【質問】代金引換 代引きの受け取り拒否の対応方法と対策を知りたい
ネットショップを運営していると、一度は経験がある人も多いのが「代金引換」で注文されたお客様が、受け取り拒否によって商品を受け取らず、商品がショップに返送されてきてしまうというケースです。
今回は、ネットショップ運営歴15年以上の現役ネットショップ店長が、代金引換・代引きでの発送の際の受け取り拒否の対応方法、対策方法を過去の経験をご紹介しながらご説明いたします。
受け取り拒否で困っておられるネットショップ担当者の方の参考となれば幸いです。
ECサイトにおける代金引換・代引きとは?
代金引換とは、荷物をお客様にお届けする際に、その代金を回収して、契約者(発送者)に振り込む決済を兼ねた配達方法のことです。
代金引換は、一般的には「代引き」という名称で使われる事がありますが、物流各社が代引きでの発送に対応しています。
ECサイトにおける代金引換としては、代金引換を利用する為には、指定の物流会社との事前契約が必要となります。
代金引換は、ネット通販においても、クレジットカードを所有しないユーザーでもネットショッピングが利用できるメリットがあります。
その反面、ネット通販事業者としては、決済手続き前の商品発送となるため、お客様が商品を受け取り拒否した場合に、商品代金、および発送にかかった送料を回収できなくなるというトラブルのリスクがあります。
では、次にネット通販において、代金引換での商品発送の際に、受け取り拒否が起きる主な原因について、実際に筆者が体験した事例をもとにご説明したいと思います。
商品発送時に受け取り拒否が起きる原因
ネット通販において、発送した商品をお客様から受け取り拒否される主な原因についてご説明いたします。
ちなみに、ネットショップを運営していて、筆者がお客様からの受け取り拒否に遭った件数としては、年間で4~5件程度でした。
お客様が商品を受け取り拒否される理由で最も多いのは、実は悪意ある受け取り拒否ではなく、「不在による受取未完了」という状況が当店では一番多いという傾向がありました。
本来であれば、注文した商品をスムーズに受け取っていただければ何の問題もないのですが、お客様が急に入院されたり、最悪の場合亡くなられていたという事も実際に経験しました。
また、商品の注文を配達希望日の2カ月以上前などに設定されていたお客様が、注文したことを忘れて海外旅行や留学に行かれていたため、長期不在となってしまったケースもありました。
長期不在の場合は、宅配便事業者各社が、いったん営業所に持ち帰ってくれるのですが、それぞれの物流会社で指定された「保管期間」が定められています。
保管期限を過ぎてしまうと、発送した商品は店舗に返送されてきてしまいますが、その時に出荷時の送料と返送時の送料の両方を請求される場合があります。
物流会社の契約内容によっては、お客様が受け取られなかった場合の返送の送料はかからないという場合もありますので、そちらについては契約される物流会社に直接ご確認下さい。
お客様の長期不在が考えられる際には、メールとお電話での受け取り依頼を定期的に実施することをおすすめします。
そして、次に多い受け取り拒否の事例が「注文した覚えがない」という理由でのお客様の受け取り拒否です。
このケースには、三つのパターンが考えられますが、ひとつめは「注文者が別にいる場合」です。
当店で最も多かったのが、大学進学などで遠方に1人暮らしするお子さんの為に、お母さんが商品を注文して、お子さん宛に発送依頼するケースでした。
