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涙のサマーキャンプ

涼介とママシリーズの涼介が幼稚園から小1。ママが役員をやっている本編のサイドストーリーです。


めぐちゃんは元ヤンキーだ。

性格がサバサバしていて私には、いい友だちだ。
でも、スジの通らないことには、カッとして暴言を吐く。純粋で真っ直ぐ。人を大事にしたらどこまでも大事にする。

反面、敵と見たら徹底的に追い詰める。勝つまで人を叩きのめす。スジの通った喧嘩魂の持ち主だ。

ちなみに〝スジ〟とは彼女の理だ。


そんな彼女との出会いは幼稚園のお迎えバスだった。めぐちゃんの子どもは女の子。うちの子どもは男の子。その子ども同士が仲良くなった。

バスに乗っている先生の話だと、お互いの子どもたちはお迎えバスの中で話し続けるらしい。ふたりが話さないように席を離して座らせると遠くからも立ち上がって大声で話すそうだ。

バス中がうるさくなるので、ふたりの子供は並んで一番前に座らせられることになった。はしゃいでバスから降ろされても話し続ける子どもを毎日迎える。


めぐちゃんは五歳年下だが三人の子持ちだ。

二人目の長女がうちの息子と同級生。三つ上に長男がいるので子供や幼稚園の事に詳しい。一番下は二歳の次男がいる。 


私は初めての子供なので、彼女は母親の先輩になる。息子は、幼稚園のプリントをほとんど無くしてしまう。『幼稚園に必要なランチセットはどこで買うのか?』『遠足や父兄参観はいつか?』全て彼女が教えてくれる。


子供同士が仲良くなったのがきっかけで付き合いだしたが、彼女とは気が合った。
めぐちゃんは痩せて小柄な美人でロングヘアをアッシュに染めている。
ヘソを出し、刺繍の豪華なスカジャンを引っ掛けている。

彼女はライブが好きで会うとうれしそうにその話をする。ミスチルのファンで、チケットが当たるよう酒断ちして、願をかけている。 

当たったら身長153cmの彼女が見やすいよう台にする為に、四角く硬い化粧バッグを持って行く。見せてもらった化粧バッグW38×D35×H30cmと説明された。

その上に乗って最後まで喉が枯れるほど叫んで応援するらしい。行ってくるといかにいい歌詞とメロディーだったか「声が何年経ってもい」と話を熱く語り続ける。


私は近所の花農家に寄せ植えを教わりに行っている。めぐちゃんはニコニコとついてきて一緒にやりながら自分の感動を花も驚くのではないかというくらい話し続ける。


知り合った頃、めぐちゃんちは水道屋を起業したてで大変だった。彼女の旦那さんは技術的には申し分ないけれど口が軽く調子が良い。
話していると客にとって都合のいいことばかり言ってしまうらしい。

交渉ごとと金銭回収が苦手な人だ。見積もりで値切られたり、工事代金が踏み倒されない様に、仕事が入った時、彼女も作業着で一緒に工事にいく。


私は仕事の時は子供を三人を預かると申し出た。家族ぐるみで仲良くなるのに時間はかからなかった。子どもだけでなく、お互いの家族で、食事を一緒にしあうようになった。


子供が小学校に入ると子供たちは同じクラスになった。私たちは立候補して一年生でクラス役員をする事にした。六年間のどこかで役員を二回やらねばならない義務があるので、早いうちに一回目を済ませることにしたのだ。


担任はボソボソ話す若い男の先生で、上目遣いで親の顔色を伺う。


役員決めのときからめぐちゃんは『冴えない男!頼りにならない奴!』とけなしていた。行事が多く毎日のように学校に行かねばならなくなると会うたびに『使えない!ウジウジしてハッキリしない!』と帰り道で、必ず先生をディスる。

