アパートオーナー向け高速インターネットプラン比較(概要版)
こんにちは。うらけんラウンジです。
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最近ではアパートの入居率向上のため、インターネット無料提供をすることが多くなってきています。アパート向け人気設備ランキングでも、インターネット無料は今でも上位にランクインしています。
現在(執筆時2021年3月)インターネットプランは過渡期と言えます。光ファイバーを利用した従来のインターネット回線においても、以前から契約変更していないプランでは速度がでない場合があります。また、スマホでも5Gが普及していけばより一層高速なインターネット接続が当たり前になってくることが想像できます。
今回の記事では、アパートオーナー(不動産投資家)目線でインターネットプランを比較してみることで、皆さまの選択に少しでもお役立ちできればと思っています。なお、対象としては10戸以下程度の低階層アパートとしています。RC造の大型マンションはまた別の検討が必要となります。
先に結論
先にさくっと結論だけ知りたいわい!という方のために、先に結論を書きます。なお、この結論は私見となりますので、記事内容を各々の保有物件にあてはめて最良の判断をなされることを期待します。
1)新築アパートのプランニング時
工務店がNTTなどの代理店になっているケースがあり、斡旋してくれる場合も多くあります。その場合は工務店に一括発注してしまったほうが楽ですし、スケジュール上の工程管理でも好ましいでしょう。後述する「高速インターネット接続のIPv6(IPoE方式)」であるかなどを確認して、工務店と相談していきましょう。
工務店が対応しておらず一緒に依頼できない場合は、ケーブルテレビやBuffaloのアパートWi-Fiを検討し、プランにはまらない場合はNTTなどの通信事業者が提供する光回線を手配するようにすると良いでしょう。
2)既設アパートに追加する時
ケーブルテレビやBuffaloのアパートWi-Fiを主軸として、その他サービス(NTTなどの通信事業者が提供する光回線など)を比較検討しましょう。
特に戸数が少ないアパートではケーブルテレビが総費用が安く、戸数が多くなるほどにBuffaloアパートWi-FiやNTT系光回線が総費用を抑えることができます。
それぞれの選択理由は、以下に続く記事を確認してください。
比較検討する項目
アパート向けにインターネット設備を工事する際、比較検討すべき代表的な項目はいくつかあります。
①インターネットの速度(入居者目線)
②アパートオーナーの手離れの良さ
③初期費用と月額費用、最低利用期間
これらの項目を比較しながら、代表的なインターネットプランについて紹介していきます。
(1)NTTなどの通信事業者が提供する光回線
①インターネットの速度
代表的なのはNTT東日本/西日本が提供するフレッツなどの光回線が該当します。高速な光ファイバーを利用するプランとして「フレッツ光ネクストファミリー・スパーハイスピードタイプ隼(NTT西日本)」というサービスがあります。なげー名前・・・略して「フレッツ隼」とか言われています。
最大速度は1Gbpsとなりますが、近隣世帯数約30戸とかで分割する、いわゆるベストエフォートタイプとなります。ベストエフォートとは、最大で速度1G出ればラッキーだよ!という方式で、通常は2〜3割程度の速度が出れば良いかと思います。フレッツの近隣世帯分割については割愛しますので、詳細に興味があればWikipediaなどで調べてみてください。
また、回線に加えてプロバイダの契約も必要となります。ここが結構わかりづらいポイントです。
昔ながらのプロバイダ接続方式としてはIPv4(PPPoE方式)を使用していましたが、すごくざっくり言うとこのPPPoEというのが遅さの原因です。いくら光回線を使っていても、プロバイダへの接続方式がPPPoEだと速度が出ないのです。
※あいぴーぶいふぉーの、ぴーぴーぴーおーいー方式などと読みます。
そこで昨今で主流になってきているのがIPv6(IPoE方式)というものです。次世代のプロバイダ接続方式と言えますので、最近の高速インターネット接続ではIPoE方式の利用が前提となっています。
※あいぴーぶいろくの、あいぴーおーいー方式などと読みます。
以前からアパートにインターネット無料設備を導入していて入居者から「アパートのインターネットが遅い!」と言われる場合は、まずプロバイダの接続方式を確認してみましょう。IPv4(PPPoE方式)のままである場合は、IPv6(IPoE方式)に移行することで通信速度が向上する可能性があります。
