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木登りする人のできるまで。
ツリーイングは、自然の木を使って楽しむ新しいアウトドアレジャーです。背の高い木に架けたロープと、ツリーハーネスと呼ばれる安全ベルトにぶら下がって木を登ることで、木の上の世界を体感できます。
子どもは二人とも父親に似てしまい体も小さく、消極的で泣き虫で、お世辞にも「スポーツできそうだね~」とか言われる要素はまったくありませんでした。そんな息子を見て、何かと仕事を理由に一緒に遊んでこなかったことや、父親としてサボっていたことを実は後悔していました。
「お父さんカッコイイ!」とか言われたかった下心
「残念な父親をなんとか挽回したい…」と考えていた頃、とある自然の家で”親子自然体験キャンプ”という数種類の自然体験ができる企画がありました。仕事ばかりで、休みの日にはなんとなくダラダラするか、妻にせがまれてショッピングセンターで人ごみにまみれる程度の休日しか過ごしていなかったこともあり、反省の意味も込めて息子と参加したのです。
参加するにあたり、一つだけ心に決めたことがあります。
それは、「子どもが一番気に入った自然体験をまたさせてあげよう。そして休みの日には子どもがお気に入りの自然体験をさせてあげよう…。」
ちょっとだけ「お父さんカッコイイ!」とか言われたかった下心もあり、うっかり口を滑らせて息子と約束してしまいました。
参加した親子自然体験キャンプでは、火起こし体験・ネイチャークラフト・林道サイクリング・ツリーイング(木登り)…と、様々な自然体験をすることができました。息子は外で遊ぶのは苦手なんだろうな…と思っていましたが、意外にも目をキラキラさせながら全プログラムを満喫することができました。息子に勝手な思い込みをしていたことを反省しながらも、一緒に体験したことをアレコレ話す…そんな帰り道、「いろいろ体験した中で、どれが一番気に入った?」と子どもに聞くと、「木登りが楽しかった~!またできるんよな?約束したもんな!」と元気良く返事が返ってきたのです。
「えぇ!?木登り~?」
正直焦りました。よりによって一番ハードルが高そうなモノを子どもが気に入ってしまったのです。
家に帰ってさっそくネットで調べてみると、そんなにたくさん木登りイベントをしていないこと、実施場所が遠くて気軽に参加できる…というわけには行かないことが分かりました。私の隣では「また木登り出来る~!」と楽しみにしている息子と今回参加できなかった娘が目を輝かせながら期待しています…そこで自然の家に問い合わせ、当日お世話になったインストラクターさんをご紹介いただきました。そして、「子どもとまた木登りさせてあげると約束しちゃったので、近くでイベントを実施する際にはぜひ教えてもらえないか?」という内容のメールをインストラクターさんに送ると、意外な返事が返ってきました。
そのインストラクターさんからのお返事は、”しばらく近くでイベント実施の予定がない”ということ、”一般参加型のイベントができる場所が無い”という事情とともにお詫びの内容をいただきました。ガッカリしながらメールを読み進め、最後の一文にこう書いてありました。
「何ならお父さん自身が(木登り)出来るようになったらいいんじゃないですか?」
え、マジっすか?それ以前に私にも出来るようになるの?頭の中に「?」がグルグルしてさっぱり想像がつきませんでした。妻に話せば一蹴されるのは明らかなので、あえて子どもに聞いてみます。
僕:「父さん、木登り出来るようになったらどう思う?」
子ども:「すげぇ!カッコイイ~!」
…この一言で決まりです。
そこからはインストラクターさんに連絡を取り、直近で認定講座の日程を教えていただき、無事に木登りの技術を教えていただくことが出来ました。こうして木登り父さんが生まれました。