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【観る将におすすめ本】天盆
将棋を知らない人でも十分に楽しめるうえ、将棋の知識や見所を知っていればさらに盛り上がる、観る将のための小説。
「こういう所が好き!!」
というのが全て詰まっています。
太鼓判でおすすめできます。
ネタバレしないよう紹介しますね。
■藤井棋士登場!?
まず、藤井棋士のことにしか思えない人物が出てきます。
面白いことに、天盆の出版年は2014年。
藤井棋士の鮮烈なデビュー、快進撃27連勝は、その2年後となりますので、モデルにしたというわけではなさそうです。
作家が、こんな天才がいたら、、、というイメージで描いた登場人物が現実に現れているのもまた面白いですね。
■将棋用語がいっぱい
この本では将棋のことを「天盆」という新たな盤上遊戯で表現しています。
そこかしこに、将棋を文字った用語があるので、それを見つけるのも面白いです。
■観る将が観ているもの
将棋を観て、楽しむ観る将。
将棋を指すことを目的とせず、観る将は、一体何を観ているのか。
観る将である私は、盤面ではなく、対局者を観ています。
対局者の所作、表情、そこから読み取れる感情、思い、そういったものに想像を膨らませています。
その膨らませた想像を、喜劇、悲劇のストーリーにしているのが天盆です。
異国の地でありながら、そこに息づく人々の熱気を間近に感じられ、リズムよく軽やかに読み進められるおすすめの一冊です。