参考までにIPv4(PPPoE方式)で接続しているか、IPv6(IPoE方式)で接続しているのかを調べるようなサイトもあります。以下はOCNが提供しているサイトです。
なお、参考までに自宅にてIPv6(IPoE方式)を速度測定してみた結果がこちらです。下り(ダウンロード)方向で260Mbps出ており、遅延(レイテンシ)も15〜21msということで十分に高速であると言えます。
②アパートオーナーの手離れの良さ
重要なポイントです。方法としてはオーナーが分離発注をする場合と、代理店などに一括発注する場合に分かれるかと思います。
分離発注をする場合は総額は安価に抑えられますが手配ミスがあるとインターネットが繋がらないなどのトラブルも発生しますので要注意です。NTT東西フレッツ回線申込み、プロバイダ申込み、アパート内の屋内配線工事、をそれぞれ手配する必要があります。
また、分離発注で提供していてインターネット接続に不具合が生じた場合、入居者からの連絡を受けた後のトラブル箇所切り分けをオーナーが手配しないといけないのも非常に面倒です。管理会社が一次窓口となってくれる場合も、責任分界点をどこに置くかはしっかり確認しておく必要があります。
一括発注方式については、新築プランニングに併せて工務店に発注する方法と、既設アパートであれば専門に手配を行なっている代理店に申し込む方法があります。
新築プランニングかつ、工務店がインターネット手配も工事工期を管理してくれる場合であれば、お願いしてしまって良いかと思います。前述したインターネットの接続方式がどのようになるか、つまりIPv6(IPoE方式)の高速接続であるかを注意するようにしましょう。
既設アパートの場合は、それ専門で手配をする代理店業者があります。地域ごとに検索して、良い業者さんを探してみてください。ただ、後述するケーブルテレビやBuffaloアパートWi-Fiなども非常に魅力的なプランですので、併せて検討してみるのが良いかと思います。
③初期費用と月額費用、最低利用期間
こちらも分離発注とするか、工務店へ一括発注とするかによって変わってきます。
分離発注の場合であれば、恐らく各キャリアの割引プランを適用することになると思いますので、NTT東西の費用とプロバイダの費用、そしてアパート内の屋内配線工事費用が必要となります。最低利用期間についても、それぞれの契約内容に準ずることになるので確認する必要があります。
また、更にわかりづらくなってしまいますが、NTT東西は光回線の卸サービスを行なっています。(光コラボなどと言われるものです)
この光コラボ事業者に申し込みをすることで様々なセットプランを選択することも可能です。選択肢が多い分、迷う点でもありますが。
OCNやドコモでもセットプランの提供を行なっています。
工務店への一括発注の場合は様々な提供方法がありますが、アパートの屋内配線工事費用を月額費用に按分して数年回収するプランが多いように感じます。一般的には5年や6年を最低利用期間として多めに月額費用を回収して、その期間が終わったあとは月額費用が下がるプランが多いです。
例として、6年間は月額20,000円ちょっと、7年目からは月額10,000円弱というプランイメージとなります。この6年間高い部分が工事費用の按分となり、工事内容によっても変動してくる費用となります。
(2)ケーブルテレビのインターネット回線
実は各地域で頑張っているケーブルテレビのインターネット回線も悪くありません。むしろ、ちゃんと調べると非常に良いプランが多いことがわかります。既設アパートへの導入はケーブルテレビを軸に比較検討しても良い水準と言っても良いでしょう。
例えば私が活動しているエリアでは「金沢ケーブルテレビ」がサービス提供をしていますが、営業担当者から資料をもらいヒアリングした結果、なかなかに魅力的なサービス内容でした。WEBサイトの案内だけだと、ちょっとわかりづらいのが残念かもしれません。
以下、金沢ケーブルテレビの場合として記載をしていきます。それぞれ地域ごとのケーブルテレビ会社によってプラン内容は異なりますので、ぜひ詳細をヒアリングしてみてください。
①インターネットの速度(入居者目線)
アパート向けのインターネットサービスの速度プランとしては、最大300Mbpsと1Mbpsのプランがあります。1Mbpsでは遅すぎますので、300Mbpsプランを前提として話を進めます。
速度だけを見ると300Mbpsは1Gbpsの3分の1以下です。それだと遅いんじゃないの?と思うかもしれませんが、ここに表記方法のカラクリがあります。
