MS-05B ザクⅠ(デニム機)
27機が教導機動大隊に先行配備されたA型(初期生産型)に続き、793機生産されたのが後期生産型のB型である。A型とはカラーリング以外に外観上の違いはないが、装甲部材やコックピット仕様などが変更されているらしい。
一年戦争開戦時には既に旧式となり、後継機のMS-06系に置換されていくが、補給や特務など2線級の任務には息長く使われた。
06系統との顕著な違いは動力パイプが内蔵式であることである。05の1世代前の試作機YMS-04ブグでは動力パイプが外部に露出しており、構造上の脆弱性が問題となってザクⅠでは外装甲内部に配置する設計になったが、今度は排熱処理に問題を抱えてジェネレーターに十分な出力を得られず、ザクⅡで再び露出式となった。この問題は、ジェネレーターが高性能化され機体自体を大型化して動力パイプを内蔵する重MSというカテゴリがMS-09ドムによって確立されまで解決されなかった。
写真はデニム曹長のルウム戦役時の乗機。この時点でスレンダー伍長とともにシャア・アズナブル中尉(当時)の小隊(宇宙攻撃軍第6機動大隊第4小隊)に所属していたようである。のちに少佐に昇進したシャアの直属としてそのままファルメル隊の艦載MS隊の小隊長を務めることになり、サイド7潜入作戦においてスレンダー伍長とともに連邦軍のRX78-2ガンダムと遭遇戦を行うこととなる。
デニム機の識別番号は101、こめかみの部分にある⭐︎3つのエンブレムが特徴。右肩の工事現場みたいなカラーリングは増加装甲のようである。ザクⅠはジェネレーター出力が低いために本体重量がザクⅡより10%以上軽く、装甲面での脆弱性を抱えていた。特に肩部機構は対艦戦闘の標準兵装だった280mmバズーカを撃つと衝撃で損壊する事象が頻発したらしく、補強用ラックを外付けするなどして対応した。この増加装甲もそのようなオプションのひとつだったと思われる。左肩のショルダーアーマーをなぜ両肩仕様にしなかったのかはよく分からない。