PFAS(ピーファス)について考えてみる
1.PFAS(ピーファス)とは?
有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物を総称して「PFAS」と呼び、1万種類以上の物質があるとされています。
PFASの中でも、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)は、幅広い用途で使用されてきました。これらの物質は、難分解性、高蓄積性、長距離移動性という性質があるため、国内で規制やリスク管理に関する取り組みが進められています。
PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)
消火剤などに使用されていた。
PFOA(ペルフルオロオクタン酸)
電子基板などの工業製品に使われていた。
解説
炭素数8個の有機化合物、C-F結合は結合力が非常に強いため化学的に非常に安定である。上で述べた難分解性、高蓄積性、長距離移動性は、この結合力の強さに由来する。
また水溶性も高いため、一度水に溶けると分解されることなく水の中で長期間残存する。水道水がこれらに汚染されると人の体内に取り込まれることとなる。体内に取り込まれた場合で考えてみるに使える数値として半減期がある。半減期とは体内に取り込まれた物質が体内で半分の量になる時間を表している。下記に示す。
〈半減期〉
PFOS:約5年
PFOA:約3年
難分解性という特徴の影響もあり、圧倒的な半減期の長さである。一度体内に取り込まれると回収することは不可能である。つまるとこ、口にしないことが最大の防御策といえるであろう。
健康への影響
発がん性
世界保健機関(WHO)の専門組織である国際がん研究機関(IARC)は、2023年12月の発表で、PFOA・ピーフォアの発がん性を「可能性がある」から2段階引き上げ「ある」に認定した。 また、PFOS・ピーフォスは、新たに「可能性がある」の分類に追加した。
(補足)
IARCによる発がん性分類は1,2A、2B、3の4ランクに分けられます。1が発がん性の可能性が高く、3は分類できないが発がん性の可能性があるかもしれないということです。ざっくり下に分類します。
1 :発がん性確定(PFOAはここ)
2A:発がん性がほぼ確定(アクリルアミドなど)
2B:発がん性があるかも(PFOSはここ)
3 :分類できない(茶、カフェインなど)
PFOAはランク1、PFOSはランク2Bであることから発がん性の可能性があるといえる。
ホルモンかく乱作用
PFASは、ホルモンの働きを阻害すると考えられています。甲状腺疾患や生殖機能の異常、肥満、心疾患などのリスクを高める可能性があります。
免疫機能の低下
PFASには免疫機能を低下させ、感染症にかかりやすくなる可能性があります。
基準値
この場合の基準値は日本国内に限定する。
水道水
50ng/L(PFOS・PFOA合計)
河川・湖・地下水
50ng/L(PFOS・PFOA合計)
血中濃度
20ng/L(PFAS7種合計)
日本の現状
あらかじめ、おことわりとして話しておくと、このブログは特定の市町村を陥れたり、デマ情報を流す目的は一切ない。市町村が公開している情報をもとに記載しています。
岡山・吉備中央町「円城浄水場」
1200ng/L(国の暫定目標値の24倍)
三重・桑名市「多度中部送水場」
170ng/L(国の暫定目標値の3.4倍)
上記は水道水の基準です。河川基準の結果は上記リンクでご覧になれるので気になる方はご覧ください。
少しだけ触れますと、大阪・摂津市の地下水で国の値の420倍にあたる2万1000ナノグラム/Lが確認されています。
対応策
水道水
現状では、高圧膜処理やイオン交換樹脂、活性炭による吸着プロセスを活用した浄水器が、水道水に含まれるPFASを避ける対策として効果的である可能性が高いと推測される。
魚・農作物
環境省では、全国規模でPFASの水質測定を行っています。それらのデータを参考に汚染の影響が少ない水域で獲れた魚介類・野菜を選ぶことで、ばく露リスクを抑えられる可能性がある。
消費者製品
調理器具や化粧品は直接体内に取り込まれやすい用途で使用するため、できる限りPFASフリー製品を選択することで、PFASが体内に入るリスクを避けられる可能性が高くなる。
雑談
今回、PFASについて気になったので調べさせていただきました。調べれば調べるほど、日本の現状に危機感を抱くこととなりました。上記で述べた市町村は数年間住民に事実上の隠ぺいしたりと対応の遅さも見受けられます。自分が住んでいる市も含め、市町村のホームページで確認させていただきました。結果は基準値以下でほっとしています。ただ、事実上の隠ぺいされると調べる手段がなくなり手の打ちようがなくなるんですよね。このことは大問題と言えます。
今回は日本の基準でまとめましたがWHOなど世界の基準と比べると日本基準は甘いと言わざる負えません。むしろ、国民1人1人がこの事実を知らないために対策が後回しにされている気さえもします。この問題が少しでも改善されるといいと思いこの記事を書きました。