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【SNK】ごめんなさい【侍魂】
おそらくぼくにかぎらず、海外の映画に日本人や日本の風景などが登場した際、「こんな日本人いねーよ!」とか「日本のどこだよ!?」と思った人は多いと思う。
そしておそらくアメリカのゲームファンたちは『サムスピ』をプレイしながら、「こんなアメリカ人いねーよ!」とか「アメリカのどこだよ!?」と思ったかもしれない。
本当にごめんなさい。
『サムスピ』的ガバガバ時空における史実との乖離は非常にはなはだしい。特によくいわれるのは、ガルフォードの経歴詐称である。
自称・アメリカン忍者のこの青いイナズマくんは、初代『サムスピ』でのプロフィールによれば、1768年にアメリカのサンフランシスコで誕生したということになっている。が、この時点で大きな嘘をついている。正義のヒーローなのに。
そもそもアメリカ合衆国という国がイギリスから独立を果たして正式に建国されたのは、1783年のことである。つまり、ガルフォードが生まれた時にはアメリカ合衆国は存在しておらず、それ以前に独立戦争すら始まっていない。何しろボストンティーパーティーの5年も前なのである。
では1768年当時のサンフランシスコはどうなっていたのかというと、アメリカ領でもなければメキシコ領、スペイン領でもない。おそらくだが、この頃のサンフランシスコのあたりには、ふつうにネイティブアメリカンの人々が住んでいたのだろう。旧大陸からやってきたスペイン人たちがサンフランシスコに入植するのはガルフォードが生まれたあと、1769年のことらしい。
その後、1821年にメキシコがスペインからの独立を勝ち取り、サンフランシスコもメキシコの一部となる。サンフランシスコがアメリカ領となるのはもっと時代が下った1848年のことで、日本史的にはペリーの浦賀来航の5年前、もはや幕末である。サンフランシスコという地名ができたのも、実はこの頃のことだった。
とまあこのように、「1768年にアメリカのサンフランシスコで生まれたガルフォード」という短い文章の中には、いくつもの嘘が含まれているのである。また、『ポリサム』以降『令サム』リリースまで、ガルフォードの出身地は「サンフランシスコ・ヒーローシティー」という、ジパングシティ並みにフィクション臭い場所とされ、嘘に磨きがかけられていた(もし実際にヒーローシティーという街があったら本当にすまん)。
同様のことは、ガルフォードと同じアメリカン忍者に分類されるアースクェイクにも当てはまる。
初代でのアースクェイクはアメリカ・テキサス出身となっているが、彼が生まれた1759年当時、テキサスはスペイン植民地の一部であり、サンフランシスコと同じくメキシコの独立と同時にその領土となったあと、テキサス共和国として独立する。
テキサスがアメリカに併合されるのは1845年のことで、そういうことを考えると、ガルフォードもアースクェイクも生まれとしてはアメリカン忍者ではなく、しいていうならスパニッシュ忍者なのである。
初代の頃はネットも発達しておらず、日本各地のファンの反応を知ることさえ難しかったため、いわんや海外ファンの反応をや、というところなのだが、とりあえず、今作ればおそらくこんなツッコミどころ満載の設定にはならないだろう。
ただ、もしアメリカン歴オタゲーマーがこんな設定を目にしたら、「ありえねー!」と叫んだかもしれない。本当にすまんな。
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