短歌 近詠

「霜焼けに初めてなりぬ京都での

修業懐かし遠き思い出」

「ひび割れの母のおん手は慕わしく

尊きものと今更思う」

「迷いつつ地上に落ちる風花の

形瞬時に消える寂しさ」

「ふくれ行く雲に乗りたし夕暮れは

父母居る所高く遠くて」

「大掃除仲良くこなす家族にも

一人一人の悩み有るらし」

「年と言う逆らえぬもの重くして

同窓会の人数減りぬ」

「近郊の高架の駅の線路越し

互いの息災見届け笑う」

「福袋大事に抱く若者ら

聞き覚え無きアジアの言葉」

「光のみ春となる日は庭に出て

芽出しの木々に語り掛けよう」

「もろ肌を脱ぎて弓張る若者の

胸と腕とに力みなぎる」