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Ⅳ6→Ⅴ7(#5,b9)→ⅠM7のコード進行がすごい解決感あるって話 #雨降れば

ええ、もう楽譜が読めれば表紙画像だけでⅤ7のb9thが良いアクセントになっているって通じると勝手に思うことにします。

要は、「クリシェ(ライン)」の話です。

Ⅳ→Ⅴ→Ⅰは、既に使い古された王道の終止形コード進行だというのは、理論をかじっていれば耳タコと言って良い話だと思います。

そもそもⅣ→Ⅴ→Ⅰは、Ⅳの5th(スケールのⅰの音)→Ⅴの3rd(同じくⅶ)→Ⅰのroot(当然ⅰ)と、メロディのようなラインを作ることで、『場面が進んでいる』→『ここで終わった』という感覚(「コードの解決」と言います)を味わうことが出来ます。これが、クリシェです。

同じクリシェを持つのが、Ⅰ→Ⅴ→Ⅰ。幼稚園や保育園でおじぎするときのアレです。

さらにジャズ理論をのぞいてみると、Ⅳの下に6thを入れて、Ⅱm7→Ⅴ7→Ⅰという王道進行(通称ツーファイブ)があると説明されていて、この話だけで教則本1冊が書かれているほど。(下記リンク参照)

決定版ツー・ファイブ・ジャズ・ライン アドリブ・ネタに最適! セッションで役立つジャズ・フレーズ集

さて、話を最初に戻しましょう。下記オフボーカルの1:32~1:45付近がサビ前4小節(表紙画像部分)になります。念のためもう一度画像を置きますね。

このコード進行を書き起こします。

Bb6→C7(#5,b9)→FM7→A7(→このあとDm7に向かいます)

これを先ほどから書いているローマ数字表記(音階に沿った表記)に直すと、

Ⅳ6→Ⅴ7(#5,b9)→ⅠM7→Ⅲ7(→Ⅵm7)

となります。

これを一つ一つ説明するとややこしいので、(正直もっとややこしいけど)どういうクリシェがあるか説明するために1枚にまとめた画像をご用意致しました!

見 づ ら い !

けどこれくらいしか、1枚の画像で表せる方法が無かったんです……。(都合上、クリシェに入らない構成音も載せていますが)

とはいえ、分かりにくいので、クリシェを書き起こします。上から、

①D→Db→C→C#(=Db)(→D)

②(Bb)→Bb→A→(A)

③G→G#→A→(A)(1つ前と合流)

④F→E→F→E(→F)

となります。どうでしょうか。ついて行けてますでしょうか。ローマ数字表記やコードの構成音はもう面倒くさいので書きません。

とにかく、この半音の動きが「解決」という感覚をもたらすのですが、それが合わせて4種類揃っているのが、このコード進行のすごいところなのです。

タイトルで『何だよⅤ7(#5,b9)って』思った方もいらっしゃると思いますが、ここの#5thが③番のライン、b9thが①番のラインを作り、①と④に至っては、サビ4小節前から既に、サビ頭のDm7(Ⅵm7)へと向かっています。

そして、もっと細かい説明をすると、Ⅴ7だけで、3rdと7thの音が「トライトーン」という、とても不安定な音程を持っています。

もちろん、そういう名前が付くほど特殊だということなんですが、これがⅠに向かう時に、この2音が半音ずれてⅠの構成音に落ち着く(「解決」する)のです。

これがⅤ7(#5,b9)になると、rootと#5thが、rootを1オクターブ上げると、これも「トライトーン」になるのです。(b9thは#5thの完全4度上なのでぴったりはまります)

実を言うと、解決先のコードとしてはⅠM7でなくても良くて、Ⅰで良いんですが、M7thの音が次のA7の3rdと共通音になるので入れているという事情も。

不安定(トライトーン)+不安定→安定の流れ、と言いますか、正直もう勢い任せで書いているので言葉が思いつかないんですが、このクリシェトライトーンの組み合わせ、というのがこのコード進行のおいしいところなのです。

しかも、クリシェに下降→上昇、上昇、下降→上昇→下降の3パターンあるのが、と語り出すと余計日本語が怪しくなりますし、いつまで経っても終わらないので、本日はここまで。

ぜひ原曲も聴いてくださいね。(宣伝)


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