LINEスタンププレミアムの分配金の算出方法を解説します!
6月のラインスタンプの分配金レポートが届きました。相変わらず、LINEスタンププレミアムの分配金が好調です。
以前、LINEスタンププレミアムの分配金額に関する記事を書きましたが、まだまだ謎が多いので、再度、考察してみました。
利用規約にみるLINEプレミアムスタンプ分配金額
あらためて利用規約をよく読んでみましょう。以下、利用規約から、LINEスタンププレミアムに関する規約の抜粋です。
10.3 当社は、LINEスタンプ プレミアムに関し、以下の計算式に従い、算出された金額をクリエイターに対して支払います。また、クリエイターが複数の対象コンテンツを有する場合、対象コンテンツ毎に以下の計算式が適用されます。 なお、対象コンテンツ毎に以下の計算式に従い計算された金額の合計金額(9.1に定める分配金は含まれません。)を以下「LINEスタンプ プレミアム分配額」といいます。
【計算式】
・A×30%×(B/C)
A:LINEスタンプ プレミアムによりLINEユーザーから得た売上総額(税別)
※上記売上総額には月額課金、年額課金を問わず、当月において当社がLINEスタンプ プレミアムにかかる料金を受領した総額(前払式支払手段等により決済がなされた場合の日本円換算額を含めるものとし、当社は、日本円換算額の計算にあたり、合理的な換算レートを適用します。)をいいます。
B:当該クリエイターの対象コンテンツがLINEスタンプ プレミアムを利用するLINEユーザーにより送信された場合における送信したLINEユーザーの総数
※送信回数にかかわらず、送信したLINEユーザーの数を基礎とする。
C:対象コンテンツがLINEスタンプ プレミアムを利用するLINEユーザーにより送信された場合における送信したLINEユーザーの総数
※送信回数にかかわらず、送信したLINEユーザーの数を基礎とする。
計算式はシンプルそのものですが、(A)(B)(C)の言葉の定義が難しい。
まず、(B)は比較的わかりやすい表現です。要するに「(LINEスタンププレミアムの契約の元)そのスタンプを使ったユーザー数」ってことです。どれだけの数の人が、自分のラインスタンプを使ってくれたかということ。
ここでの重要な点は、送信数ではないということですね。1人のユーザが10000回送信したときでも、1回しか送信しなかったときでも、(B)は同じ「1」です。10人の人がそれぞれ10回送信した時は合計100送信ですが、B=10、100人の人がそれぞれ1回送信したら合計100送信ですが、B=100です。
次に(C)について。文章は難しい(ややこしい)ですが、これは要するに「LINEスタンププレミアム対象スタンプを送信したことのある、LINEスタンププレミアムの契約ユーザー数」ってことですね。
なぜ、ややこしい言い回しになっているのかというと、「LINEスタンププレミアム契約をしたけど、まったく利用しなかったユーザーがいる」可能性があるからで、「契約したユーザーは全員必ずプレミアムスタンプを使う」と仮定すると、シンプルに「LINEスタンププレミアムを契約しているユーザ数」ということですよね。以降は、この仮定を前提に記載します。
以上を理解したうえで、計算式をあらめてみてみましょう。
考察をシンプルにするために、LINEスタンププレミアムの料金が1種類の月額料金しかないと仮定すると、
売上総額(A)=月額料金×契約ユーザー数 ≒ 月額料金×C
となりますので、規約に書かれている計算式は、
A×30%×(B/C)
=月額料金×C×30%×(B/C)
=月額料金×30%×B
となります。つまり、プレミアムスタンプが1回でも送信されたら、プレミアムスタンプの月額料金の30%が支払われる、ということになるのです!!
具体的な金額でみてみましょう。
LINEスタンププレミアムの料金体系を見ると、
■ベーシックプラン:
240円(月額プラン)、2400円(年額プラン)、120円(学割プラン)
■デラックスプラン:
480円(月額プラン)、4800円(年額プラン)、360円(学割プラン)
というプランがあります。
例えば、ベーシックプランの場合、240円×30%=72円、学割プランの場合は、120円×30%=36円が分配されるはずなのです。スタンプが一つ売れると、31円とか42円の分配金がもらえます(購入の仕方で金額が異なります)。それと比べても遜色ない金額がもらえるという結果になりました。
でもちょっと待ってください。実際にどれくらいの分配金があったのかを実績をもとに見比べてみると、圧倒的に金額が少ない。一番少ない金額では1円という金額がありました。なぜ?!
再び、利用規約に戻りましょう。
10.4 当社は、LINEスタンプ プレミアムを初めて利用するLINEユーザーに対して、LINEスタンプ プレミアム利用料につき、当社所定の期間(以下「無料期間」といいます。)無料とする場合があり、クリエイターは予めこれに同意します。
という記載があります。そうなのです!LINEスタンププレミアムには無料期間があるのです。つまり
売上総額(A) < 月額料金×契約ユーザー数 ≒ 月額料金×C
なのです。
さらにもう一つの可能性があります。
「月額課金、年額課金を問わず、当月において当社がLINEスタンプ プレミアムにかかる料金を受領した総額」と書かれています。「当月において」とあるので、「月額課金」の場合はわかりやすいのですが、「年額課金」の場合はどうなるのでしょうか?
