見出し画像

なにかが変わる弟子屈暮らし vol.22

一度も地方に住んだことがないのに、この土地が好きなだけで阿寒摩周国立公園の町 弟子屈町(てしかがちょう)に住んでみた感想や実体験を綴ります。

弟子屈町は北海道の東側にあります

光陰矢の如し。
あっという間に6月が終わろうとしている。
ちょうど関東が梅雨入りする頃、こちらも霧と霧雨の間のような天気、いわゆる「じり」の日が出始め、その水分を得てなのか草木はぐんぐんと伸びて沢山の花が咲いた。

巣穴から出てきた子ぎつね

キムントーにて「オニ」退治

キムントー(キンムトー)でアメリカオニアザミの駆除活動をした。
この場所は地図などでは「キンムトー」または「沼湯」と呼ばれているが、本当はキムン(山奥の)トー(湖)の意味で、「キムントー」らしい。
アメリカオニアザミはとても繁殖力の強い外来種で、在来種の生育場所を占拠し駆逐してしまう恐れから、環境省により生態系被害防止外来種に指定されている。
花が咲く前のこの時期に、ひとつひとつ根っこから引き抜くのだが、去年からこの活動に参加させてもらっている。
キムントーは山奥にあるので、こういう時にガイドさん達と帯同して行くのが安心で、今年もとても楽しみにしていた。
もともと北アメリカから輸入された穀物や牧草に混入して持ち込まれたらしいアメリカオニアザミだが、エゾシカなど野生動物にくっついたりして、こんな山奥の湖のほとりにまで立派に繁殖している。
大きな株を引き抜くと達成感があるが、それでも束になった種が至る所に落ちているのを見ると、ここからいくつも生える様子が容易に想像でき、またオニ側も必死で、活動はほんのささやかな抵抗なのだろうと思わせる。

ちゃっかり記念撮影。なぜか萌ちゃんの杖まで握ってる強欲さ。
花見て湖を見ず
気になる野花はみんな調べる🔍

エゾイソツツジの花

今年は去年よりも早く開花している気がする、エゾイソツツジ。
硫黄山から川湯温泉を結ぶ「つつじヶ原自然探勝路」でその大群落を見ることができる。
人の手が入っていない、この自然のお花畑が私は大好きで、宿に泊まられるお客様にも行くように勧めてしまう。北海道観光は目的地が離れてしまい、距離が延びていくのがお約束だが、実は遠くに行かなくても、近所で十分、楽しく、美しい世界が広がっている。

チョッピンチョキチョキの正体

「チョッピン、チョキチョキ」
夜中に物を取りに外に出たら、元気よく鳴いている鳥がいた。
またある日、夕暮れ時に歩いていると同じ鳴き声がしてその声がする方へ進んでいくが、目の前の茂みから大きな鳴き声がするだけで姿が見えなかった。

__エゾセンニュウだよ。
友人が教えてくれて、その正体がわかった。
エゾセンニュウは、日本では夏季に繁殖のため北海道(蝦夷)へ飛来するので、和名の由来になっている。
越冬はフィリピンやインドネシアまで行ってしまうらしく、鳥って本当に忙しいなと思う。
6〜7月はちょうど繁殖期で、南の島からやってきたセンニュウ達はたまごを守るため、この北海道で夜通し一生懸命に鳴いているのだ。

「最近夜中に変な鳥が鳴いていて、頭がおかしくなりそうだ。」と会社の同僚が話す。
きっと「チョッピン、チョキチョキ」に違いないだろう。

夏至のひととき

随分と日が長い。19時を過ぎてもなお明るく、やっと沈んだと思ったら、また3時過ぎには太陽の気配が感じられる。

夏至の日に相応わしく、キラキラと強く太陽が輝いていたが、それも私には少々暑苦しく、日中は家で溜まった作業をして涼しい部屋で昼寝をする。この時間が一番好きだ。
夕方、隣町の標茶町の友人のところへふらりと寄っていって日没まで散歩をした。

その後寿司を食べに行くと、ラストオーダーの時間だった。日は伸びても営業時間は変わらないので要注意だ。

黒ラブが似合うとのこと。飼わないよ。
かけがえのない時間

北海道弟子屈町の夏至
日の出 3:41
日の入 19:07

一日の長さは15時間25分。

浦山 夏帆
1993年生まれ 
横浜市立東高校、日本宝飾クラフト学院卒。
宝飾業界8年目で、ずっと住んでみたかった北海道弟子屈町に住まいを移す。地域おこし協力隊として地域観光のプロモーションに携わった後、現在は宿泊施設のスタッフとして奔走中。夢は森の中にアトリエを持つこと。ときどき指輪を作ります。デザインとライティングは勉強中。鉄道とか山歩きも好き。

いいなと思ったら応援しよう!