短歌 16首
誕生日目覚めて探す我が星座
まだ半月は頭上に高く
積もれ雪心の扉閉ざすほど
重たき空はにび色のまま
山茶花と椿の違い見分けつつ
散歩の道を行くは楽しき
父母の咳ただ懐かしく食卓に
一人の夕食常の如くに
お揃いのマフラーどちらが兄か姉
仲良く手繋ぎ坂道を行く
年寄れば実用本位カレンダー
動物と花景色も要らず
映画館出て一瞬は年惜しむ
街の騒音消えた気のして
飾り売り半纏の色褪せしまま
江戸の言葉を話す若者
スカイツリー東京タワーに登りたし
雪は東京変えている筈
病院の待合室も空いている
午後から雪の予報出たる日
街頭で意見を求められ易き
高齢男性和服の私
霜焼けに初めてなりぬ京都での
修業懐かし遠き思い出
迷いつつ地上に落ちる風花の
形瞬時に消える寂しさ
時により鳥になりたし高く遠く
心はばたけ我が体より
冬銀河何を描いて指し示す
悩みの多き青き星へと
胸膨らませ夕焼けを見た少年は
老人となり朝焼けを見る