前述しましたが、NTT東西の提供する光ネクスト隼の最大速度は1Gbpsですが、これは近隣の約30世帯で分割される速度となっています。要するにご近所さんと速度をシェアすることで、その分安価な利用料を実現しているわけです。一方で近隣にヘビーユーザーがいてトラフィックを大量消費する人がいる場合は、その影響を受けるデメリットもあります。
その点、金沢ケーブルの300Mbpsについては各戸ごと(各アパートごとではなく)に最大300Mbpsとなる方式となっています。「最大」ですので、ベストエフォートすなわち「最大まで使えたらラッキー」なのは同じなのですが、近隣のユーザーからの影響を受けにくいというのは大きなメリットとも言えます。金沢ケーブルさんは、このメリットをもっと強調してアピールすべきです。
②アパートオーナーの手離れの良さ
ケーブルテレビのインターネットサービスでは、回線とプロバイダはセットで提供されます。更に、アパートの屋内配線工事についてもケーブルテレビ会社に依頼することができます。既存のテレビ用配管を使用することが多いので、工事費用も比較的安価に抑えられるケースが多いです。
また、金沢ケーブルでは各戸に設置するモデム(終端装置)にWi-Fiルータが内蔵されているので、追加機器を導入することなく無線LANを提供できることもメリットだと言えます。
加えて入居者からの連絡についても、ケーブルテレビのコールセンターを案内することで、アパートオーナーの負担が少なくトラブル対応することができる点も優秀でしょう。導入後の手離れは良いに越したことがありません。
あと本筋から逸れますが、テレビの地上波放送もオマケに無料で付いてきます。STB(セットトップボックス=テレビチューナー)も無料レンタルとなります。
③初期費用と月額費用、最低利用期間
初期費用はその時のキャンペーン有無によっても変わります。2021年3月末までのキャンペーンの場合、加入金55,000円が0円、引込料金27500円が0円、宅内工事が1戸ごと22,000円が11,000円と、お得なキャンペーンをやっています。その時々に応じて内容を確認してみましょう。(表記は全て税込価格)
月額費用は300Mbpsプランで1部屋ごと月額1,650円となっています。注意点として、総戸数で掛け算をする必要があります。例えば6戸あるアパートで2戸だけ利用するから1,650円×2戸とはならず、1,650円×6戸 となります。つまり世帯数の少ないアパートでは掛け算の数が少なく、月額費用が抑えられることが大きなメリットとなります。
最低利用期間についても営業担当者に確認したところ、現在は設定していないとのことでした。つまり、最低利用期間なしです。今後はわかりませんが・・・と小声で言っていましたがw
(3)BuffaloのアパートWi-Fi
Buffaloもアパート向けに特化したWi-Fi(無線LAN)提供サービスを行なっています。このアパートWi-Fiもメリットが多いサービスですので、ぜひ比較検討してみることをオススメします。
なお、WEBサイトには「共用部設置タイプ」「テレビ配線タイプ」「各戸設置タイプ」の3つのプランが記載されていますが、このうち「テレビ配線タイプ」については新規申し込みは受け付けていないとのことでしたので、実質は「共用部設置タイプ」と「各戸設置タイプ」の2つのプランから選択することになります。(2021年3月現在)
加えてBuffaloの営業担当者に聞いたところ、現在ではほぼ全てのアパートに対して「各戸設置タイプ」を推奨しているとのことでした。
「共用部設置タイプ」では外壁にWi-Fi機器を取付け工事するケースが多いのですが、最近だと木造であってもガルバリウム等で外壁が保護されていることが多く、その場合に無線の電波を通しにくく安定的な通信環境をつくれずクレームとなるからとのこと。これは、内廊下にWi-Fi機器を設置しても同様とのことでした。
ホテルについている無料Wi-Fiをイメージするとわかりやすいですね。確かに接続がプツプツ途切れることがよくあります。1、2泊だけなら我慢できますが、毎日使うネット環境がそれだと激おこでしょう。
ということでアパート向けに推奨しているのは「各戸設置タイプ」となります。
①インターネットの速度(入居者目線)
速度については(1)NTTなどの通信事業者が提供する光回線と同程度となりますので、最大1Gbps程度となります。近隣と速度をシェアする方式を取っているのも同様です。と言うより、Buffaloの強みである通信機器をセット提供している光回線のコラボサービスがアパートWi-Fiだという方がわかりやすいかもしれません。(わかりにくい?)
