ウマ娘で学ぶ競馬史 #20.5 覇王の裏で (1999〜2000)
治安悪めのヘッダー画像でこんにちは。
みなさん、ウマ娘やってます?
名馬がどんどん引退していきますね。(前置きガン無視)
特に悲しかったのはキセキとカレンブーケドール。
生で見られないままお別れなのがとても悲しいです。
コロナを恨みます。
なんか、今の日本競馬の状況が99〜00年と似てるような気がしてならないです。
グランアレグリア、ラヴズオンリーユー、クロノジェネシスの牝馬三強が引退し、強い牡馬も上の世代には不在。
世はまさにテイトルホルダーオー時代。(語感悪)
メイショフリヤールとナリタトップフォーリアにはならないようにして欲しいところです。
ただ、当時と違うのは下の世代に化け物が多数いること。イクイノックスとジオグリフ、ドウデュースには期待せずにいられません。これからが楽しみですね。
というわけで、今回は化け物がいなかった世界線のクラシック2022世代のifこと00世代のお話です。
厳密には化け物はいたにはいたんですが、時代の壁が大きかったんでしょうね。
何のことか分かんないと思うので、詳しく解説していきましょう。
前置き〜狭間の世代?〜
普段の弊シリーズならここらへんからクサいこと書いて動画載っけてまたクサいこと書いての繰り返しなんですが、もうちょっとだけ解説させて下さい。
競馬というのは「世代レベル」が重要視されるもの。
コントレイルも三冠馬ですが、三冠牝馬アーモンドアイに負けたことで「20世代は18世代より弱い」みたいな印象が付きましたよね。(世代2番手サリオスが燻ってるのも理由ではあるけど)
ところで、わたくし世代レベルをデータベースとしてまとめておりまして、この世代はGI何勝した〜とかがなんとなく分かる記事を出してます。
これの分析結果的に、00世代はそんなに弱くないみたいなんですよね。
比較対象として、まずは02世代の成績を見てみましょう。
シンボリクリスエス、ヒシミラクル、デュランダル、アドマイヤドンらを擁する02世代はGIを37勝、中央古馬GIを16勝しており、芝だけで14勝。当時としては驚異的です。
当該記事では世代レベルを「古馬GI勝利数÷古馬GIの数」で数値化してるんですが、02世代は芝1.4、ダート1.44と、平均の1よりだいぶ高いです。めちゃ強。あと数回でこの世代の回なのでお楽しみに。
で、00はというと…
芝GIを3勝以上している馬はアグネスデジタルとエイシンプレストンのみ。時点でタップダンスシチー、イーグルカフェ、ゼンノエルシド…
GI勝利数は30、中央古馬GIは12勝、芝だけ見ると10勝です。
04と比べるとパッとしないですが、全然弱くないです。
数値的には芝はちょうど1.0。当時の平均。
なんならブエナビスタ世代より多いです。
そう。これから紹介する00世代は、間違いなく無難に強い世代なんです。
じゃあ、なぜそんな世代が「弱い」と言われたのか。
理由があります。
先程挙げた00世代の馬、全て外国産馬です。
加えてデジタルとプレストンは香港GIを勝利しています。海外GIも評価対象のため、国内で勝ててなくても海外で勝てれば強く見えます。
世代トップが香港やダートで活躍している外国産馬。
そういえば当時は、外国産馬はクラシックに出られないんでしたよね。
この世代から外国産馬を全て消すと…
古馬GI勝利数は0になります。
つまり、クラシックに出た馬や内国産馬が軒並みオペラオーに蹂躙されていたと。そうなると弱く見えるのも残念だけど当然ですよね。
ということで、00世代は「外国産馬最強世代」として紹介させてもらいます。よろしくお願いします。
