母のハンカチ
母が8月16日に玄関で、転倒。
救急車で運ばれ「脳挫傷で、もって1ヶ月」と宣告されました。
しかし奇跡的に回復して、退院の話も
でるほどになりました。毎日会いに行きました。その日は「水分を制限され、喉が渇く。このハンカチを濡らして来て、そこから水滴を・・」といいます。
そこで母のハンカチをたっぷり湿して、そっと口に当て絞りました。
嬉しそうに笑い「そのハンカチ持って帰り、洗って来て」と差し出しました。
翌日昼食後、誤嚥性肺炎で急逝しました。(あれが思いがけなく死に水で、母は私にそれをして欲しかったんだ)
こう思って、泣き崩れました。
あのハンカチは、大事にしまってあります。母が好きだったゲランの香水夜間飛行を手に取り、一年に一度
ハンカチにしみこませます。
淡い紫の花柄が、いつでも私を見守り励ましてくれるのです。