MS-05A ザクⅠ(初期生産型)
宇宙世紀0074年2月にロールアウトされたザクの最初期モデルで、ツィマッド社のEMS-04ヅダとの主力MS選定コンペに提出された機体。27機が生産され、0076年5月に設立された教導機動大隊(司令キシリア・ザビ大佐)に配備された。
本機の試験運用を経て後期生産型のMS-05BザクⅠ(いわゆる旧ザク)が開発された。A型とB型の外見上の差異はカラーリングのみだが、コックピットや装甲材質などは変更されているらしい。
兵装はB型と同じものが運用可能で、主兵装は105mmマシンガンZML-47D。いわゆるザク・マシンガンの初期型だが、のちにパンチの弱さが指摘されて大口径の120mmマシンガンZMC38III M-120Aに取って代わられた。ドラムマガジンが右側に縦付けされているのが特徴である。
対艦攻撃用の280mmバズーカは先込め式で核弾頭を運用可能だが反動が大きく、強度が不足して機体を損傷することが多かった為に、発射時の衝撃を緩和するバズーカラックが肩部に増設されていた。これものちにH&L-SB25K/280mmA-Pなどに取って代わられていく。先込め式は現場での運用にかなりの熟練が必要だったようである。
2連装のガス弾発射器は特務任務のためのオプション兵装で、いわゆる毒ガス作戦に使われた。一年戦争開戦時には05は既に戦力としては2線級になっていたため、特務任務や補給部隊・工兵部隊などで運用されることが多かったようである。
オプション兵装としては他にも両脚に装備された3連装ミサイル・ポッドがあり、これも元々はコロニー内で戦闘車輌などに対抗するために開発されたと思われるが、地球降下作戦以後は地上でもよく使われていた。
生産数も少なく開戦時には既に旧式化していた機体だが、この機体の完成が公国首脳部に開戦を決意させたという意味では人類史に最も影響を与えたMSかもしれない。また教導機動大隊に所属した黎明期のパイロットたちが本機を用いた錬成を通じてMS戦術を確立していったという点での歴史的意義も大きい。