混戦模様の一年
絶対的本命が不在のまま始まった00世代のGI戦線。
時代は世紀末。日本競馬は「国際化」の波が来ていた。
数年前から地方競馬との交流が始まり、外国産馬への門戸も開かれた。
もちろん騎手も国外や地方からやってきていた。
阪神3歳牝馬ステークス。
競馬学校を主席で卒業し、デビュー1年目からGIIIを制覇した後の三冠ジョッキー、池添謙一。
彼を鞍上にOP戦を楽に勝った牝馬がいた。
その馬の調教師は池添兼雄。実の父だ。
親子でGI制覇。夢のあることだが…
GI開催当日、謙一騎手は騎乗停止を喰らっていた。
騎手にはよくあることなので仕方ないが、親子制覇の最大のチャンスを逃してしまう。
確実に勝つための代打は、外国人騎手だった。
純潔の赤
ヤマカツスズラン
父 ジェイドロバリー 母父 コリムスキー
26戦6勝[6-3-3-14]
主な勝ち鞍
阪神3歳牝馬S クイーンS マーメイドS
全日本サラブレッドC(交流GIII)
00世代
スズランなのに赤いシャドーロールのヤマカツスズランが勝利。
鞍上はピルサドスキー主戦であり、モンジューでエルコンドルパサーの夢を砕いたキネーン騎手だった。
この勝利を弾みに、桜花賞では池添謙一でGI制覇を目論んでいたであろう兼雄パパさん。
しかし年明けにスズランの骨折が判明。休養を余儀なくされてしまう。
復帰は秋まで長引くことになった…。
朝日杯。
日本ダービーでキングヘイローの失敗に涙をのんだ福永祐一。
彼にGI初勝利を届けたプリモディーネは惨敗続き。その後のキングヘイローでも結果を出し切れず。
そんな彼を救ったのは、数多くの個人馬主さんだった。
天性の愛嬌(?)と人当たりのいい性格と礼儀正しさ、真面目なところが長所だった福永騎手。そこが数多くの関係者に気に入られたのか、GIでの騎乗機会はかなり多かった彼。(今でいう横山武史ばりに乗ってた)(要するにほぼ毎回)
再起のGI勝利の機会は、すぐに訪れた。
香港魔王
エイシンプレストン
父 グリーンダンサー 母父 モンテヴェルディ
32戦10勝[10-5-2-15]
主な勝ち鞍
🇭🇰QE2世カップ連覇 🇭🇰香港マイル 朝日杯 GII2勝
00世代
デビュー戦をこの後紹介予定のダイタクリーヴァに4馬身ちぎられ、2戦目で2着に5馬身ちぎって抽選を通過しての出走。
なおリーヴァは2戦目でしくじり出走できなかった。経緯が経緯なので4番人気にとどまる。
1番人気は笠松からやってきたデイリー杯勝ち馬レジェンドハンター、2番人気はそこで2着になったラガーレグルスと、みんなデイリー杯に夢中だった感じ。
レジェンドハンターはここで勝てばオグリキャップの再来。しかも鞍上は笠松時代のオグリキャップ、そしてライデンリーダーの安藤勝己(アンカツ)なのでみんな夢を見ていたのだと思う。
そんな夢を半馬身差し切ったエイシンプレストン。
もちろん目指す先は3歳GI。
年明けも調子は良く、2000m古馬GIを視野に入れたきさらぎ賞で負けたのでマイルに焦点を絞り連勝、今年のNHKマイルはこの馬で間違いないと思われたところで、骨折。以降長い長いリハビリがはじまる。
デジャブな流れ。
そんなプレストン不在のNHKマイルを勝利したのは、やっぱりアメリカ産馬だった。
二刀流
イーグルカフェ
父 ガルチ 母父 ヌレイエフ
46戦5勝[5-4-4-33]
主な勝ち鞍
JCダート NHKマイルC 共同通信杯 七夕賞
00世代
後の香港魔王に代わって、後の二刀流が勝利。
鞍上の岡部幸雄はシンボリインディに続いてNHKマイル連覇となった。