例えば今月「年額課金」で加入した場合には、1年分の金額が「売上総額」に含まれるのか、それとも12か月で割り算した1か月あたりの金額が「売上総額」に加算されるのか、どっちなのでしょうか。
もし、前者だとすると、「年額課金」のユーザーの加入時期によって、「売上総額」は大きく変動することになります。もしベーシックプランの2400円やデラックスプランの4800円が、その月の「売上総額」に計上されるとすると、その月だけ売上総額は大幅アップになります。でも、その翌月以降は0円が11か月続くわけです。これは、大きな変動要素です。どっちなんでしょう?!
このような変動要素があるので、最低金額1円しかもらえないスタンプが存在するのではないかと思われます。つまり、無料期間のユーザーが多い月に、スタンプが送信されたとしても、母数となる「売上総額」が少ないため、分配金も少ししかもらえない、ということです。
LINEスタンププレミアムのスタンプごとの分配金
実際に受け取ったスタンプ毎のLINEスタンププレミアムの分配金額を確認してみました。
対象は、2019年9月~2021年6月のデータです。
最低金額:1円
最高金額:3,174円
平均:71.57円
※データ数は831です。
です。1円から3,174円まで、ものすごく開きがあります。これだとよくわからないので、分布を見てみましょう。下図のヒストグラムを見ると、ほぼすべてが、125円以下にあることがわかりました。
これだと分布がわからないので、125円以下を拡大してみました。
大半が7円~13円、次点が6円以下ですが、よく使われるスタンプになると、45円以上になり、最初のグラフのとおり、3,147円もの分配金がもらえるスタンプもあるということがわかりました。
これまでの最高金額3,147円から逆算すると、3,147円≒240円×30%×43人ですので、約43人の方が送信してくれた計算になります。もし学割ユーザーばかりでしたら、86人が送信してくれたことになります。
LINEスタンププレミアムでなく、従来の売り切り型の場合、スタンプが1個売れると、約31円の分配金がもらえますから、仮に86人が使った場合を想定すると、計算上、2,666円の分配金総額となります。この2つの数字(3,147円と2,666円)を比べる限り、従来型の販売方法よりも、LINEスタンププレミアムの方が取り分が多い、ようにも感じます。
さらに、ここで興味深いことがあります。
スタンプ別の分配金額の平均は71.57円なのです!
上の方で書きましたが、
「例えば、ベーシックプランの場合、240円×30%=72円」
が期待値なのです。近い数字が出たのは、たまたまなのか、それとも平均値は、この期待値に近づく傾向があるのか?!興味深い結果となりました。
LINEさんのリスク
さて、上記の考察が正しいと仮定して、今後はLINEさんの目線で見てみましょう。
まず考察をシンプルにするために、料金体系はベーシックプランの月額課金のみを仮定します。この契約者は月額240円を支払い、スタンプ使い放題です。例えば、10種類のスタンプを送信したとしますと、
240円×30%=72円
を各スタンプ(コンテンツ)に支払うことになるため、総額では、
72円×10コンテンツ=720円
を分配することになり、月額課金で得た金額240円を超える分配金額を支払うことになります。赤字です。これでいいのですか?!ラインさん!
さらに、スタンプ使い放題なので、コンテンツ数に上限はありません。リスクが大きすぎませんか?!本当に大丈夫ですか?ラインさん。
ここまでの理解が正しいとすると、LINEスタンププレミアムは、LINEさんが儲けるための仕組みではなく、LINEスタンプの利用を促進するための仕組みであるように思われます。
LINEスタンププレミアムに参加すべきか
最後に、クリエイターはLINEスタンププレミアムに参加すべきか?!についての考察です。
これまでの考察で答えは出たように思います。
参加すべきです。
LINEスタンププレミアムに参加したからといって、従来の売り切り型の販売がなくなるわけではありません。売り切り型の販売も残されているので、購入意欲のある方には、引き続き、購入していただけるでしょう。
売り切り型の分配金の約31円と、LINEスタンププレミアムの分配金の最低金額1円~7円を比べて、損だ、と感じる方もいるかと思います。でも、よく考えてください。例えば7円の分配金が5か月続いたら、35円です。売り切り型の分配金を超えます。5か月も使ってもらえるのか?!という疑問もあると思いますが、逆に使い続けたいと思わないスタンプを売り切り型で買ってもらえるのでしょうか?!そう考えると、LINEスタンププレミアムの方が有利な印象を受けます。ず~っと使い続けてもらえたら、分配金はず~っと続くわけですから、LINEスタンププレミアムの方が夢がありますよね。
さらに、従来の売り切り型の場合、売上金額の30%をAppleさんやGoogleさんがプラットフォーム料金として持っていきます。そして、その残りをLINEさんとクリエータが半分ずつもらっていたわけです。LINEスタンププレミアムの場合、このプラットフォーム料金の扱いがどうなっているのかは利用規約からは読み取れませんでしたが、ひょっとしたらAppleさんやGoogleさんに払わなくてよい?あるいは支払う金額が減る?といったメリットがあるのかもしれません。
さらに「LINEさんのリスク」で書いた通り、LINEさんが儲けるための仕組みでなく、赤字がでても実施する料金設計になっているとすると、ユーザーやクリエイターにとっては、余計なところにお金を払わなくてよい(取られなくてよい)という有利なモデルになっている可能性が高いのではないかと思います。
したがって、結論は、「LINEスタンププレミアムには参加すべき」です。
おわりに
いかがでしたでしょうか?ややこしい話で頭がこんがらがりそうになりながら、考察してみました。この考察通りなのかどうか、引き続き、毎月の分配金レポートを眺めながら検証していきたいと思います。
そのためにも(笑)、ぜひ、urajoのスタンプをご利用ください。
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