先生はかなりオタクっぽいのでヤンキーのめぐちゃんとは合わないのだろうと私はキレるめぐちゃんをそう判断した。

でも、母親業はまわりに遠慮と気遣いばかりしてしまうので、めぐちゃんのように正直な人は裏表がなくて安心する。


給食試食会、PTA総会、授業参観。ふたりしてスケジュールに従って用事をこなし書類を書く。学年会費の管理もあり結構大変だ。めぐちゃんは「お金のことは任せろ!」と言って経理を全部やってくれる。


一年生のPTAが主催の大きな行事はサマーキャンプだ。終業式の次の日にある。子供は学校に泊まりがけで遊ぶ。午前中プールで始まり、夜は音楽会だ。 


私たちは音楽祭に使う被り物を作る手伝いに行った。担任の先生の工作プランが一年生には難しすぎて出来ない。

子供たちは「わかんない、できない」と言って作っている。厚紙を4センチの短冊に切ったものを調理器具のボールの上に交差状に重ねてテープで仮止めする。それを外してホチキスで止める。そのまわりにカラーケント紙を張り込んでいき、クチバシや耳や目を最後に着ける。頭を覆う立体的な帽子のようなものだ。 
動物の被りモノが四種三十人分ある。ニワトリ、犬、ネコ、ロバ。


めぐちゃんは「あいつ、何も考えてねーな。」と担任の白井先生を横目で見る。露骨にぷりぷりしていた。先生はめぐちゃんにビクビクしている。

確かに頭に丸い輪っかを作ってその前に動物の絵でも貼り付けたら子供にも出来ただろうが、怒っても終わらない。

私が「来れそうな人に頼もうよ」と言うと、めぐちゃんは学校から家の近い知り合いの父兄に10人ほどLINEで連絡をした。
全員来てくれて、被り物は夕暮れに仕上がった。子供たちを私たち二人と来てくれた十人の父兄で手分けして送って行った。




問題は次の日起こった。学校とめぐちゃんに電話がガンガンかかってきたのだ。10人お母さんを呼んだのが、大問題だというのだ。


昨日、呼ばれなかった人がものすごく怒って来たと言う。一部の人だけ誘うのは不平等だそうだ。学校の一斉連絡網で全員に連絡するべきだったと言って来たらしい。


白井先生に電話で呼ばれ、私は学校に出向く事になった。めぐちゃんにLINEしたら一緒に行くという。職員室に呼ばれていたので、ふたりでノックして入る。白井先生はめぐちゃんを見て硬直した。


「宮内さんだけでなく、大西さんもご一緒でしたか。」先生は聞こえないくらい小さい声で言う。

「なんで一人だけ呼ぶわけ?役員は二人だよねえ〜。」


めぐちゃんのお怒りモードのスイッチが入ったのがわかった。ここで怒ると他の先生方に見られるので、PTA室に移動しようと提案した。めぐちゃんは肩をいからせ、先生は肩を落とし廊下をペタペタとスリッパの音を立てて歩いた。三人でPTA室に移動する。


部屋を移った途端にめぐちゃんは先生に向かって顎を軽く突き出し、無言で椅子を指差して、白井先生を子供用の低い椅子に座らせた。

彼女は子供用の机に両手をつけて、前屈みになり先生に〝ガン〟を飛ばす。

「白井センセイ、アタシのいないとこでアタシの相棒の宮内にPTAのババアどもの後始末を頼もうとしただろう。」  

相手から目を逸らさず、暗く低い声で淡々と語るのが、ものすごく怖い。私でもこんなことをされたら耐えられない。

先生は涙目で話し出した。

「ぼ、僕はそんなつもりはなくて、ただ、き、き、き昨日の様子を聞こうかと。」

先生はビビりすぎて吃っている。

「センセイ、昨日アタシらと一緒にいたんじゃないの?いまさらわかんない事があるわけだ。ふ〜ん。物覚えの悪い頭だねえ。」


めぐちゃんは先生の顔を両脇から軽く掴んで揺すった。暴力は奮ってないがものすごい威圧感だ。


「ぼ、ぼ、僕は、もうどうしたらいいかわからなくて。」

先生は目のまわりを赤くしてもう泣き出すのは秒読みだった。めぐちゃんはさらに言い募った。 

「わかんないのか。へえ〜。じゃあ教えますよ。センセイはねえ、自分の工作が難しかった説明して『緊急に昨日来てくださった方にはご迷惑をおかけしました。今後も父兄の皆様を頼りにしていますのでよろしくお願いします。』って言えば十分以内に解決する話なんだよ!暇でガタガタ言ってくる奴の話なんて聞く必要なし!」


