研究テーマを深く考える
こんにちは、URAKOMEです。
研究というのはある一定の長期的な時間のプロジェクトを行っていくことになるわけですが、何をやるかというのは時間をかける分非常に重要になります。
会社でいえば大なり小なり1年以上かかるプロジェクトテーマを決めるということになります。
内容によっては人生をかけたテーマになることもあります。
残念ながら、あまり意味のない研究に費やすほど人生は長くないというのは変えようのない事実です。
会社であれば多くの場合、利益(売れる・儲かるかどうか)を至上として考えるわけですが、大学における研究というのは「自由」です。
どのようなテーマで研究をするかというのは研究成果につながり、研究成果は将来その研究者のアイデンティティともなるのです。
つまるところ、研究テーマは研究者の将来を決めることでもあるのです。
しかし、ほとんどの場合、研究テーマの決定はラボの責任者(Principle Investigator: PI)によって行われ、若手研究者・技術職員がそれに沿って研究を行っていくわけです。
そのため、若手研究者が自身で良いテーマを議論しながら見つける機会というのはあまり多くないように思います。
少なくない数の研究者が将来独立したPIを目指して研鑽を積むことから、PIの仕事でもある研究テーマを考えるトレーニングは若手のことからやっておくべき事項であると言えます。
日本の場合、独立するまでに10年〜20年くらいはかかるわけですから、その期間に研究テーマを考えるトレーニングを受けた者とただ与えられて行ったきた者では大きな差が生まれるのは当然のことと思います。
前置きが長くなりましたが、本稿では研究生活の舵取りとも言える研究テーマの決定およびその訓練方法について私の考え方も交えながら書いていこうと思います。
大学の研究は自由
大学の研究は自由です。もちろん、法令遵守はありますが、会社と違って利益のでない研究をやることができます。
むしろ、大学というのは儲かる儲からないといったものではなく、学問を発展させるような研究をするべき場所と言えます。
学問を発展させるような研究とはなんだろうか?
ここは各研究者で議論になる点だと思いますが、URAKOMEは教科書に載る研究だと思っています。
教科書というのはその分野の知の体系であり、その分野の事実体系です。つまり、その分野の数多の研究成果の”かなり確からしい”事実を書いているのです。
要するに、教科書に載る研究というのは分野を推し進める・発展させる研究と言っても過言ではないのです。
では、そういったテーマをどのように見つけるのでしょうか?
イシューを見つける
解決すべき問題をイシュー(issue)と言います。
その分野のイシューを見つけるためには、まず分野について体系的に理解する必要があります。
そのために、教科書の重要なポイントを読み、理解しなければなりません。
その分野のバイブルと呼ばれる教科書をちゃんと読んで理解する、という当たり前のことが意外とできていない研究者が多いように思います。
最近流行っている研究テーマを追うことは悪いことではないですが、間違った方向性のものもありますし、自分の頭で正しいのかどうか考える基本的なところに立ち帰るのは重要だと思います。
自分のいるフィールドで最も重要なテーマの1つに取り組むというのは言うは易し行うは難しです。
ステージによって最適テーマは変わる
では、自分の分野で最も重要な課題に取り組めば良いのか?
実は、解決すべき研究テーマとその人に最適な研究テーマというのは異なります。
なぜかというと、職位によって雇用期間や研究費、さらには自身のアイデアで研究ができるか、などの制限が加わるためです。
そのあたりはざっくり以前の記事で書いています。
例えば大学院生やポスドクというのは期間が決まっており、その期間内に学位論文をまとめたり、プロジェクトで結果を出さねばなりません。
分野に大きく影響を与えるようなテーマというのは概して時間がかかるものです。
大きなテーマに取り組んでいる間に学位が取れなかったり、プロジェクトで結果が出せないと最悪の場合、就職できなかったり雇用を打ち切られて研究の世界からドロップアウトすることになります。
若手研究者が大きな夢を持って大きな論文を狙う気持ちは理解できます。
しかしながら、キャリアメイクとしてはそういった大きなテーマの知見を少しずつ詰めつつも、そのときに最適なテーマを最速で片付けていくのが良いのではないかと考えています。
そうすれば、周りからは結果を早く出し、かつアイデンティティを持った人というように見えるかもしれません。そういう人は研究の世界では評価が高いように思います。
下記の有名雑誌のコラムで同様に、最適な研究テーマの選び方について書かれています。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
Merci.