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私のルーツの旅【母方の祖母編】その7 拓本から文化・宝永が読み取れた話

いよいよ、光さんの実親のお墓の拓本を取る日がやってきました。この日のために、必要な道具やお墓掃除の用具を一式揃え、念入りな準備をしました。

「拓本を取ることで、家紋やご先祖様の足跡がわかるかもしれない」という期待感と少しの緊張を胸に、私は現地に向かいました。

菩提寺までの車中では、本家と住職の家紋の認識が異なっていたことも気にかかり、「本当の家紋はどちらなのだろう」と、思いを巡らせていました。


 拓本取りの準備

現地に到着すると、曇り空が広がり、今にも雨が降り出しそうなどんよりとした雲が空を覆っていました。この少し薄暗い天候も、先祖に思いを馳せるにはどこか厳かな雰囲気を醸し出しています。

まずは、菩提寺のご住職にご挨拶しました。拓本を取る許可もすでに本家から頂いていたことをご報告し、ここまでの調査経緯を簡単にお伝えします。お墓の場所は、光さんのお墓からわずか30メートルほど離れた位置にありました。

「こんな近くにご先祖様のお墓があるとは…」と、静かに驚きと感謝の気持ちを抱きながら、お墓に手を合わせました。

続いて、準備を整え、お墓掃除に取りかかります。まずは敷地内の雑草を引き、砂や苔なども水で丁寧に洗い流していきます。古いお墓のため、長年の風化で苔が乾燥して石のように固まっている部分もあり、掃除には1時間ほどかかりました。

拓本を取るための道具も確認し、いよいよ本番です。まず、拓本に必要な道具は次の通りです。

  • 拓本用紙(画仙紙):碑面の大きさに合わせて事前に切っておきます。

  • 墨拓(湿拓用油性)

  • タンポ

  • 拓本用紙を固定するテープ

  • 新聞紙

  • 霧吹き

  • 拓本用ブラシ


拓本取りの手順

まず、画仙紙をお墓にあて、風で飛ばされないようにパーマセルテープでしっかりと固定しました。その上から霧吹きで紙全体を軽く湿らせ、余分な水分はタオルでそっと吸い取ります。この湿拓は、碑面の彫刻がより鮮明に紙に転写されるための準備です。

次に、拓本用ブラシで表面を軽くたたきながら、文字の輪郭が少しずつ浮かび上がるのを確認します。続いて、タンポに墨をつけ、均一にたたいていくことで墨が和紙に吸い込まれ、徐々に彫られた文字がはっきりと姿を現しました。



丸に立ち沢潟(おもだか)


戒名、没年月日、そして家紋も次第に読み取れるようになり、そこに浮かび上がったのは「丸に立ち沢潟」でした。


これでご住職が言っていた家紋と一致しますが、本家ではなぜか異なる「下り藤」が使われているとのこと。この家紋の違いについても、今後本家に再確認してみたいと思います。

墨が紙にしみこむたび、「これは確かに私の家族の歴史なのだ」と実感し、感慨深い気持ちで一枚一枚、拓本を大切に仕上げていきました。できた拓本は、丁寧に碑面からはがし、新聞紙に挟み込みます。

読み取れた文字と新たな発見


お墓には文化や宝永の年号が読み取れました。宝永は1704年から1710年ですから、320年前のお墓ということになります。刻まれていた戒名や家紋の由来について、今後さらに調べていく予定です。ご住職にもご協力いただきながら、この碑文を理解し、先祖のルーツに迫っていけるのが楽しみです。

また、本家に報告しながら、家紋の異なる理由についてももう一度調べ直し、さらに関連する文献も参照していこうと思います。

もしかしたら、一代で財を成したと言われているご先祖の記録にたどり着けるかもしれません。ルーツの旅はこれからどんな発見が待っているのか、楽しみでなりません。

ところで、お墓では叔母さんに数年ぶりにばったりと会いました。祖父の命日でお墓参りに来ていたとのことでした。そうか、そうでした。祖父が引き合わせてくれたのかもしれませんね。

先祖調査の目途が着いたら、叔母さんにも報告しないと。

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