンフールー)をもじって名づけた」という設定になっていた。事実、タン先生の好物は茶たまごである。中国ではポピュラーな食べ物で、日本人に判りやすくいうと……煮たまご? ゆでたまごをお茶などで煮込んだものらしい。
とにかく要するに、初代では「茶たまごが好きなじいさんキャラの名前を中国語で茶たまごを意味するタン・フー・ルーにした」わけなのだが、ここでひとつ大きな間違いが生じていた。実際に中国で食べられている茶たまごはチャータンとかチャーイエダンとか呼ばれており、タンフールーというのはまったく別の食べ物のことなのである。
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本来のタンフールーは、俗にサンザシ飴などと呼ばれる中国のお菓子のことで、漢字で「糖葫芦」と書く。かつてのタン先生の中国語表記も糖葫芦だとされていたが、ここはたぶん、当時のスタッフの勘違いから生じたミスなのだろう。ちなみにぼくも四半世紀くらい昔、ちょうど旧正月の時期に九州へ旅行に行って、長崎の中華街でタンフールーを食べたことがあるのだが、まあ……うん。甘酸っぱいね、うんうん。
現在ではタン先生の中国名は「唐福禄」となっている。めっちゃめでたい名前。ネイティブからすれば発音は少し変わっているのかもしれないが、日本人からすれば結局はタン・フールーである。
本来の『餓狼』シリーズでのタン先生は、自分の弟子だったギースがジェフを殺害し、暗黒街の帝王にまで登り詰めたことに師匠としての責任を感じたことから、あらたに弟子は取らず生涯現役をつらぬくと決意している。『NBC』でも同様で、若い連中を鍛えてやるか、的なノリで参戦しているものの、弟子が増えた様子はない。『KOF』ではシュンエイや明天君もタン門下に加わっているし、明天君がアンディを兄弟子と呼んでいることから、アンディも弟子あつかいになっているようだが、あくまでも本道である『餓狼』の世界では、タン先生の弟子はジェフ、ギース、チンの3人と、のちに唯一の例外として迎えたテリーの4人だけということになっているらしい。
ただ、グラフィックのみの表示でテキスト情報のいっさいない『RB』や『RB2』のエンディングでは、秦兄弟を指導していると思われる姿も描かれており、実際のところはよく判らない。……というか、『NBC』では、この兄弟はタン先生のことを、老いぼれとか邪魔だとか、さんざんにいっているのだが……。
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あいにくと『MotW』には未登場だったが、もし健在ならこの時点でタン先生はおそらく82歳。年齢表記がまだあった頃の『KOF』でのチン・ゲンサイが89歳だったので、タン先生もまだまだ行ける年齢といえよう。
だがしかし、いかに尊敬すべき先達とはいえ、『XIV』での庵に対する「この状況(京との関係)を楽しんどるでしょ?」的な発言を、ぼくはいまだに認めていない。あれは完全にタン先生の認識が間違っている(ここで頑迷なぼくが出現)。
確かにタン先生は、本家『餓狼』シリーズでこそ、大会としてのKOFにたびたび参戦している。がしかし、『KOF』シリーズにかぎれば、『XIV』のただ一度しか参戦していない(家庭用『XI』はノーカンな)。つまり、タン先生が庵や京と対面したのはこの時が初めてだと思われる。両者の関係うんぬんも自分の目で確認したことは一度もなく、誰かからの伝聞でしか聞いたことがなかったであろう。
にもかかわらず、庵と京の深い関係性を、初対面でいきなり「トムジェリ乙!」などと断じるとは、タン先生ともあろうおかたが、何と軽率で嘆かわしい真似を……。
そもそも、タン先生にこのふたりの話を伝えているのが誰なのかと考えたら、ンなもん確実に、
「拳で殴り合えばみんな判り合える! あいつらも何だかんだで心の底ではたがいを認め合ってるんですよ! 俺には判る! HAHAHA! ホットドッグうめえ!」
みたいなことをいっていそうな陽気なアメリカンだろうし、その時点でその情報には、無責任で楽観的すぎるバイアスがかかっていることにタン先生は早く気づくべきだと思う。そしてそのあやまちを正した上で、今後リリースされる『餓狼CotW』に登場していただきたい。
何だかんだで使うので!