なにかが変わる弟子屈暮らし vol.20
2023.04
東京都出身神奈川育ち一度も地方に住んだことがないのに、好きなだけで阿寒摩周国立公園の町 弟子屈町(てしかがちょう)に住んでみた感想や実体験を綴ります。 自分の心の変化の記録ですが、北海道への移住を検討中の方々の参考となれば幸いです。
ホーホケキョ。
うぐいすが鳴き始めた。
やなぎの木がぽやぽやと芽吹き、じわりじわりと黄緑色が増えてきた。今年は例年よりもうんと暖かいらしく、大家さんが「今年はゴールデンウィークには桜が咲くかもしれない」と言う。家の前にエゾヤマザクラがある。
ちょうど二年前になるが、弟子屈に住むにあたり、はじめて大家さんと電話した時、「この部屋のおすすめはね、桜が見える事なんです。」と話していて、間取りよりも何よりもその事を伝えてくれたのが印象的だった。
誰もが待ち遠しい春が、もうすぐそばにある。
沖縄に行った
包み隠さず言えば、観光業及び宿泊業は4月は閑散期だ。
新年度に旅行する人はあまり居ない。
よって、4月3日の新年度初日はカヌーに乗せてもらった。
エゾアカガエルの鳴き声だけが湿原に響き渡り、オジロワシがこちらをジッと見ていた。
そんな訳で1週間ほど長期休暇を頂き、旅行に行くことにした。
「いつもどこかに行っているね」と言われるが、実は帰省か研修かといった感じで、どこか行くにしても飛行機代がもったいないし、やはり道内が好きなので旅行もそのようになっていた。
カレンダー通りのお休みの会社に居たこともほぼ無いので、大型の連休は久しぶりだ。
ちょうど航空券のセールをやっていて1便7000円だったので、一旦羽田へ飛んで帰省した後に沖縄本島をまわる計画を立てた。
実家に帰り、友人に会った。
平日に帰ったせいで気後れしてあまり連絡できなかったのが悔やまれるが、仕方あるまい。また年末には帰るだろう。
博物館や美術館には行くが、買い物には行かなくなった。こんなに沢山の物の中から好きなものを選ぶのが億劫だ。その代わり、河原を散歩する。やっぱり都市生活は向いていなかったのだろうと帰るたびに思う。
その後、沖縄にいくもどこか宙ぶらりんな気持ちで本島を縦断した。
今回の旅の目的は「自分が住む阿寒摩周と同じ濃度の南国の自然を見に行くこと」だった。
鍾乳洞ややんばる国立公園の自然は素晴らしかった。
だけど、深い森を歩いても、一本道を見ても、源流域に行っても、どこかで頭の中に弟子屈の景色が頭をよぎった。
早く帰りたいとまでは言わないけれど、女満別空港についた時はとても嬉しかった。
パン焼きの時間
屈斜路の大森さんのお家でパンを焼いた。
大森さんも私と同じ移住者で、農家さんだ。
Instagramに上げていた丸いチョコチップパンが美味しそうで、「食べたい」と呟いたところ、じゃあ一緒にパンを焼こうと誘ってくれた。
今季初の摩周第三展望台へ
夕暮れ時、摩周湖に散歩しに行った。
せっかくなので第三に行こうということにことになった。第三というのは摩周第一展望台から川湯方面へ進んでいくとあるもうひとつの展望台で、標高が高く崖地にあるので迫力がある。
背後にはちょうど硫黄山とその裏に屈斜路湖が控えている。
どこをみても噴火跡=カルデラなのだ。
こんな面白い展望台は他に無いと思う。
はじめて「やちねずみ」を見つけた。
「やちねずみ」のおうちは弟子屈随一のこの景色をちょうど見渡せそうな場所にあった。こういう時に限って望遠を忘れているのだが、目の前に出てきてくれて、なんとか単焦点でも撮ってみる。
ねずみが姿を現すのを微笑ましく見ている夕暮れの時間は、とても穏やかだった。
ひとりだったら気が付かなかっただろう。
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