【映画】ミッドナイトスワン わたし的解釈その2
バレエへの想いを募らせ、体験レッスンへ行くイチカ。
先生から運動できる服はあるか?と聞かれ体操着を出す。トウシューズがなく困っていると、同世代の女の子が二つ持っていると言って貸してくれた。着替えた体操服は汚れていた。
イチカへの虐待は暴力とネグレクトだなと思った。
先生からバレエ経験を問われ、あると答えていたが、踊りのクセが強かったり、バレエ用語をよくわかっていない様子から、バレエをならっていたのは小さい頃の短期間だったんじゃないかと推測した。
まだ、お父さんがいた頃とか、シングルだったとしても、お母さんに余裕があった時の幸せな記憶がバレエなんじゃないかと想像した。
イチカはバレエを続けたいと願う。そしてナギサに相談してみようと部屋をキレイに片付けて待っているが、ナギサの事情もわかっている為、言い出せない。ナギサもイチカの変化には気付くがそこまで深追いはしない。ナギサは誰かに深く肩入れするのを避けているように思った。
バレエを諦めたイチカに、体験レッスンの際トウシューズを貸してくれたリンが声をかける。戸惑うイチカをよそにリンは自分の家に連れて行き、レッスン着を渡す。お金がないと受け取りを拒否するイチカに、金持ちだから気にするなと言う。また、お金がないから、どうせレッスンにも行けないというイチカに撮影会のアルバイトを紹介する。
2人は定期的に撮影会のアルバイトを続け、イチカはバレエを続けることが出来た。お金に困っていないリンがバイトをするのは、誰かに認められたい、必要とされたいと思っているからだと思った。
大好きなバレエに打ち込みメキメキ実力をつけていくイチカ、一方リンは怪我のせいで思うように踊れない。バレエなら誰にも負けないと思っていたのに、先生のお気に入りの座もイチカに奪われる。
嫉妬からリンは危険な個別撮影のアルバイトをイチカに勧める。イチカも薄々は気付いていたものの、コンクールに出るお金のためにも、個別撮影に挑むが、受け入れがたい要求にパニックになり、結果撮影会を滅茶苦茶にし、警察が出動する事態となる。
秘密のアルバイトがナギサとリンの母に知られる事になるが、リンの母は話を一切受け入れず、全てはイチカのせいと自分に都合のよい解釈で、手に負えないリンを完全になかったことにした。
ナギサは性消費されるイチカを見てられなかったんじゃないだろうか。
初めてイチカに向き合い、自傷癖にも気付く。そして、自分ではどうにも出来ない境遇に苦しむイチカに深く共感したんじゃないかと思う。
共感は愛だ。
イチカを放って置けなくなったナギサは、自分が働くショーパブにイチカを連れていく。
ショーパブでは、その日も同僚のミズキが男の為に金策に走っている。
ナギサはそれをきっと半分哀れに、半分羨ましく見ていたんだと思う。
私はナギサが誰かに深く肩入れしないのは、愛情が深いからだと思っている。ミズキに自分の姿を見ていたんだと思う。
その日、ショーパブにタチの悪い客がいた。
ヤジを飛ばされ、ミズキがキレた。続けてナギサもキレた。
今までだってきっと同じような事はあっただろうし、流して来たはず。だけど、許容量を超えた。そして掴み合いのケンカになった。
ケンカで空になったステージでイチカがバレエを踊る。皆がその姿に釘付けになる。ナギサが人生を賭ける先を見つけた瞬間だと思う。
仕事終わり、ナギサがイチカに白鳥のカチューシャを渡す。
イチカのバレエ教室通いを応援するってことだと思った。