先生は呆然と涙の溜まった目を見開いて謝り出した。

「す、すいません。すいません。ぼ、僕が不甲斐なく、き、気が効かないばかりに、ご、ごめんなさい。」


めぐちゃんは、先生の顔を挟んでいた手を離して腕組みし、先生を二、三分ただ眺めた。それもかなり怖い。さらに唐突に、自分の鞄から栗饅頭を三つ出した。

「食べな。」

めぐちゃんも私も子供用の椅子に座り、先生と私と三人で栗饅頭をもそもそ食べた。ココロのなかに〝飴と鞭〟という言葉が浮かんだ。滑稽な三人の様子にひきつった笑いが込み上げる。
お茶もない時の栗饅頭は飲み込むのが一苦労だった。


めぐちゃんの注意は短い。栗饅頭を食べたら、すぐに解散した。

私は誘われてめぐちゃんちに向かった。学校から五分の場所に赤い屋根の二世帯住宅がある。

めぐちゃんは、鍵を開けて私に入るよう促す。

上がらせてもらい、やや長い廊下を歩く。カウンターキッチンのあるリビングに行く。カウンターに座ってキッチンの彼女を見る。

「栗饅頭で喉が乾いたよね。」 

私の前にキッチンから手を伸ばし、煎餅と麦茶をコトンと置いた。めぐちゃんもやっぱり栗饅頭を飲み込むのが大変だったんだと思った。


「全くくだらないことで呼び出しやがって。苦情言ってきた奴らもどうかと思うけど、白井も白井だよ。」
一刀両断する。

めぐちゃんは堅焼き煎餅を手を震わせてパキンと折った。

「白井〜!やっぱ使えない!男のくせにビビりすぎだ!」

と言った後ボリボリ煎餅を親の仇のように齧った。食べ終わって急に黙り込む。一泊おいてボソっと呟く。    

「栗饅頭は姑が持って来たの。小姑が来てるお詫び?」

彼女は旦那の親と暮らしていて、時々来る小姑が大嫌いだ。

「この家はうちの実家の土地じゃん。それなのに、姑は住むわ、小姑は結婚してるくせに勝手に来て二週間も泊まって偉そうにしてさ。旦那は三人も子どもがいるのに外車二台も持ちやがって!アタシには色々言うのに、自分の身内には何にも言えないんだよ。」


小姑はわがままでヒステリックだ。さらにお金を一銭も出さない。小姑がいたら生活費はめぐちゃん持ちである。

「あ〜!ムカつく!どうしてくれよう!」 

以前、私たち家族が夕飯に呼ばれた時に、小姑がうるさいと苦情を言って来たことがあった。自分の姉に旦那さんは謝った。めぐちゃんは、顔を真っ赤にして怒った。

「おまえ、何でアイツに謝るんだよ!スジが違うだろう!」

猛烈にゲキして180cmもある夫を追い回した。階段に逃げる旦那を下から飛び上がって首根っこを掴みひきずりおろした。子どもたちは全く怯えないで手を叩いて喜び、ヤンヤと囃し立てていた。


どんなに怒られても旦那さんはめぐちゃんにベタ惚れで、子供たちも、明るい良い子に育っている。彼女といると〝こうあるべき〟というものはないことを知る。  


夕方自宅に戻る。めぐちゃんちからうちへの帰り道にお肉屋さんがある。そこへ行けば夕飯のオカズがすべて揃うことを彼女に教えて貰う。

しゅうまい、ポテトサラダ、コロッケには千切りキャベツが付く。それらを私は初めて買って帰った。三人も子どもが居て姑、小姑までいると家事の采配も要領がいいなと感心した。