この後彼がダートに挑むと誰が予想できただろうか。
話は変わるが、この年の3歳クラシック路線は本当に凄惨な状況だった。
皐月賞に向けて、年明けから色々と3歳重賞が用意されているのは皆さんご存知の通り。
最近では共同通信杯の勝ち馬が皐月賞を制すと言われていて、2022年もここで2着だったジオグリフが勝ち切った。
そんな牡馬の重賞のほとんどが外国産馬と地方馬に荒らされてしまっていたのだ。
2歳の新潟2歳、京王杯2歳、デイリー杯、朝日杯から始まり、京成杯、共同通信杯、きさらぎ賞、毎日杯が外国産馬か地方馬の勝利。
国内牧場生まれの中央馬が相当不作だったことがわかる。
内国産中央馬が皐月賞までに勝った3歳牡馬重賞はシンザン記念、弥生賞、スプリングSのみ。しかも弥生賞とスプリングSは皐月賞トライアルなので外国産馬はまず出てこない。
不安要素しかないが、1頭だけ実力上位の馬がいた。
輝石の子
ダイタクリーヴァ
父 フジキセキ 母父 サクラユタカオー
19戦7勝[7-5-2-5]
主な戦績
スプリングS GIII4勝 皐月賞&マイルCS2着
00世代
そう、例のエイシンプレストンを4馬身ちぎったダイタクリーヴァだ。
この馬がシンザン記念とスプリングSを勝った張本人。朝日杯には出られなかったが、実力は本物だったのだ。
皐月賞はもちろんリーヴァが1番人気で、2番人気は弥生賞馬フサイチゼノン…かと思いきやまさかの回避。
弥生賞2着のエアシャカールが僅差で2番人気に。
リーヴァの騎手がまだ実績のない若手で、シャカールの鞍上が武豊だったことで票は大きく割れた。
結果はウマ娘履修済みならお分かりだろう。
クビ差の大接戦を制したのはこの馬。
狂気の二冠馬
エアシャカール
父 サンデーサイレンス 母 アイドリームドアドリーム
20戦4勝[4-6-1-9]
主な勝ち鞍 牡馬二冠(皐月賞、菊花賞)
00世代
武豊に「サンデーサイレンス産駒の悪いところが全部詰まったような馬」「頭の中見てみたい」などと遠回しにdisられたことでおなじみエアシャカールだ。
史実では全くロジカルじゃない気性の荒さで厩舎スタッフを困らせまくっていた。
だがそこは折り合いガチ勢武豊。どんな気性難でも手懐ける。さすがの走りでクビ差1着。
ダービーに駒を進めた。
一方で、この皐月賞の裏では事件が二つもあった。
フサイチゼノン事件、ラガーレグルス事件と呼ばれるものだ。
フサイチゼノンの調教師はマヤノトップガンでおなじみ田原成貴だったのだが、彼が馬主に相談もせずに皐月賞を回避してブチ切れられたという事件だ。
故障を隠してたとかそういう噂がある。
ラガーレグルスの方は胸糞悪いが見たい方はこのリンクを参照してほしい。
7cmの死闘
日本ダービー。
前人未到の大記録、ダービー3連覇を狙う武豊。
それを追いかけるその他ジョッキー。
その中には、豊の憧れ的存在がいた。
河内洋。
ニシノフラワーやメジロラモーヌ、ニホンピロウイナーやサッカーボーイなど名馬を駆りながら、皐月とダービーにだけは縁がなかった河内。
されど常にリーディング上位。言うなれば武豊のライバルであり大先輩だった。
キャリア27年目。引退も近付いてきたころ。
ウイニングチケットの時の柴田政人のように公言はしていなかったものの、絶対に勝ちたかったタイトル。
運命のゲートが開いた。
先程から「世代レベルが低い」だのなんだの講釈を垂れているが、この世代の意義はここにある。
この勝負を、この実況を生んだという功績だけでこの世代には絶大な価値がある。
最後方からレースを進めたフライト。
距離が厳しかったリーヴァを抜かすシャカール。
