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LAST Message:第1話『AIのラブレター』2月3日/朝
プロローグ
誰かを想う気持ちを言葉にするのは、案外難しいものだ。
時には、伝えたい想いが多すぎて、逆に何も言えなくなることもある。
それなら——代わりに「誰か」が、その気持ちを言葉にしてくれたなら? 同様に「AI」が、最も適切な言葉を選んで、あたかも自分が書いたかのように手紙をしたためてやってくれます。
それは、便利な未来の技術か。
佐々木涼子は、30代半ばに差し掛かり、仕事に忙しく殺される毎日を送っていた。
広告代理店の企画部で働き、朝から晩までプレゼンと打ち合わせの連続。
「いまは仕事が大事」——何年もそう自分に
言い聞かせてきたが、心のどこかに、いろいろある。
それは「直人」のことだった。
学生時代からの付き合いで、一緒にいるのが当たり前だった。
ただ、結局終わったわけじゃない。
「今なら、素直に言えるだろうか」
涼子はスマホを手に取った。
AIがラブレターを書いてくれるという話を聞いたのは、つい最近だった。
「人間の会話パターンを分析し、最適な言葉を選ぶ——」
そんな技術が今の時代にはあるらしい。
バカげていると思ったが、ただ、涼子は画面に文字を忘れた。
「直人への手紙を書いて」
AIは、まるで長年の親友のように、すぐに応えた。
『直人へ——あの時、素直になれなかった私を許してほしい。
もし時間を戻せるなら、もう一度だけ君と並んで歩きたい。』
涼子は、息をした。
この言葉——確かに、自分の想いだった。
それにしても、彼女はこんな言葉を、一度もAIに伝えたことはない。
「……なぜ?」
念、データはあるだろう。
過去のメールや、SNSの意見。
でも、この言葉は——
涼子の頭の中で、ずっと言えなかった「本当の言葉」のはずだった。
なんとAIが、それを知っているのですか?
夜のオフィスで、一人、涼子はラブレターを見つめていた。
窓の外には、ネオンの光が滲んでいる。
この手紙を、直人に送って良かったですか?
いや、それ以前に、これは——**「誰の手紙」**なのか?
![](https://assets.st-note.com/img/1738456949-754BcaZEogdiGRq2OySmHKnT.jpg?width=1200)
AIが選んだ言葉。
でも、それは紛れもなく、自分の心にあったものだった。
「AIが、ここまで人の心を許せるものなのか?」
データは、確かにあるだろう。
過去のメールや、SNSでの解決。
でも——AIは、それらの情報を解析しただけのはずだ。
「なのに、なぜ「この言葉」なのか?」
涼子の心の中で、ずっと言えずにいた想い。
その言葉を、AIはまるで「見透かした」ように紡ぎ出した。
エピローグ
AIは、感情を持たない。
データをもとに、最適な言葉を選ぶだけの存在。
それなのに、どうして——
こんなにも、人の心を透かしたような言葉を書けのだろう。
涼子は、スマホの画面をそっと閉じた。
「送信」ボタンを指したまま、しばらく動かずにいた。
送れば、何かが変わらないかも知れない。
でも、本当にこの言葉は「自分のもの」
迷いを振り切るように、静かに息をつき、スマホをそっと机の上に置いた。
だが、その時、彼女の胸には妙な予感があった。
まるで、AIが——いや、「誰か」が、彼女に語りかけたかのような。
次回、『感情のアルゴリズム』
AIが勝つ、『完璧な恋』の世界。
でも、人は本当に『最適な選択』だけで、幸せになれるのか?
ハッシュタグ
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