元々大した問題が起きた訳ではない。毎日、学校に行かねばならなかったが、用具の点検や場所の使用書類を真面目にかたづけた。

七月の初めにめぐちゃんにキャンプの買い出しのために車を出して貰ったら車が前と違う。買い替えたのか聞いたら、ウフフフフ〜と変な笑い方をした。車に乗ったら発進前に口火を切った。

「旦那の車さ、わざとぶつけて来てやったんだよ。ボッコボコにしてやった。旦那さ、しゃがみ込んで、膝に頭埋めてたよ。」


想像がついて苦笑する。

「でね。ぶつけた車はガリバーで直して売った!そのお金で軽を買ったの!」

あまりにも予想外で破天荒だ。この間先生を怒っていた時、ゴッドファーザーみたいだと思ったが、いつだって映画のように豪快だ。


めぐちゃんはご機嫌で歌を唄って、ふたりで百均に行く。食事に使う使い捨ての食器を多めに。全員に渡すお土産にタオルハンカチを二枚ずつ、プレゼントを入れる袋やリボンを学年分買う。これで大体の準備は済んだ。


あとはバイキングという面倒な準備が残っている。毎年主婦の持ち寄りだという。そんな効率の悪いやり方をしているとは夢にも思わなかった。めぐちゃんは長男の時に経験済みだそうだ。

量の予測が立たない持ち寄りを辞めて、今回私たちは、学校の前のパン屋に頼みたい。予算はいくら残っているか確認すると三万弱残ってると言われる。

学校の前には大きめのパン屋があり、メニューが多い上、オーダーも受けている。また色々言って来る人もいるだろうから、作りたい人は作って欲しいと連絡網で送ればいいと話し合う。


ふたりでパン屋に頼むことを決めてそのまま車でパン屋の駐車場に乗りつけた。車から降りて、パン屋の入り口に行く。奥の厨房に向かって店長を呼んだらすぐ出て来た。


「目の前の小学校の大西と宮内 と申します。ケータリングをお願い出来たらと思って。」

「御予算と内容は?」

「予算は二万円で。人数は六十人。サンドイッチ沢山とこちらで普段サンドイッチに挟んでる、コロッケや唐揚げのみを。甘いものとあとはお任せします。一年生です。」


店長はメモに書き取りながら

「一年生で二万なら大サービスします。」

とニッコリ笑ってくれて、ふたりともホッとした。めぐちゃんが、二万円置いて領収書を貰い、日付けと時間を指定した。これで準備はほぼ終わった。



終業式の日、朝顔の鉢を持って子どもたちがよろよろ帰って来た。
近所の子どもたちは「キャンプ!お泊まり会!」と声を出して喜んでいる。

どこの家も明日キャンプなので、疲れない様に子供に注意していた。息子はお泊まりセットを作るのに余念がない。興奮してしているのを無理に早く寝かせて、あっという間に次の日になった。九時に送り出す。


子供たちはプールに直行した。先生方が見てくれて、子供が泳いでいる間に役員と有志が集まって、家庭科室にバイキングの用意をする。

パン屋に頼みに行った日に学年の一斉メールでパン屋に頼んだメニューと、作りたい人だけ作る旨を書いた。有志の半分くらいの人が作って来た。


卵焼き、肉団子、ウインナー、一口サイズに切ったフルーツなど。

パン屋は目の前なので配達してくれた。  


色とりどりのサンドイッチは小さく切って大皿四枚に何種類もある。
唐揚げ、コロッケ、フィッシュフライが二皿ずつ、山盛りになっていた。甘い物は一口サイズの揚げドーナツとブドウパン。食べ物が取りやすいように、ふたつのテーブルを離して使い、大きなお皿をいくつも並べる。



