市民団体向け「企画を効果的に実行するための戦略マップづくり講座」の受講レポート
市民団体向けの「企画を効果的に実行するための戦略マップづくり講座」を受講しました。
この講座は、鎌ヶ谷マネジメントラボの主催で、令和5年度千葉県市民活動団体マネジメント事業「事業力強化をテーマとする講座」の1つです。
講師は、千葉県商科大学商経学部准教授の森先生でした。
先生の講義内容を、ウラシマなりに整理しましたので、ご紹介いたします。
管理会計・経営会計という考え方
テーマの「戦略マップづくり」の前段として、会計や予算について、基礎的なことを確認しました。
まずは、簿記等の財務会計の説明のあと、先生のご専門でもある「管理会計」について、詳細な説明がありました。
管理会計(マネジメント・アカウンティング)は、経営会計とも呼ばれ、組織の経営資源を有効活用し、目標を設定・達成する仕組み・仕掛けで「将来志向」の会計のことです。
また、NPO法人や市民団体等(以下「市民団体等」とします。)では、企業の会計とは異なり、次のようなポイントがあるとのことです。
・主たる目的:社会的課題の解決を通じた価値創造
・利潤の扱い:事業拡大等に利用
・主な収益源:寄付金、会費、補助金、事業収入等
企業と異なり、利益・収益を生むことが活動目的ではない市民団体等では、活動の持続可能な財産(お金)を確保するマネジメントが必要とのことでした。例として次のようなものがあります。
・固定費のコストダウン
・収入内に費用を抑える活動計画
・操業度を意識した事業収入、参加費や単価の設定
市民活動でも中期経営計画は重要
ここでは、中期経営計画の基本的な内容の講義をいただきました。
中期経営計画では、「将来的な目標の明確化」や「実行可能性を踏まえた将来のあり方を描く」ことを目的に、3か年を目安に、目標実現のための効率的かつ数字によって裏付けられた計画を作成するが望ましいとのことです。
計画の主な内容は、「収支計画」「プロジェクト計画」「個別の事業・活動計画」などとなります。
市民団体等の中期経営計画では
・3年後の「こうなっていたい」
・それに向けた「やること」「必要なこと・もの」
・イケる!というワクワクする計画
などを記載するとよいとのことです。
参考として、市民団体等の中期経営計画の事例もご紹介いただきました。
【認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ】
https://musubie.org/news/8095/
戦略マップをつくってみよう
いよいよ、メインテーマである「戦略マップづくり」です。
今回は、BSC(バランススコアカード)の手法を活用して、戦略マップをつくる方法を学びました。
BSC(バランススコアカード)とは
「財務の視点」「顧客の視点」「業務プロセスの視点」「学習と成長の視点」の4つの視点で、戦略目標やKPI(成果指標)、目標値を設定し、それぞれのプロセスの価値連鎖・因果関係を繋げていき、組織戦略やビジョンに向けて「何を目指すか」「何をするか」を見える化するもの
なお、企業では「財務の視点」が1番上に来るが、市民団体等では「顧客の視点」が1番上に来ても良いとのこと。
戦略マップの具体的な作成手順としては
1 組織戦略・ビジョンの確認
2 各視点での戦略目標の設定
3 KPIの背査定
4 戦略目標の価値連鎖の検討
5 目標値の設定
注意点として
・指標ありきではなく、目標重視で
・戦略目標・KPIをあまり増やさない
・誰が見てもわかる価値連鎖を描く
・非財務指標に注目
・シンプルにつくる
などが挙げられていました。
講義内容をもとに、まだまだ粗削りな出来ですが、シビックテックウラシマの戦略マップをつくってみました。
ただ楽しいだけでは続かない
市民団体等は、同じ想いを持った方たちが集まり、その想いの実現を目指し活動するケースが多いですが、気がづくと、活動費と事業収入が合わず、会員の持出しで活動を継続している場合もあります。
団体として持続可能で、かつ地域に貢献する活動を進めるためには、「仲良しグループのただ楽しい活動」だけではなく、中期経営計画や経営会計などをしっかり考えて、1年1年確実に活動を展開することが重要であると学びました。
さいごに
素人の我々にも、とてもわかりやく、丁寧にご講義いただいた森先生に感謝するとともに、このような有意義な講習会を企画・開催いただいた鎌ヶ谷マネジメントラボさんに、お礼を申し上げます。
ありがとうございました。