移住10年目のフリーランス(まもなく11年目)。田舎あるある。最近の残念なこと。
小さな幸せ
先日、わがポレポレ農園のほったらかしいちごが赤くなっていました。
ひとまず一粒。ありがたくその場で頂きました。
何年前に植えたんだっけ?
たぶん5年以上前かな。
毎年、蔓を伸ばしそこから根が生えて新しい株が育つ。
ほとんど何も手入れをしていないので、周りは草だらけ、サイズも小さい。
それでも、元気に増えて毎年実をつけてくれています。
毎年、カラスに食べられてしまって、私の口に入るのはほんの一部なんだけど、今年は一番果を食べられました!
いちごが勝手に育ってくれるというありがたき幸せ。
ほぼ通い農業
このポレポレ農園は、私の住んでいるところから5キロほど山を上がった場所にあります。それはそれは美しい、緑があふれ、稜線が連なり、田んぼが広がるなんとも心癒される景色です。
昔はこのあたりも、住人がそこそこいて、子供たちが走り回ったり冬季分校があったりとにぎやかな集落だったそうですが、いまは住んでいるのは2件です。
1件は老夫婦、もう1件はおばあちゃんの一人暮らし。
たくさんある田んぼは、ここから町場に引っ越した人たちが通ってきて耕作を続けています。皆さん兼業農家、お仕事をしながらその傍らで農作業を頑張っておられるのです。
私の畑もそんな田んぼの中にあります。
草問題
基本的にポレポレ農園は、草や虫とも共存する自然農。時々刈るけど、時々です。そして買った草は土に還す。
お隣にはほとんど草が生えていないきれいな畑があります。
Kさんといって、この集落から市街地に引っ越されて、今は通いで田んぼをされてる方の畑です。とても几帳面な方で、揃った畝にビニールマルチを施し、ネットの覆いもぴっちりとされ、空いた場所はしょっちゅうトラクターで耕して草を防いでいるようです。
いつだったかある人が言っていたのですが、
『新潟県は草と雪に対するマインドがすごい』という言葉。
これって、たしかにそうだなあと感じます。
冬の雪、畑の草。徹底的に除去することが美徳とされているようです。
よく『みったくない』という言葉を聞きます。
みっともない、という意味なんですが、家や畑のまわりにはきれいにしておかないと恥ずかしい。という感覚が非常に強いです。もちろん個人差はありますが、あんまりきれいにしていない人のことを『だらしない』と判断する傾向にあります。
県外からの訪問者
それで何年か前、その方の畑の隣の、使ってない土地を使いたいという人が現れました。県外の方で【山ぶどう】を育てるということでした。
たぶん60代くらいだと思いますが、飲食店の経営者という話です。
山ぶどうは山に自生しているような木なので、丈夫でさほど手入れもいらないから県外にいても育ってくれるだろうということだったのだと思います。
それから、山ぶどうの苗が植えられました。県外の方なのでそう頻繁には畑には来られません。
でもシーズン中に何度かは、時には泊りで山ぶどう畑の草刈りをしに来ていました。山ぶどうも年々大きくなってきて、実をつけていたのでもちろん収穫にも来ていました。
しかしそんな状況なので、基本的に草は伸びている状態のことが多かったのです。
Kさんはそんな状況がお気に召さなかったのか、今年になってその山ぶどうの主さんに、この畑を『返してほしい』と言ったそうです。
山ぶどうの主さんは、先日、ここの山ぶどうを抜いて持って帰られたとのことでした。
中山間地集落の衰退の原因?
なんとも残念な話。
せっかく県外から継続して通ってきてくれる人が現れたのに、結果的に『追い出した』と私には見えてしまいました。
これが田舎の集落の欠点。頻繁に来られないこともあり、基本的なコミュニケーション不足というのもあったとは思いますが、これが現実。
乱暴な言い方をすると『従えないものは出ていけ』。
自分たちのやり方に合わせられない者は受け入れないという特性の現れですね。
これが衰退する地域の原因の一つであることは否めないと私は思うのです。
ちなみに私に畑を貸してくれている方はさほど細かくないということですね。ラッキーというか、ありがたい話です。
というわけで最近起こった残念な話でした。