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なにかが変わる弟子屈暮らし vol.4
東京都出身神奈川育ちの一度も田舎に住んだことがない私が、阿寒摩周国立公園の町 弟子屈町(てしかがちょう)に住んでみた感想や実体験を綴ります。
北海道への移住を検討中の方々の参考となれば幸いです。
弟子屈町はここ!
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12月も半ば。
ようやく根雪になりそうな降り方らしい。
11月の末頃に雪が降ってそれから、晴天や雨や霰、羽のような雪が舞うだけで積雪らしいものはこの日までなかった。
本当に雪は降るのだろうか?
そう思っていた矢先、目が覚めて携帯を見るとどうもかなり積もっているらしく。
いつもは二度寝三度寝はくだらないが、そうと知ったらむくっと起き上がる。
外はしんしんと雪が降り積もり、真っ白でふわふわな世界が広がっていて。
来たる北海道の厳冬期に道東一年生たちは一様にソワソワしていた。
初めての雪道運転
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はじめての雪道運転は3人を乗せて、私の軽自動車は満員御礼だった。
私は普段は集団の中で誰とも話せず黙ったままだったりするくせに、なぜか自分がハンドルを握ってる今、トークがまわっているかが気になったりする。
道路は弟子屈の中心地を抜けたある地点からぬらり、とテカっていた。
この日は北海道新聞の支局長をのせていた。
「おー、これはツルツルだぁ!スケートリンクだねー!」と支局長。
速度は控えめで、ブレーキは地元の方から聞いていたポンピングブレーキで。
帰宅は夜中、一度ABSが働いた。
車に乗らないわけにもいかないので、気をつけるしかない。
※ABS…アンチロック・ブレーキ・システム
凍結路ではブレーキペダルを「足の指で触れる」くらいの踏力でもABSが作動してしまう。制動距離が伸びるのでそれを考慮した減速が大事っぽい。
室温は20℃が基本
暖房でセントラルヒーティングに灯油を使っている。ずーっとつけっぱなし、部屋の温度は20℃くらい。月6000円程度だ。
(→12月は13000円でした(笑))
灯油代だけで3万はくだらないと言われていたが、新しい住宅は違うようだった。
家賃は当然相場よりも高いが、家自体の断熱性に優れていて暖房費が抑えられる。
単純に外は−15℃とかなのに部屋は20℃を保っていられるって凄い。秋口はこの20℃が何となく肌寒い気がしていたが人間の体はおもしろくて、季節が進むにつれこの室温が心地よいと感じるようになった。
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東京からの来客
東京から、前の職場の店長が来てくれた。
店長はそもそもかなりのシティ派なことはよくわかっていたので、私に会いに来てくれてとってもうれしかった。
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『全く違う世界に来たようだった』と言っていたのが印象的だ。
私が道路脇のシカに「ほら〜、いっていいよ〜」と道をゆずるように言うと親子のエゾシカはのろのろと渡っていったのだが、その様子をみて『すごい…!!』と感動していた。
どうしても景色の雄大さばかりを見せたくなってしまいがちだが、北海道の暮らしの面白さって日常の中にあってそれが他の場所から来た人をわあっと感動させるんだなぁ、と思う。
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締めの乾杯
12月は忘年会やらなにやらに呼んで頂いた。
やはり酒の付き合いがとても多いだろうと身構えていたが、思っていた以上にお酒を飲めない人がいて(慣らそうという文化ももうない気がする。)助かったなと思った。それから、私は新たに運転手役を担う事ができるようになりそれは個人的に嬉しかった。忘年会はスナックが多い。
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締めの乾杯
はじめて聞いたときはびっくりした。
お時間近づいてますので、
締めの乾杯を…!
(ハイ………?!?!)
これはどうも北海道の文化らしく、飲み会の締めの挨拶をしたあとにもう一回乾杯をして締めとするということだった。
※関東では一本締めが基本。
超冷え性が日本一寒い所に住んだら
私はもともと末端の血流が極端に悪く、2月位になると手足とも常に「しもやけ」になってしまう。いくつか病院に行ったが、保湿剤を塗ってビタミンEを飲むしか解決策がなく、遺伝形質なので治すのは無理、なるべく抑えるだけ。と言われる。
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こちらに来る前、弟子屈の知人に移住するのに一番不安なことは?と聞かれて
「しもやけが酷くならないかどうか」と答えたほど気になっていたことだった。
(とっても笑われたが私は本気。)
12月下旬。弟子屈は日中で−3℃、最低は-15℃くらいだ。朝方は日本一冷え込む場所になる時もしばしば。
当然これまでの環境よりうんと寒いのだが、不思議な事に慢性的なしもやけにはまだなっていない。
−15℃の中でカヌーなどアクティビティをして長時間外に出ていれば、その直後手が腫れるが、温泉に入って血流が戻るとまたもとに戻るようになった。今のところ心配していたような状態にはなっていない。たぶん部屋の暖かさが影響しているのだろうけど、きちんと着込み温める事を意識するようになったのも関係あるかもしれない。慢性化すると辛いのでなんとかできるだけ堪えられるように頑張りたい。
この1年の最後に
2021年。
間違いなく自分の人生が最も大きく動いた1年だった。
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我慢する事は誰の為にもならない、
自分を一番大切にする、
やりたい事は妥協しない、
そうでなければこれまでと同じだった。
自分の感覚を信じ、いつもよりわがままになった。まずやってみたいことをやってみる、なんか違うものは断る、その判断がやっとできるようになった。
仕事とプライベートの境はこれまで以上に曖昧になり、仕事に関わる人は町中にいて、この町で生きている実感があった。
「今度うちにご飯食べに来ませんか?」
「なんかあったら相談してね」
「あんまり抱え込まないで」
「明日も来ていいからね?!」
「集まる時は声かけるよ〜」
私に優しい言葉をかけてくれた人、それから見えない所、気が付かない所でそっと助けてくれた人に感謝したい。
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生活にも慣れてきたし、これからも自分のペースを大切にして、コツコツ歩んでいきたいと思う。
4ヶ月目はこんな感じ。
この北の大地にはこれから厳しくも最も美しい季節がやってくる。
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浦山 夏帆
1993年生まれ 東京都出身
横浜市立東高校卒業後、日本宝飾クラフト学院でジュエリー制作のふわっとしたところを学ぶ。ジュエリー業界8年目で、住んでみたかった北海道弟子屈町に住まいを移す。夢は森の中にアトリエを持つこと。鉄道とか山も好き。