なにかが変わる弟子屈暮らしvol.1
東京都出身神奈川育ちの一度も田舎に住んだことがない私が、阿寒摩周国立公園の町弟子屈町(てしかがちょう)に住んでみた感想や実体験を綴ります。
北海道や地方への引っ越しをご検討中の方々の参考となれば幸いです。
弟子屈町はここ!
❏なんで弟子屈町にしたの?
冬の晴れた日、スノーシューで摩周湖の景色を見て、『ここに住んだら凄い楽しいかも』と直感的に思った。
弟子屈町には、摩周湖・屈斜路湖・硫黄山など道東屈指の自然が集まり、来る度に新しい発見がある。また道東の中心にあるので、道東ラバーの私にとっては旅の拠点にピッタリで何度も来るようになっていた。
具体的に移住を考えはじめてからは、すでに移住をしている方に話を聞いたり役場にメールを送ってみたりして。
2021年、希望していた観光に関する求人が出て、いよいよ決心する。無事、弟子屈町で地域おこし協力隊として移り住むことになる。
❏最難関と言われる物件探し
弟子屈(てしかが)へ引っ越して来たのは8月の末頃だった。内見はせず、部屋を決める。地方の学生が上京する時に親がネットの情報で家を決めたりするのと同じような感じで、私の場合は雇用先となる役場の方にほぼほぼ一任していた。
もっとも、弟子屈の場合は選ぶほど物件がないのが実情だ。これは一軒家、アパートなどの集合住宅を問わず、とにかく探してあったらラッキーで、空家などはかなり皆さん吟味して待って待ってやっと見つけるという人が多いように思う。
そうとは知らず、当初は物件情報のあまりの少なさに驚き、友人やフォロワーさん、不動産業者に自分でも話を聞いてみたりしてようやくそれを実感するのだった。
物件について調べ始めた頃、釧路の不動産やさんに問い合わせたら一発で見つかったことがあった。
担当の方は興奮気味に「かなり持ってますよ」というのだが、あまり実感がなかった。続けて「すぐ決めた方がいい」というが比較するものもなかったので2日程の置いておいて、やっぱり!と思って改めて問い合わせるともう物件は捌けてしまったと言われる。
以来、弟子屈の賃貸住宅は見つけたら飛びつかないとなぜかあっという間になくなる、そういう印象だ。
どうもこのところ弟子屈は移住者が増えているらしかった。
なんとか地域おこし協力隊として着任をする時期には住む場所を見つける事ができた。
❏弟子屈はコンパクトシティ
住んでみると
弟子屈は意外に便利だ。
面積の半分ほどが阿寒摩周国立公園に含まれるこの町。
町の中心地で生活に必要なものは概ね揃う。
これらのほとんどが徒歩圏内にある。
私の地元はコンビニはあってもスーパーはない、役所へのアクセス悪い、駅まで遠い、と都市部ではあるがあまり便利だと思ったことはなかったので、大自然の中にいると思っていたのにこの利便性は純粋に驚きだった。
不便になる事は当然覚悟していたので、その事に気がついた時はなんだかほっとした。今のところ、車で移動すること以外は、実はこれまでと大して変わらない生活をしている。全く不便を感じていない。
❏楽天モバイル繋がる
都心でも不評な楽天モバイル。
以前やっていたキャンペーンで一年間無料で使えるということだったので面白がって使っている。
もし不具合があれば乗り換えようと思っていたが、なんと総じて問題なく使えている。
弟子屈では摩周駅や役場のある弟子屈中心はもちろん、砂湯や和琴半島など屈斜路湖畔、川湯温泉でも全く問題ない。
ただ、南弟子屈だけは4本あるアンテナが2本になっていた。
❏車の運転は慣れるのか
原付運転は慣れてるけど、車はほぼ運転してないレベル、空間把握能力に乏しくバックで駐車できなかった。
かなり怪しかったので、町の中古車販売店にて運転講習を受ける。ご家族総出でサポートして頂く。
車を受け取った夜、友人にバーベキューに誘われ喜んで行くが、道を間違え市街地を通り過ぎて暗い森に入りかけて慌ててUターンする。
『さっき標茶に吸い込まれそうになった』と話してみんなに笑われる。
駐車は2週間くらいしたらできるようになった。150キロ程度のドライブも楽しめるようになった。暗闇耐性はまだ無い。そのうち慣れるんだとか。
❏余分なお買い物、特に減らない
作り手が見えるものにはお金を使いたくなる。美味しいお店やかわいい雑貨を見つけると投資したい気分になって、気前が良くなる。
よって、全然支出は減らない。無論、今後減らす気もない。好きな物は集める、欲しい物は手に入れたい。
よく、田舎に行くと無駄遣いが減ると言われるが、たしかに無駄な使い方はしてない。ただ、支出に関してはほとんど変わらないと思う。いや、むしろ増えてる。
あと、3週間ぶりに網走の市街地に出たらそれはそれでめちゃめちゃ楽しかった。UNIQLOで大満足。
❏みんなが私を知っているという感覚
協力隊着任時や町での取り組みに参加した際に北海道新聞に数回載ると、『新聞に載ってた人ですよね』と言われた。
私はこの町の新入社員みたいなものだ。
弟子屈町は人口7000人に満たない町。
でもみんな毎日顔を見て多方面に会話する。
下を向いて職場に向かい人混みを掻き分けて一人の部屋に帰るよりも、遥かに多くの出会いや強い繋がりが生まれる。
行動を起こせばすぐにイベントが発生する。フィーリングの近い者同士が共鳴しやすい土壌がある。これが弟子屈のような小さな町のコミュニティがもつ最大の面白さだと思う。
横浜生まれ横浜育ちの母はこれらの事をとても面白そうに聞いてくれた。
移住1ヶ月目はこんな感じで、本当にお陰様で良い意味で何のギャップもなく楽しく生活させてもらっている。
弟子屈町は移住者がとても多くて自分の周りでも同じ神奈川県から来た人が沢山いる。なのでよく『田舎』というテーマを扱う際に述べられるような、「よそ者扱い」をされた事は私は一回も無いし、地元が弟子屈町の方々は率直な疑問として「どうして弟子屈を選んだんですか」ととても興味深い様子で聞いてくれる。その姿勢はとても誠実な感じがするし、きっと新しく来た人にはいつもそんな風に接しているのだと思うと素敵だなと思う。
道路が凍結する冬になるまでに自分の足で、自分の車で、できるだけ色んな所に周っておきたい。
とりあえず、きょうはここまで。
曇天♪