そのシャカールのさらに外から並ぶフライト。
アイネスフウジン、オグリキャップ以前なら考えられないような、「スポーツ」としての競馬実況。
馬でなく、騎手にフォーカスを当てた名実況。
わずか7cmが勝敗を分けた死闘。
熱い想いを力に変えて、ダービーを制覇したのはこの馬。
夢を乗せて
アグネスフライト
父 サンデーサイレンス 母 アグネスフローラ
全弟 アグネスタキオン
14戦4勝[4-2-0-8]
主な勝ち鞍 日本ダービー 京都新聞杯(GIII)
00世代
フライトの前途は多難だった。
脚部不安に悩まされがちなアグネスフローラ一族。彼も例外ではなく、3歳になるまでは十分にレースを使えなかった。
なんとかダービーに間に合ってなんとか勝てた。
栄光へのファーストフライト(初出走)は2月のこと。
わずか3ヶ月でダービー馬になったのだった。
ある種奇跡に近い一戦だった。
以降は伸び悩む。「最弱のダービー馬」などと言われたりもする。
それでも彼の残した軌跡とこのレースは間違いなく競馬史に残る名勝負。
数値やデータじゃ語れない熱いものをくれる馬だ。
3着に敗れた馬に乗っていた四位洋文は、実況に倣って「僕の夢はまだまだですね」と話した。
そんな彼も後に伝説を残す。未来の布石になる一戦だった。
そうなると菊花賞1番人気は当然フライトになる。
神戸新聞杯でも2着。3着エアシャカールに先着している。
神戸新聞杯1着フサイチソニックは屈腱炎で引退した。強い馬からボロボロになっていくこの世代。
長距離は騎手の腕が試される。折り合いやペース配分の技術がモロに出るから。
その点では武も河内も互角だった。
その上で勝敗を決めるのは、やはり馬自身の距離適性だ。
アグネスフライトに、3000mはもたなかった。
伸び切らないフライト。自慢の末脚に賭けるシャカール。
またしてもクビ差で勝利。
多分これは先頭に立つと気を抜く&すごいヨレるから矯正しつつ、ギリギリまで我慢させてるが故の着差。
おそらく武豊じゃなかったら二冠どころかGI勝ってなさそう。
そんな一癖も二癖もある二冠馬が生まれた。
もちろん期待されるのは古馬になってから。
直近の二冠馬がサニーブライアンとセイウンスカイ、二冠牝馬がメジロドーベルとファレノプシス。
期待されるのも無理はない。
しかし全然勝てなかった。フライトも勝てなかった。
3着にも入れなかった。時代はオペドトウ全盛期だった。
それでもクラシック戦線で熱いバトルが繰り広げられていたことは、ダービーの実況で伝わっただろう。
コントレイル世代にも言えることだが、強さやデータではなく、愛やドラマで馬が語られる世代が、一つくらいはあってもいいと思うのだ。
牝馬は特筆すべき馬が少ないので、秋華賞だけピックアップしておく。
ティコティコタック
父 サッカーボーイ 母父 ブライアンズタイム
22戦4勝[4-2-4-12]
主な勝ち鞍 秋華賞
00世代
なかなかインパクトのある名前だが、この馬の凄いところはそこではない。
なんとこの馬、2勝クラスから秋華賞に直行して勝利しているのだ。
重賞どころかオープン戦すら経験していない馬がGI勝利。大番狂わせすぎる。
2着はローズステークスで復帰し、池添謙一を鞍上に挑んだヤマカツスズランだったが惜しくも届かず。
ちなみに桜花賞馬とオークス馬は馬券内にすら入れなかった。やっぱ訳がわからん。
ティコティコタックの鞍上は武豊の弟、武幸四郎。
騎手にしては珍しく身長が174cmあったからスタイル良くてかっこいい。
以降もタックと武幸は牝馬GIでそこそこ活躍を見せる。
時代の狭間