普通であれば、お母さんからの荷物であれば疑いなく商品を受け取るはずなのですが、この事例では配送伝票の送り主名が「ネットショップ名」になっているという場合に起きやすいケースです。
自分で注文した覚えのないショップから商品が届いた場合、大抵は不審に思い、商品の受け取りを拒否される場合が多いです。
このパターンでは、会社宛に備品を購入した際に、別部署、別営業所からの依頼だったケースでも受け取り拒否になるという事例がありました。
依頼人の名前などが送り状に書いてあれば、受け取ってもらえるケースですので、代金引換での発送時には特に送り主の項目に注意して下さい。
「注文した覚えがない」という受け取り拒否のケースとして、「定期購入通販」の注文の場合もあります。
定期購入、特に頒布会と呼ばれる、毎月異なる商品をお届けする配送方法の場合、お客様によっては「自分で注文したのは最初の商品だけ」という認識の方もおられます。
特に定期購入、リピート通販の場合、販促のために、初回無料やお試し無料といった販売戦略を採用する場合があります。
出品者としては、初回「だけ」無料の定期購入通販プランのつもりでランディングページなどに注意書きも書いていても、お客様によっては、サンプルだけ無料でもらったつもりという方もおられるのです。
リピスト やカラーミーリピート 、サブスクストア などのショッピングカートで定期購入通販を行われている方は、十分に注意して下さい。
最後のケースが最も悪質なケースなのですが、「注文したものの不要になった」「別の場所で買ったためいらない」などのお客様都合による受取拒否です。
このケースが最もトラブルになりやすいケースであり、お客様によっては、受け取り拒否が常態化しているという一種のブラックリスト入りするような人もおられます。
次に、受け取り拒否が起こった際の対処法についてご説明したいと思います。
お客様が商品を受け取り拒否された場合の対応方法
ネットショップで購入された商品を、代金引換で発送した際に、受け取り拒否された場合の対処法についていくつかのパターンをご説明したいと思います。
まず、受け取り拒否が発生した場合には、契約している配送会社のドライバーや配達員からFAXや電話などで受け取り拒否の発生が報告されます。
受け取り拒否の理由を配達員が聞いてくれている場合がほとんどですが、受け取り拒否発生の際には、まずはお客様に「メール」もしくは「電話」で状況を確認しましょう。
受け取り拒否の場合、お客様は店舗側からの受け取り依頼に対して、非常に感情的になられる場合が想定されます。
まずは事実確認をしっかりと配達員と行ったうえで、お客様の受け取り拒否の理由が正当性のある理由かどうかを確認してください。
お客様の勘違いなどで、お客様側が納得してくれれば、受け取りのお願いを行えばよいのですが、断固として受け取り拒否される場合には、お客様都合でキャンセル手続きを行う事になるでしょう。
この場合、商品代金を除く発送時の送料、返送時の送料をお客様負担で請求する事になります。
これもお客様によっては、非常に激高される方もおられる為、事実を明確にしたうえで、文書でお客様に伝える事がよいと思います。
電話になると、どうしても直接感情をぶつける相手がいるため、お客様も冷静になれないまま状況が悪化してしまう恐れがあります。
受け取り拒否が発生した際には、以下の内容をチェックして、受け取り拒否の原因を特定したうえで、対応を決めるようにしましょう。
受け取り拒否発生時のお客様への確認事項
受け取り拒否の理由は何か?(注文していない・値段が違う・必要なくなった等)
受け取り拒否はお客様都合か?店舗都合か?