子供たちは十二時にプールから家庭科室に来て、

「わーすごいすごい!」

とはしゃいだ。みんなうれしそうに紙皿に好きなモノをとっている。ジュースも何種類かたくさんある。おいしかったのとお腹が空いていたのか、ドンドン食べ物が無くなっていく。


一時間半くらいかけて子供たちが食べ終わったら、冷房のついている音楽室で昼寝だ。昨日から興奮していた子どもが多いのでカンタンにコトンと寝てくれた。

私たちは、片付け班とキャンプファイヤー班に分かれ準備をする。校庭に大きな白い布が張られ、キャンプファイヤーの木を男親が組み立てる。


夕飯は簡単に出来るように、切ってある冷凍野菜と肉を私たちが三日前に買いに行った。夕方、ご飯を五升炊き、役員と子どもたちが市販のルーで百人分くらいのカレーを二鍋作る。


校庭中がライトアップされ、プロジェクターが白い布に映像を映している幻想的な風景の中、そこにいる人間は全員同じカレーを食べる。紙皿に入ったトロッとした甘いカレー。子どもたちは食べながら、得意げにカレーのついた口で笑う。


地面に座って点々と食べる人たちがいる。

子どもたちは全員以前作った動物の被り物を被っていた。食べ終わると恥ずかしそうに笑いながら、キャンプファイヤーのまわりに輪になる。手首を振り、合奏用の鈴を鳴らした。



「シャリーンシャリーンシャリーン」


その音が鳴った途端にうっと嗚咽が聞こえた。

横を見るとめぐちゃんがポロポロ泣いている。

ハンカチやタオルで押さえることもなく滂沱だった。怒っても誰よりも一生懸命やってくれていた。めぐちゃんの涙を見ていたら、私もポロポロ泣いてしまう。

大人がふたり並んでただ泣く。やり切った感と、子どもたちの歓びが胸にジワジワと染み込んでくる。


被り物はブレーメンの音楽隊だとあらためて気づいた。歌は「Waになって踊ろう」から「大きなのっぽ古時計」など新旧おり混ぜて五曲歌った。ぜんぜん合ってないところも自由でいい。

めぐちゃんは泣き笑いする。

「ぜんぜんブレーメン関係ないじゃんね。」

笑って呟いた。

校庭は青や黄色や赤の光がグルグル回り、白い布に映る画像だけは『ブレーメンの音楽隊』の古い切り絵のアニメだった。


キャンプファイヤーのまわりで全員マイムマイムを踊った。子どもも先生も親もみんなうれしそうに笑っている。


夜八時に子供を貸し布団がたくさんひいてある体育館に移す。一年生は各自パジャマに着替えてギャーギャー取っ組み合い、はしゃいでいた。

急に体育館の電気がパッと消える。


「キャー」「こわーい」と声が上がった時に体育館の舞台に電気がパッと点いた。


全員目を細めて明るい方を見る。眩しいライトの中、先生方がバンドを組んでいた。一年二組の若い女の先生がヴォーカルで、白井はドラム、あとは他の学年の先生たち五人だった。カチカチカチと白井先生がドラムスティックを叩く。


「きーみーがいた なーつは とおい夢のなかぁー 空に消えてえった 打ち上げはぁなぁ火〜〜」


夏祭りの歌詞を女の先生が唄う。子供たちはわーっと声をあげて、パジャマで布団の上を飛び上がってはしゃいだ。 

みんな、大声で一緒に夏祭りを唄い、アンコールをする。先生方は一曲しか練習出来なかったようで、困ったように顔を見合わせた。女の先生がおもいきって、ふたたび夏祭りを唄った。


めぐちゃんはまた先生をディスる。

「白井、決断力がないな。ドラムもズレてる。」

ディスりつつ泣きながら笑った。めぐちゃんと私は手を繋いで上にあげ 

「アンコール、アンコール」


と叫んだ。三度目の「夏祭り」に子供たちがわーっとまた喜んだ。


《了》










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