ということで、00世代が加わろうとも古馬GIはオペラオーとドトウの2強で変わらなかった。
が、短距離路線は少し違った。時代の狭間であったことは違いないが。
00年、安田記念。
高松宮を制したキングヘイローや、重賞2連勝で完全に勝ちに来ていたスティンガー、スプリンターズS勝ち馬ブラックホーク、NHKマイル勝ち馬シンボリインディと、例年通り強豪揃いだった今回。
しかし、短距離においては国外に遠く及ばないことを、日本は身をもって知らされる。
靚蝦王
Fairy King Prawn
父 デインヒル 母父 ツイッグモス
26戦12勝[12-10-0-4]
主な勝ち鞍
🇭🇰香港スプリント 🇯🇵安田記念 🇭🇰チェアマンズスプリントプライズ2勝 🇭🇰香港スチュワーズC 🇭🇰ボーヒニアスプリントT
98世代
(靚蝦王は香港馬名なのでなんて読むのかわかりまへん)
フェアリーキングプローン。雑に訳すと「でっかいエビの妖精」。
日本から見ればGI未勝利馬だが、国内GIの香港スプリントを既に制していた。間違いなく強い馬だった。
BCディスタフを制した日本馬マルシュロレーヌも、きっとアメリカではこんな風に見られていたんだろうと思う。
海外馬でワンツーフィニッシュを食らった日本。
サクラバクシンオーやタイキシャトルが残した壁は、未だに遠く感じられた。
一方で、壁を突き破り直進する馬がいた。
🇬🇧ジュライカップ。
初夏のイギリス、直線GIレースの最高峰にて、アグネスワールドは強い競馬を見せた。
ジュライカップというタイトルは欧州ではかなりのビッグタイトルで、それを日本馬が制すことは容易いことではない。
ないのだが、タイキシャトルのジャック・ル・マロワ賞同様レースの知名度が限りなく0に近いので未だに評価されてない。
アグネスワールド以外に直線GIを制した日本馬はいないし、彼以降、日本馬は欧州のスプリントGIを勝てていない。
本当はめちゃくちゃ凄いことやってる。
スプリンターズステークス。
そんなアグネスワールドがジャパンに帰ってきた。
もちろん1番人気。
だが、思い出していただきたい。
アグネスワールドが苦手なことを。中山にはキツめのコーナーがあることを。
そして、安田記念で明らかになった、短距離界の絶対王者不在の現状を。
大概、そういう時って荒れるのだ。
16番人気。単勝257.5倍。
100円買うと2万5000円もらえる。
大大大波乱を起こしたのは血の宿命か。波乱の申し子の息子の大駆け。
太陽の子
ダイタクヤマト
父 ダイタクヘリオス 母父 テスコボーイ
40戦10勝[10-6-5-19]
主な勝ち鞍
スプリンターズS スワンS 阪急杯
97世代
一回この馬の競走成績を見てほしい。
この状況で買える人おらんて。
でもこの激走はなんとまぐれではなく、次のレースからはしっかり上位に食い込み続けた。
逆に今までが何だったんだ。
ちなみに、この馬はヘリオスの子なのでウマ娘に出てきて欲しいと願う声も多くなるが、あまり期待しない方がいい。
ウマ娘は今のところ消息不明となった競走馬には一切触れていない。ヤマトはその類なので、ディープインパクトと同じくらい実装は厳しい。
マイルCSでは、00世代も勝負に加わり始める。
ようやく時代の変わり目が来る。
当時の人もやっぱりスター不在の雰囲気は分かっていたようで、どの馬が勝ってもおかしくないとオッズが割れまくっていた。
そんな中知らされた、ダイタクリーヴァの鞍上変更のお知らせ。若手騎手だった高橋騎手の落馬により、安藤勝己に乗り替わり。
するとリーヴァがめちゃくちゃ売れた。
めちゃくちゃ売れてあっという間に1番人気になった。
