見出し画像

四度目の離婚

沙梨にとって離婚はこれで四度目だ。「三度目の正直」という言葉があるが、結婚生活は三度目も四度目もうまく行かなかった。


沙梨はまだ35歳である。初めての結婚は学生結婚で「出来ちゃった結婚」現代風にいうと「授かり婚」だ。産んだのは20歳の時だった。


次の結婚は22歳ですぐまた23歳で出産した。次は27歳で結婚して29歳でまた出産した。今は二年前に33歳で出産して、また離婚した。


毎回離婚の理由は違っていて女がいたり、お金を入れない、マザコンなどだった。


今回の離婚はあんまり理由がない。慣性の法則の様に子供が生まれたら、夫は居なくなるという流れになってしまった。


歴代の夫たちも褒められた人間ではないとは思うが、私も私なのである。子供が産まれた瞬間に、夫という生き物にきれいさっぱり関心がなくなるのだ。夫的な立場にいる人間としては、面白くないはずだ。まあ、私が「夫的立場」にいたとしても、私とは別れると思う。だから恨みはない。


今、子供は一番上はは15歳男、二番目は12歳女、三番目は8歳女、四番目は2歳の男の子だ。


沙梨は不倫もしたこともなければ二股もしたことがない。だが、一人の男と暮らすのは最長で3年だった。今、子供四人のシングルマザーだ。


子供は好きだ。大好きだ。父親が違っていても分け隔てなく全員かわいい。


沙梨は仕事も続けている。通訳と翻訳と英語校閲の仕事をしている。四人の夫からの養育費もあり、なんとか食べていける。母子家庭年金とめでたく四人目の子持ちになったので、公的な養育費も多く貰える。


以前の夫たちに手伝って貰った子育ては、今、15歳と12歳の子供達が手伝ってくれている。子供たちは仲が良い。

8歳になる次女が明るく言った。

「ママ、次の赤ちゃんはいつ産むの?私、だんぜん女の子希望!」

そっかあ、私って、子供を産むためだけに結婚してきたのかも。そう分かってしまうと、なんだか「ダメな奴」としか思えなかった私自身が「かわいい奴」な気もしてきて、ちょっと笑ってしまった。


〈了〉








いいなと思ったら応援しよう!