「学費問題」をどう捉えるか?
ここ1か月ほど、大学生や大学院生を中心に、学費や施設費の減額を求める声が上がり、テレビやネットニュースでもたびたび取り上げられるようになった。
こうした問題提起が、国全体を巻き込んだ議論に発展することは、良い方向だと思うし、学生である自身の経験として、学生(特に大学院生)への待遇改善は急務だと感じる。ネット上では所属大学に対して、学費半額免除などの支援を求める署名活動も盛んに行われており、学生側の意見を表明すること自体は、憚られるものではない。
しかしながら、こうした学生の動きに対して、少なからず後ろ向きな意見があるのも事実である。どちらが正しいかは置いといて、賛否の意見が出ることは正常だともいえる。ただ、反対意見の中でも「今の大学生の多くはバイトに明け暮れて遊んでいるだけ」「元々厳しい世界だと分かっていたのだから、自己責任だろ」「バイト選ばなきゃいっぱいあるじゃん」「私が学生だった頃は・・・」などなど、問題の本質とは異なる意見(もはや意見とは言えない誹謗中傷も)が散見される。
ちなみに私は、「学費一律半額、施設費免除」という意見に対しては、「反対」である。学生がいようがいまいが、設備の維持にはお金がかかるし、職員の雇用も守らないといけない。大学運営費に対する学費収入の割合にも依るとは思うが、少なくとも一律で求めるのは賛成しない。(いやな話だが、数年後の自分のポストにも影響するかもしれないし)
今回の問題は、「そもそも学費が高くて、望む教育を受けられない」問題と、「コロナの影響で授業が受けられない」問題が重なっているので、そこをきちんと分けた議論が必要だ。学生側の意見をよく読むと、ちゃんと書いてあるのだが、説明書の注意書きをすべて読まないように、受け手はヘッドラインしか読まない。こうした誤解は、後々の議論にも影響が残るので、懇切丁寧に説明するしかない。
前述したように、学費には、「学費に対する授業の質」「そもそも学費が高い」「奨学金という名の学生ローン」「大学院生にとって授業料って何?」など、様々な問題を抱えており、一元的な議論は避けるべきである。しかしながら、せっかく盛り上がった議論なので、これを機に様々な学費問題について、意見を出し合う雰囲気を維持してほしい(特に当事者の学生)。