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HUMan DRAma『風の約束』 第1巻「再会の夏」 全4巻 1月31日 朝

第一章「再会」

駅前の通りを抜けると、小さなカフェのテラス席が目に入った。
木漏れ日がガラスに反射し、ゆっくりと午後の時間が流れている。

ふと、一人の女性の姿が目に留まった。

白いワンピース。
髪を耳にかけながら、ノートに何かを書きつけている。
指先の動きが、妙に懐かしい。

「……ナオ?」

気づいたときには、名前が口をついていた。

女性が顔を上げる。
目が合った。

「え……?」

ナオも驚いたように目を見開いた。

蝉の声が遠くで響いている。

時間が止まったような気がした。

「……翔?」

ナオの声が、確かにショウの記憶の中のそれだった。

でも——どこか違う。


第二章「過去の記憶」

「久しぶりね」

ナオが微笑む。

ショウは頷き、向かいの席に腰を下ろした。

「いつ戻ってきたの?」

「昨日」

「……どう? 久しぶりの街は」

「変わったようで、変わってない。……ナオも、変わらないな」

ナオはくすっと笑う。

「それ、褒め言葉?」

「もちろん」

懐かしいやり取り。
まるで、あの頃に戻ったようだった。

だけど、どこか違う。

ナオの目の奥に、微かに寂しさが滲んでいた。

「ナオ……何かあったのか」

ほんの一瞬、ナオの目が揺れた。
けれど、すぐに微笑みが戻る。

「何もないわ。ただ、少し考えていただけ」

「何を?」

ナオはカップの縁をなぞりながら、静かに言った。

「……人の縁って、不思議だなって」

ショウはその言葉を飲み込む。
胸の奥で、ざわりとした感覚が広がっていった。


第三章「懐かしさと違和感」

カフェを出ると、風が吹いた。

二人は、昔よく歩いた並木道を並んで歩いた。

「翔、今は何をしてるの?」

「……編集の仕事をしてる」

「へえ、意外。昔は小説を書いてたのに」

ショウは苦笑する。

「もう、書いてないよ」

「どうして?」

「……わからない。ただ、書く意味を見失ったんだと思う」

ナオは寂しげに目を伏せた。

「翔は、昔から物語を作るのが好きだったのにね」

ショウは何も言わず、ただ前を見つめた。

すると、ナオがふと立ち止まった。

「ねぇ、翔。もし……また書いてみたくなったら、私に読ませてくれる?」

ショウは驚き、ナオを見返した。

その瞳は、どこか懐かしく、そして優しかった。

「……考えておくよ」

そう答えたものの、心の中では、何かが少しずつ変わり始めていた。


第四章「交錯する時間」

その夜、ショウはホテルの部屋に戻っても、ナオの言葉が頭から離れなかった。

「人の縁って、不思議だなって」

「もし……また書いてみたくなったら、私に読ませてくれる?」

彼女の言葉は、何かを示唆しているようだった。

そして——ショウは夢を見た。

懐かしい光景。

木漏れ日の下で、誰かと手を繋いでいる自分。

「また、会えるよね?」

優しい声が聞こえる。

その声は——

「ナオ……?」

ショウは目を覚ました。

額にはうっすらと汗が滲んでいた。

「……夢?」

しかし、胸の奥に残る感覚は、あまりにも鮮明だった。


エピローグ「再会の意味」

翌日、ショウはナオをもう一度訪ねた。

「話があるんだ」

ナオは驚きながらも、静かに頷いた。

二人はもう一度、並木道を歩く。

「俺……やっぱり、また書きたいと思う」

「……本当に?」

「ああ」

風が吹いた。

「お前と話して、思い出したんだ」

「何を?」

「俺、物語が好きだった」

ナオはゆっくりと微笑んだ。

「なら、きっと大丈夫」

ショウは深く頷く。

そして、その瞬間、確信した。

この再会は、必然だったのだと。


第2巻「記憶の影」へ——

ショウの中に、少しずつよみがえり始める「書くこと」への衝動。
だが、それと同時に、ナオの瞳に宿る影もまた、気になり始めていた。

彼女は何を隠しているのか?
この再会には、まだ続きがある——。

『風の約束』第2巻「記憶の影」、近日公開——。


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