子供の引き渡しは役所関係が難所だった
2020年ポッキーの日に無事、親権変更を済ませた2日後。
私とトトさんは子供を引き取るべく地元に戻っていた。
地元に降りたったのは金曜日の午後。
子供の引き取りがスムーズに行けば、私たちは新しい家族として日曜の午前中には地元から新天地である千葉へ渡り、新生活を始める。
そのためにはまず、子供たちの戸籍に親権者が変わったよ!って記載をしないといけないので鬼のハードスケジュールを遂行せねばならない。
私は飛行機から降りた瞬間から小走りで駆ける。
空港
↓
家裁
↓
市役所①
↓
市役所②
↓
子供たちの学校
↓
子供たちと対面、荷物引き取り
というスケジュールを、14時半着の飛行機で役所のタイムアウト17時15分を目標に3つの市を走り回る。
飛行機はさすがはJAL。快適な空の旅と定刻運航で無問題。
そして家裁。
ここで戸籍に変更を掛けるための書類をもらう。調停終了後、10日の間にその書類を受け取り、役所で手続きをしないと親権者が変更された旨が戸籍などに記載されないらしい。
書類を貰うための収入印紙でちょっと躓いたが、時間的にはセーフ。
二手に分かれていたトトさんがレンタカーを借りて家裁に到着し、次は市役所①へ向かう。
知らぬ間に移転していた市役所①では、子供たちの戸籍に『親権者が変わりましたよー』とお知らせして記載してもらう手続きを行うのだが、受付で私の言い方がおかしかったのか、
『そのお手続きには、コレと、コレの書類が必要でして!それとコレは家裁に提出しないといけないんですよ!』
と、なにやら頭がお花畑な雰囲気の公務員さんに訳の分からない説明をされ
「いや、今やろうとしてる手続きそれじゃないんで!親権者が変わったのを知らせる感じの手続きなんですよ!!!」
と、普段焦らない人間が焦ると語尾が強くなり攻撃的態度で威嚇(シャァァァ!!!)
2度説明してもなんだか分かってもらえないし、あと1か所役所に行かないといけないのに時間超ギリギリなんですけどもねぇ!!!話聞いてます!!!???と、イライラしてますオーラを全開で威嚇。シャア。
最後に対応する人が増えたところで解決し、だから!今から!隣の!市の!役所行くの!そこが!1番!手続き!多いって!!何回も!何回も!!!!言ってるじゃん!!!!と笑顔でキレて市役所①を退所。
そしてトトさんが市役所②までの道のりを、F1ドライバーかと言うドラテクを発揮してる側で怖くて目をつぶってやり過ごす私。
飛ばすのは好きだが、横に乗ってるのはイヤ。
漫画のように市役所②のエントランスに『キキィーッ!』と乗り付け、入り口くぐった時間は17時13分。タイムアウト2分前。
半泣き状態で『すいません、手続きしてください・・・・』と頼み込むと、数日前からずっとやり取りしていた当市役所の教育委員会のお姉さんが話を回してくれていたらしく「あ!〇〇さんですね!?」と分かってくれて無事手続きが出来た。ありがたやぁ・・・お姉さんすっき。
そこでの手続きは20分ほどで終了。
そう思うと、市役所①のあの時間は・・・とモヤっとイラっとしてくる。
タイムリミットのある市役所が終われば、あとの子供たちの学校へ行くという予定は余裕だった。
息子②の小学校へ行き、新学校へ渡す書類を受け取りながらご挨拶・・・と思ったものの、担任の先生は不在で会えずだった。
続いて息子①の中学校へ行くと、またも担任の先生が不在・・・と思いきや息を切らして走ってくる先生参上。若い活発そうな女性の先生で息子①の担任だった。
「今、息子①くんの荷物を一緒に家まで、はぁ、はぁ、持って行ってたんです、はぁはぁ。すいませ・・・息が・・・。ふぅぅぅ・・・・(深呼吸)」
おもろ。
息子①の担任とはちょっと立ち話をしながら、学校生活の様子を聞き、あぁなんて良い子に育ってくれてるんだ・・・と母ホロ泣き。
そして
「お婆ちゃんとはよく喧嘩してるみたいで・・・うーん、なんていうか、ちょっと激しい感じの方ですよね・・・ははっ・・・」
と、困り気味に伝えてくれた。
小学校の先生も前に電話したときそう言ってたので、妖怪の行動は結構周知されているんだな、と認識した。はずかし。
次は子供たちが住む妖怪の屋敷へ。
子供たちの引き渡しは翌日だったが、荷物が多いから先にちょっと引き取ってほしいと息子①から連絡があった。
地元へ飛ぶ前日に、また妖怪からお金の催促をされていた私は近付くのも嫌だったが、妖怪が降り立った際にはトトさんが対応するということで私はなるべく車の中から出ないようにしていた。
ここで揉めたらまた面倒くさいことになるのは目に見えているからね。
妖怪の屋敷の前に車を停め、息子①に連絡すると、息子①はすっ飛んで現れた。
約1年近くぶりに会った息子・・・でけぇ・・・・泣。
声が・・・声が・・・可愛くないぃぃぃ・・・・泣。
成長期まっただ中で会えなくなった息子の成長に、母、鳥肌。
そんなデカくなり声も男子になった息子①は
「ママー!トトー!」
と大腕広げてハグ。
違和感はあるが中身はまだまだお子ちゃまよのう。(・m・ )クスッ
息子②はまだ小4なのでちょっと身長が伸びたくらいでまだまだ可愛い。
再会のハグを終え、さっそく荷物積みにかかると
「上から見てるねぇ・・・」
とトトさんが妖怪の存在を感知。
私は恐ろしくて振り向けなかった。
『先にちょっと荷物引き取って』という『ちょっと』が量のことを指していたのかは不明だが、少し大きめのレンタカーを借りたはずなのにトランクはすぐにパンパンになった。
