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新年短歌 俳句23

「施設にて父が作りし羽子板の
飾りを今年も机の上に」
「春着着て親戚回りあの時の
母の笑顔を思い浮かべて」

去年今年栞挟んだままの本
古き年少しずつ物処分して
新年を何処で迎える下宿の子
初茜神この中に生まれたり
初日に向かい又も決意を口にして
初空へ早くもため息出てしまい
少し雲在れど尊き初明かり
若水を無駄にはできぬ今日ひとひ
元朝は何時も通りのパン食を
門松は年々簡素に成りにけり
輪飾りの揺れる犬小屋微笑まし
久し振りに使う和室よ明けの春
初春に伝来の軸取り出して
年毎に小さくなりぬ鏡餅
裏白はただ静かなり八畳間
初富士をやはりテレビの画面にて
年迎う心の弾み無き齢
好物を少し加えて雑煮碗
座布団を外して正座屠蘇を飲む
京焼きの器並べるお正月
元日の賑わいからも外れ居り
年寄れば元日静かに過ぎるまま
早や寂し元日の空暮れて行く