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俳句

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2021年7月の記事一覧

俳句 恋

「木下闇 手放した恋 かぞへては」

木々が重なり、大きな闇が生まれています。

その暗闇の中から、いくつもの恋が浮かび

上がりました。

「あ~あの人は今、どうしているだろう?」

時間を巻き戻し、感傷に浸りました。

俳句 軒端に

「釣忍 愚作俳句の 短冊を」

出入りの植木屋さんが、毎年恒例の

釣忍を作って来てくれました。

例年ここへ愚作短冊を下げるのも、

良い?習慣です。

週ごとに掛け替えるように、何枚か

清書しました。

俳句 父母

「端居する 父に物言う 母の声」

和室の廊下でくつろぐ父へ、台所から

母が大きな声で呼び掛けます。

父は返事をしません。私が見に行くと、

狸寝入りでした。用事を言いつけられる

のが、嫌だったのでしょう。

私が母に「お父さんは寝ている」助け舟

を出したのも、懐かしい思い出です。

俳句 家紋

「夏羽織 背中に一つ 男紋」

御家元へ向かうべく、堀川通を右折。

すると前に夏羽織を着た人々が、

歩いていました。

何か行事でも有るのでしょうか?

一番端の方に目が行きました。見た事が無い

家紋で、首を傾げました。

俳句 風鈴

「ガラス風鈴 音より色を 楽しみて」

友人がくれた風鈴。どこやらへ出掛けて、

自分で制作とか・・・

残念ながら素人の作なので、音色は今一つ。

しかし美しい青の色が、間違いなく涼風を

運んでくれます。

俳句 金魚

「甥の子は 金魚に名前 付けている」

{ねえ大きいおじさん、この金魚マサトって

いう名前だよ}一番大きな金魚を、指さします。

{ふーん、そういう名前なんだ}と笑い掛け

ました。この子の父親も、同じ事をしていたと

懐かしく思い出しました。

{こっちの少し黒っぽいのは、なんて言う

名前?}重ねて聞いてみました。

俳句 禅寺

「方丈に 一人麦茶を 供されて」

大きな禅寺へ、ご挨拶に伺いました。

広い方丈に通されると、庭の石庭が

目に入りました。

「あ~風が気持ち良い」と思っていたら、

若い僧が麦茶を運んで来ました。拙宅の

分とは違い、香りのよい事!

汗も引いて、体も心も落ち着いて来ました。

俳句 遠い日

「祖母の手が ただ懐かしき 行水は」

幼少の頃、良く庭で行水をしました。

盥に朝から水を張り、水温を上げます。

外で遊んで汗まみれで帰ると「早く

行水を」祖母の声が聞こえました。

丁寧に手拭いで体を洗ってくれます。

「夕飯の前に、西瓜を食べるかい?」

優しい笑顔が、今も浮かんで来ます。

それはそれは、おばあちゃん子の私でした。

俳句 昼寝

「花茣蓙に 一人大の字 心地よき」

昔の家では夏が来ると、大きな花茣蓙を

出していました。色も柄も美しいのですが、

肌触りもさわやかです。

簾越しの風を受けて茣蓙の上で昼寝を

するのは、夏の大きな楽しみです。

俳句 海へ

「この電車 終点は海 サングラス」

江の島へ向かう電車、日曜の朝は、殆どの

客が浮かれた様子です。

無理もありません、海へ向かうのですから・・

何と両親とお揃いのサングラスの子が、

笑っています。「どうぞ一日楽しんで」

胸の中で、声を掛けました。

俳句 男

「首太き 男大汗 手でぬぐい」

ある商品のセールスにやって来た人。

顔が赤らむ程、外は暑かったのでしょう。

しきりに汗を、手で拭います。

お湯をした{おしぼり}を出し「遠慮なく

お使いください」と言うと、猪首の彼も

笑顔になりました。「冷たいおしぼりより、

気持ちが良い!」正直な感想です。

俳句 梅雨明け

「伝来の 物など無きが 虫干しを」

ようやく梅雨が終わりました。

家中の窓を開けて、風を入れます。

こうして家の湿気が抜けたら、ようやく

虫干しを始めます。

掛け軸・和服の順番ですが、思いのほか

時間がかかります。古い品・家伝の物なども

有りませんが、いづれも大切にして来ました。

俳句 盛夏

「夏の光 朝から集め 束とする」

早朝からそれは強い日差しです。

夏場は朝曇りで、徐々に暑く成る筈が・・

もう八時には、痛い程の光です。

正午前ですでに30度を超しました。

光は束となって、降り注ぎます。早く

用事を済ませ、家に戻りましょう。

俳句 和光

「日盛りの 正午よ銀座 大時計」

銀座で昼食の約束が有りました。

地下鉄の駅は、涼しかったのですが・・

地上へ出ると灼けつくような日差しです。

交差点の銀座のシンボルマーク、「和光」

上の大時計が見えました。

正午過ぎの針は、二本とも天を指しています。

日傘を広げ、京橋方面に歩き出しました。

傘の下だけ、5度ぐらいは涼しいでしょうか?

男の羽織は熱を吸収し易い色ばかりなので、

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