プロバイダ接続方式についてもIPv4(PPPoE方式)は提供しておらず、高速なIPv6(IPoE方式)のみの提供となります。プランが統一されているのもわかりやすいですね。
②アパートオーナーの手離れの良さ
こちらについても(2)ケーブルテレビの方式と似ており、インターネット回線とプロバイダ、アパートの屋内配線、そしてWi-Fi機器までサービス提供してくれるため、アパートオーナーの手間が少ないのが特徴的です。トラブル時に入居者からの問い合わせ窓口があるのもメリットが大きいです。
③初期費用と月額費用、最低利用期間
「共用部設置タイプ」と「各戸設置タイプ」で金額が変わります。共用部設置タイプについては前述の通り非推奨とのことでしたので、「各戸設置タイプ」について説明します。
まず、アパートの屋内配線工事を初期一括で支払うか、月額費用に按分するかによって月々の支払い金額と最低利用期間が変わります。
初期工事費用を月額費用に按分する際は6年間の分割払いとなります。インターネット技術は日進月歩なので6年分割は期間として長いと言えば長いので、オーナー各々で支払い期間・費用とのバランスをみて判断する必要があります。
私個人の感覚としては、IPv6(IPoE)技術については比較的新しいので6年間程度は高速の立ち位置を保てるとは思いますが、室内のWi-Fi(無線LAN)規格については6年間でかなりの進歩が予想できます。メリット・デメリットを検討した上で判断する必要があります。契約期間の途中でWi-Fiルータの取り替えが可能かどうかは、Buffaloとの交渉も必要かもしれません。
さて、肝心の金額については原則として現地調査を行なった上での個別見積りとなります。参考までに、私の保有物件のひとつ(4戸アパート)で簡易試算をしてもらった回答としては以下の通りでした。いずれも税込金額です。
1)初期費用なしプラン(月額費用に按分)
6年間:月額18,040円(途中解約は違約金が発生)
7年以降:月額12,870円
2)初期費用ありプラン
初期費用:約350,000円
月額費用:12,870円
(4)NURO光
NURO光はどうなの?という質問もよく聞きます。ただ、残念ながら私の活動する北陸エリアでは、まだNURO光が提供エリアになっていません。
NURO光の提供エリア
インターネット接続方式としては高速のIPv6(IPoE方式)を採用していますので、高速インターネットを提供できることでしょう。なお、今回の比較グルーピングとしては(1)NTTなどの通信事業者が提供する光回線 に含まれるカテゴリとなります。
ぜひ今後のエリア拡大に期待したいところです。
以上、アパート向けの代表的なインターネットプランを比較してみました。世の中には様々なサービスが存在していますので、すべてを比較検討することは困難です。今後も情報共有をしながら、入居者とアパートオーナーの双方にメリットのあるインターネット接続環境をつくり上げていきましょう。