アンカツは当時から上手い地方の騎手として有名で、度々中央に乗りに来ていた。
アンカツが乗るなら勝てるかも!と思う人が多かったのだろう。
(ちなみにステゴにも乗ったことあるしちゃんと4着でだった。誰が乗っても変わらん安心感)
この売れっぷりには陣営も困惑。リーヴァの調教師は後にハーツクライを育てる名伯楽、橋口師だったのだが
と、後の厩舎の方針まで変えるほどの衝撃を受けていた。(ここから武豊と安藤勝己を重用するようになる)
一方のアンカツさん。
「ラッキーで巡ってきたこのチャンス、無駄にしたくない」と思っていたのか「なんかようわからんけど乗せてもらえることになったわ、楽しんで乗ろう」と思っていたのかは定かではない。(たぶん後者)
しかしまたしても伏兵が飛び込んで来ようとは…
恐ろしい末脚でリーヴァを捉えたのは、同世代の外国産馬だった。
真 の 勇 者
アグネスデジタル
父 クラフティプロスペクター 母父 チーフズクラウン
32戦12勝[12-5-4-11]
主な勝ち鞍
天皇賞(秋) 安田記念 マイルCS 🇭🇰香港カップ
フェブラリーS マイルCS南部杯
主な産駒 ヤマニンキングリー カゼノコ
00世代
(実馬とイメージが違いすぎるんですけどォ!?)
ウマ娘では“どこにでも出没する”ウマ娘オタクとしてお馴染みのデジたん。こんな感じになってしまったのには理由がある。
とりあえずこのマイルCSに出るまでのローテーションを見てくれ。
今回のレースは2000年のマイルCSだ。
ゲームですか?
いくら適正があるとはいえ、数週間前までダート走ってた馬を芝GIに復帰させようとは思わない。
一体どこの調教師の仕業だよと調べてみると…
白井寿昭。
うーん、やはり白井最強。
さすがダンスパートナーをゲートに軟禁してゲート難治すだけのことはある。
アグネスデジタルは海外のセリで白井先生が購入したもの。現地では人気が無かったが、無理やり生産者を挑発して購入交渉に至ったという逸話がある。
当時のレースのことをアンカツさんはこう振り返っている。
そう。普通なら完全にリーヴァが勝っていた。
外からバケモンみたいな末脚でレコード勝ちするんだからすごい。
余りにも速すぎるからゴール前に的場騎手も慌てて減速に入ってる。
ちなみに的場騎手はこれが最後のGI勝利。今は調教師として活躍されている。
グラスワンダーで一世を風靡した的場均。最後に巡り合ったGI馬が(史実では)グラスワンダーに似ておっとりしていて、レース前でも本当に走るのか分からんくらいに落ち着いてるのにレース出たら爆発するタイプだったのは偶然だったのだろうか。
翌年に引退した的場騎手。デジタルは彼と最後に出走した京都金杯にて球節炎を発症してしまった。
以降は四位騎手に乗り替わりとなるが、なかなか結果を出せないまま、一発屋として評価は片付いた。
それが間違いと気付かされるまで、1年もかからなかった。
次回、絶対王に挑む真の勇者と、最強馬たちの饗宴。
競馬は時に、競馬を超える。
あとがき
本当はもっと楽しく書ける予定だったんですけど、アグネスデジタルは先日亡くなり、福永祐一騎手は落馬事故…
本当に何が起こるか分からないスポーツなので、会える時、見られる時に行くべきですね、競馬は。
アグネスデジタル号のご冥福をお祈りします。
(悲しみに暮れながら書いたけど福永先生があっという間に復帰してカフェの馬でGI勝っちゃったので拍子抜けしてます)
それではまた次回。
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