お客様都合であれば受け取るか、返送かを決めてもらう(返送なら出荷時の送料と合わせて請求)
店舗都合(ミスなど)であれば、店舗側で引き取りをかける(送料も店舗負担)
お客様都合に関わらず受け取り拒否を続ける場合は、受け取り依頼と返送時の請求についてメールで伝える
悪質な場合は、利用している受注システムに「ランク」や「目立つマーク」を付け、対応履歴などに要注意であることを記載
お客様都合の受け取り拒否の場合には、ネットショップ側としては、お客様には商品を受け取ってもらうか、受け取られないまま保管期限を超過して返送された場合の送料の請求を行う事を選択してもらう事になります。
クレジットカード決済などの場合の受け取り拒否の場合は、送料分を請求して再オーソリ(再与信)を実施すれば、送料だけをクレジットカードから請求できるのですが、代金引換の場合は、請求書による銀行振り込みなどが一般的です。
当店でも過去に数件、代金引換の受け取り拒否トラブルに見舞われましたが、その時も何度もメールと電話で連絡を続け、最終的には請求書と督促状などを紙面にして郵送したことがあります。
最初は請求書と支払いのお願いを書いた文書を郵送していますが、入金期限までに支払いが無かった場合には、督促状として、法的な意味を持たせた文書を作成しました。
それでも支払われない場合は、少額訴訟となるか、店舗側の泣き寝入りとなるかという状況になりますが、楽天市場 などのショッピングモールの場合はまずは担当のECコンサルタントに相談することをおすすめします。
正直いって、商品が回収できれば送料を店舗が負担する事になるわけですが、その被害額としては1500円~2000円(大型商品の場合は高額になりますが)程度です。
1500円回収の為に、過剰なストレスを感じながら、お客様とのやり取りを行い続け、訴訟まで行うのでは割に合わないとも言えますよね。
当店でも悪質なお客様の場合は、しかるべき対応を実施した後、それでも支払われないというのであれば、約一年間くらいは電話やメールを継続的に行っていましたが、その後は、案件としてはキャンセル処理にしました。
今後このお客様に二度と関わらないように対策する事も重要な対応策です。
ネットショップでの受け取り拒否の事前対策
ネットショップで商品を代引きで発送した際の受け取り拒否について、事前にできる対策についていくつかご説明いたします。
まず、最も考えるべき対策としては、店舗における代金引換の利用率を調べる事です。
数年前に比べて、代金引換以外に後払いで支払う方法として、コンビニ決済や後払い決済などが普及している現状があります。
代金引換を利用される割合がさほど多くないのであれば、いっそのこと代金引換対応をやめてしまうというのも事前対策になると思います。
コンビニ決済や後払いでもしお客様が支払われない場合はどうなるのか?
これは、有名どころの決済サービスであれば、支払いに関する補償制度が用意されているため、お客様がもし支払いを行わなかったとしても、店舗側には商品代金はきちんと支払われます。
店舗の代わりに契約した決済サービスが、お客様への督促や請求を代行してくれるわけです。
代金引換の代わりに、後払いドットコム などの後払い決済サービスなどを導入するのも一つの方法として検討してみてはいかがでしょうか。
また、これは受け取り拒否の発生事後になる対策ですが、トラブルのあったお客様については、受注管理システム上での特筆事項やランク付け機能を使って「要注意」であることを記載しておくことをおすすめします。
楽天市場ならRMS、受注管理システムなら、各社の提供するシステムの中に、こうしたトラブルの際に対応する機能が用意されていると思います。
当店では、受注処理をごくーシステム というシステムで一元管理していますが、悪質なお客様にはランク付けと色付けで要注意としてマーキングをしています。
今後、こうしたトラブルに見舞われないように再発防止を行う事も重要な対策です。
受け取り拒否対策のまとめ
今回はネットショップにおいて、代金引換を実施している店舗なら必ず一度は経験したことがある「受け取り拒否」の発生時における対応方法などをまとめました。
代金引換は、クレジットカードを所有しない方や、法人で直接の購入をしたいという要望もあるため、決済方法として利用を希望される方はまだまだおられる便利な配送方法です。
ただし、代金引換は、お金をもらう前に商品を発送する仕組み上、お客様の受け取り拒否や長期不在による保管期限超過になった際に、送料が回収できなくなるリスクがあります。
また商品が食品などで賞味期限のあるものや、一点ずつのオーダーメイド商品の場合、商品が受け取られない事で商品自体も損失となる恐れもあります。
ご自身のネットショップの代金引換の利用率を管理画面などからデータとして把握して、数%程度であれば、いっそのこと代金引換対応をやめてしまうという選択もひとつの方法だと思います。
代わりに後払い決済やコンビニ決済など、お客様がクレジットカードをもっていなくても利用できる決済方法を追加してあげるなどのフォローがあればなおよいでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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