ピースボートと私 その11
神戸から乗ってきたルームメイトは、
ドレッド頭で陽気な子
大人っぽく色気のある子
アメリカに留学しているクールな子
三者三様で、今まで出会ったことないタイプの人種だった。
最年少だった私は遠慮に遠慮して右上のベッドを使う事になった。
その夜、知恵熱を出しさらに外海の揺れの洗礼を浴びた私は、最初の寄港地の沖縄につくまで、何も食べられずベッドから降りられもしなかった。
スタートダッシュに失敗した私は、その後も持ち直す事ができなかった。
PAチーム(音響スタッフ)に所属してみたり、船内で金髪メッシュでイケイケな子と「しゃべり場」を企画したりしたけれど、船酔いを理由にして、完全燃焼できていないと感じていたし、一緒に乗ることを心底楽しみにしていたスタッフが、直前になって乗れなくなってしまった事で、やる気を無くした。
また、福岡ピースボートセンターから船と母体が大きくなった事で、自分の居場所を見失ったりした。
私はいつしか、船に乗ることを目標にしていた。船に乗りさえすれば、何かが確かなものが得られる。自分が変わると思っていた。