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【書く】速度

朝晩七時にお題が届く執筆アプリ「書く」より
お題:速度


花が落ちるスピードで歩いていくーー米津玄師「paper flower」の歌詞。
花が落ちるスピードは秒速5センチメートルだ、というのが通説のようで、それを題材にした映画もあった。

秒速5センチメートルって、意外と速いなあ。でも、人間の歩幅にしては遅い。
いまの私が、ベッドの上で天井を見つめたまま、日々を過ごしているから、速く感じるのかもしれない。

食パンは秒速0センチメートルだ。
首振り扇風機は秒速5センチメートルくらいありそう。同じところに戻ってくるから、結果±0センチメートルだけれど。

花は、地面に落ちたら、秒速5センチメートルではなくなる。静止するかもそれないし、時々進むかもしれない。落ちた花が枯れるまで追い続けた人間が私の身近にはいないから、行く末なんてわからない。

人間だって、落ちぶれた先をずっと観察されているかといわれればそうではない。私が生まれてから死ぬまで追い続けてくれるのは、私の他に誰もいない。私が静止しているところも、私が時々進むところも、風にあおられて秒速何メートルになるところも、すべて私しか知らないのだ。

いまの私は秒速0センチメートル。食パンと同じ。なんだか、お腹が空いてきた。

宜しければ。