その時なにより切ないことがあった。
それは子供たちの荷物全部がゴミ袋のようなナイロン袋に詰め込まれていたことだった。
海外ドラマでよく見る里子の移動じゃないんだからさぁ・・・とトトさんと2人で腹が立った。一応孫やろが。
そんな気分になりながら、今日のところはとりあえず最後の日だから仲良く過ごしてこい!と子供たちと別れ、翌日の朝にまた迎える約束して妖怪屋敷前から脱出した。
約束の引き渡し日、当日
約束の時間より少し早めに、再び妖怪屋敷の周辺に来ていた。
息子①が友達とお別れをするためウロついてると前日に言ってたので、友達と連絡先交換ができるよう、息子①用のスマホを渡そうと思っていたからだ。
ほんの少し周辺を車で徘徊していると、すぐに息子①と友達を発見。
私と息子①が連絡とれない中、息子①にスマホを貸して連絡を取れるように配慮してくれた優しい友達に手土産を渡し、時間までゆっくり過ごしてこい、と1度別れた。
1時間近く経った頃、約束の時間になり息子②も現れて再び荷物積みの作業開始。
その間も私は車の影に隠れながら荷物を積み、妖怪の視線から隠れていた。
「今日は爺も居るわ」
ダブル妖怪出現。
「あれは誰?」
とトトさんが目線を促した先には元夫の姉家族。
知らぬ間に子沢山になっていた。
居るだけでストレスになる場所で、もうこれ以上車に積めませんけど?というくらいのナイロン袋を詰め込み、最後に挨拶をして妖怪屋敷を去った。
子供たちは新生活への幕開けに意気揚々としてテンション激高のなか、最後の挨拶で寂しくならなかった?と聞くと、
「え、なんで?やっと出て行けるのに?」
と冷ややかな感想を告げられた。
「友達と別れるは寂しいけど、あの人たちには何とも思わない」
少なくとも生まれてこのかた13年は側にいたはずの祖父母や父親、伯母たちにそれだけ冷めた気持ちになってしまうとは、どんな生活をしてきたんだろうと切ない気持ちになった。
子供たちを引き取った後は、私側の身内に挨拶回りをしていった。
地元を離れてしまうと、そう簡単にはもう会えない従兄たちにお別れをし、私のじじばばともお別れして、ここぞとばかりに私の実家から私が地元に帰省したとき用の家電をごっそり運んできた。
この日の午後。
今回最もお世話になった児相で最後の面談をしてきた。
新しくステップファミリーとなる私たちに、児相は新たな父親の役割を担うトトさんとゆっくり話をしたいという意向と、子供たちの様子が知りたいという意向で児相のほうから話があった。
話はほとんどがトトさんに質問するような形だったが、それらすべてに初期の担当だったベテランおばさまの心を掴む受け答えをするトトさん。
子供たちとはどういう姿勢で向き合う気持ちでいますか?という質問に
「あの子達の父親にはなれないので、人生の先輩というような気持ちと立ち位置で色々教えていこうと思っています。そのうちにあの子達が自分のことを『父親だ』と認めてくれればそれでいいと思っています」
と答えると、
「トトさん!!その答え、もう満点です!!!」
ベテランおばさま大喜び。
他にも家の間取りを簡単に聞かれたり、生活のリズムを聞かれたりと家裁でも聞かれたような内容を伝え、親への質問が終わると別室でテレビを見て待っていた子供たちも加えて児相の担当者2人から
「新しい家族だけれど、子供たちがずっと願っていた母親とそのパートナー・トトさんとの生活が始まるね。新しい場所でも頑張ってね!」
とエールを頂き、お別れした。
地元の児相との関わりはこれで終了となったが、今度は千葉の児相が見守りという形で関わることになるという。
私としては正直、知り合いの居ない土地で子育てを中途半端な位置から再スタートする身としては児相の見守りはありがたいし、心強いと思った。
子供たちは久しぶりに私やトトさん、私の身内に会えたことで常にテンション爆上げ状態で、夜もなかなか寝付かない始末。
息子①曰く、
「解放感!」
だそう。
旅立つ当日は、暫く地元には帰れないから、と地元の食料を買い込んで出発。
「千葉は寒い?寒い?」
と、初めての県外引越しにこの2日間テンション激高しまくりの兄弟に、修学旅行の添乗員になった気分で引率していた私は少々ぐったり。
11月はそんなに寒くないし、今年は特に寒くない。
そして到着した新わが家。
最初の感想は
「ホテルみたいー!!!」
木造2LDKの部屋をトトさんがオシャレにしていったおかげでホテル気分を味わっていた。
「Switch!!これ何?じぇいこむ?何それ。な!動画サイトがこんなに!!え?YouTubeもテレビで見れんの!?やべぇぇ!!!」
小中学生の心鷲掴む、私の趣味。
子供が3人とぼやいていたトトさんの気持ちがちょっと分かった気がした瞬間だった。
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2020年11月。
無事に親権変更をすることが出来、私は再び子供たちと暮らす生活を送れるようになりました。
そして今度はトトさんという養父もできたので、ステップファミリーとして新たな家族の形で子供たちの成長を見守っていきます。
とにかく子供たちが子供らしくのびのびと生活していけること!
これまでやりたくても出来なかった興味のあること!
当り前のことばかりですが、それをちゃんと叶えていくことを肝に銘じて新生活を送っていきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました^^