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茶道教授の独り言
2021年5月3日 06:08
「花つつじ白シャツの師は懐かしく」存外真面目で成績も良かった私は「先生のペット」と陰口を叩かれていました。しかし人気者の私は、ファンも多くそんな噂は気にもかけませんでした。高校二年生、古文の先生が担任となりました。素晴らしい先生で、のちに大学の教授となられました。平安後期文学が専門でした。腕まくりした先生が「大川君、この歌の下の句を言ってごらんなさい」と今でも聞
2021年5月4日 06:10
「薔薇垣を選んで歩く散歩道」次の角を右に曲がると、白いバラが。さらに先へ進むと、オレンジのバラ。頭の中のバラ地図に従い、歩いて行きます。この時季は散歩の道筋に、うれしい迷いが生じます。夫々のお宅の日頃の御手入れ・ご苦労・を思いながら、バラ垣に沿って歩く幸せ!
2021年5月5日 11:45
「寄せる思い余りに多きバラの花」世の人々に愛されるバラの花。色も姿も多種多様です。沢山に人の思い出にまつわる、花かも知れません。中学の三年間、バラを夢中で育てました。虫にも病気にも弱く、肥料を欲しがる・まったく手の掛かる植物でした。それ故なおさら、咲けばうれしくて!
2021年5月6日 09:03
「三更の白も怪しき花空木」三更とは、今で言えば深夜23から25時。旧子の刻です。深夜の深い闇に浮かんだ、白い花。「あっ」思わず声を出すほど、不気味な美しさでした。花空木{卯の花}は、一塊で咲くので、より大きな白い影となります。
2021年5月7日 09:01
「若者のくるぶし見えて夏の風」気温は真夏日に近いでしょうか?目の前を過ぎる若者は、元気よく速足で歩いています。時折パンツの裾から見えるくるぶしまで、輝いています。綺麗な色のスニーカーに、良く映ります。若いと言う事は、何もかも美しいのですね。
2021年5月8日 09:29
「初夏の学生の腕未だ白き」いち早く学生服を脱いで、半袖シャツになりました。まだ腕も白く、不安げな表情と感じました。四月に入学したばかりの、子でしょうか?腕の白さが消える頃、待望の夏休みです。この夏、若者は少し大人に近づくかも知れません。
2021年5月10日 09:48
「単衣着て軽ろき足取り京畳」関東から京都へ勉強に行き、畳の大きさに戸惑いました。U流は一畳を四歩で歩きます。しかし関東間{京の人には、田舎間と言われた}での稽古に慣れた体です。やや大股で歩かないと、縁を越えられません。それでも着る物が単衣になると、裾捌きは楽になりました。暑がりの私は、季節でなく気温で着る物を決めていました。25度近い日は、断然単衣ですよ!
2021年5月11日 08:39
「どこまでが垣根か庭の花躑躅」お隣の方も、花が大好きで手入れにも熱心なお宅です。赤紫のつつじを、垣根になさっています。その前に白と黄色のつつじも、植えています。この季節はつつじに囲まれた家に、変わるのです。ご主人曰く「つつじは手がかからなく、良いですよ」「花持ちも長くて、色数もあるし」自慢げに語られました。
2021年5月12日 07:56
「園児らの日除け帽子は同じ色」近所の公園へ、保育園の子供達が遊びに来ていました。今の日除け帽子、後ろの首部分まで覆いが付いています。我々の子供時代は、日焼けなど気にしないで外で遊んでいました。少しづつ地球も気候も病んで来たのでしょう。これからの子育ては、さぞかし苦労が多いのでは?心配でなりません。
2021年5月13日 09:00
「見ゆる限りすべてひれ伏す青嵐」東京の最北端、荒川の岸に来ました。堤から下を見ると、岸辺の草々に強い風が吹きつけています。「大いなる自然に、ひれ伏す姿だね」と言ったら、同行の友人は「オーバーな!」笑いました。しかし石畳から下を見たら、やはりなびくより{ひれ伏す}が相応しく思えました。
2021年5月14日 07:00
「夏山は縄文弥生見ていたか」深い森を抱いた、夏の山。太古から、そこに存在していた筈です。{この山は縄文弥生の人々を見て来ただろうか?}おかしな疑問を抱きました。そんな考えも生まれる、緑の濃い夏山の姿です。
2021年5月15日 06:37
「古箪笥引手は銀の衣替え」大切な和服、紋付や茶席に着る品は伝来の古く大きな箪笥へ収納しています。衣替えの季節なので、取り出し易い様に上下の品を交代。単衣・薄物を上段にしました。ついでに銀磨きで、引手・金具も綺麗に手入れしました。
2021年5月16日 10:09
「薄暑ゆえ地下鉄に乗る一駅を」原宿から表参道。わづかな距離なので、いつもならウインドウを見ながらぶらぶら歩きます。しかし今日は和服です。強い日差しの熱を、羽織が吸っています。千代田線で明治神宮前から、表参道迄一駅乗る事に決めました。どうやら体は正直で、ますます暑さに弱くなりました。
2021年5月17日 11:23
「着替えせず虹を待たせるベランダへ」携帯が鳴って「先生のお好きな虹が、東の空にでています」弟子からのうれしい報告です。慌てて家に入り、着物姿のままベランダへ出ました。久しぶりの大きな虹でした。うれしくて姿が薄くなる迄、見つめました。同じく虹が好きだった人を思い、少し寂しくなりました。