ANYWHERE / FLOWRE TRAVELLIN BAND 雑感
花のふーてん・ばんど丸出しのジャケット
1970年に結成されたフラワートラベリンバンド。元々はシェケナベイベーでお馴染みの内田裕也氏のグループになんやかんやメンバーが集まりなんやかんやで改名してなんやかんやで内田裕也氏をプロデューサーに置いてデビューすることになる。
前述の「花のふーてん・ばんど」という言葉は内田裕也氏が今作をリリースした際にこのバンドを指して言い表したものですが良い訳しかたですね。
今作は海外のバンドの楽曲をフィーチャーしたプレイが随所に出てきますが只のコピーとはまるで違うフラワートラベリンバンドの曲になっている所が素晴らしい。そしてカッチョいい。
70年代にこんな骨太のロックやってる日本人がいたんだなと初めて聴いた学生の時に驚いたのとその頃の日本のバンドに興味を持たせてくれたということで個人的にも好きなアルバムです。
縦横無尽にジャンルを飛び越えて演奏される楽曲達はなるほどトラベリンバンドという名前にふさわしいです。
70年に突如現れた彼らはどんな花を咲かせたのでしょうか。(上手いこと言えた〜)
曲目です。
1.ANYWHERE
表題曲。ごく短い楽曲でブルースハープを鳴らしているだけなのですがこれがこのアルバムのコンセプトを明確に表しているようでとても良いのです。プライベートで気軽に鳴ってるような音が旅の途中であるように感じられて途中軽く口ずさむように歌われるANYWHERE(どこにでも)という言葉通り次曲から彼らによって演奏される海外バンドの楽曲によっていろんな音楽に触れる旅に連れて行ってもらえる気分を効果的に高められてる気がします。
2.LOUISIANA BLUSE
マディ・ウォーターズの楽曲を彼らもまたほかのグループのカバーを経過して演奏されたものと言われてますがもはやオリジナルだと思います。古典的なブルースの解釈に彼ら独自のハードロック色を加えることでフラワートラベリンバンドのブルースになっているので。ブルースは誤解を恐れず言えば全て同じようなものだからこそ演奏する人によって全く魅力が異なる所が素晴らしいと思うのでこの曲も彼らの魅力が詰まったブルースだしハードロックであると思います。
3.BLACK SABBATH
ブラックサバスのブラックサバスのカバー。
ハードロック色の強い今作はヘヴィなギターとVo.ジョー氏の妖しく伸びた声により原曲よりも退廃的で恐ろしげな雰囲気をだしています。
歌もちゃんと譜通りに歌ってるというより叫びたい時に叫ぶといった感じがより曲にマッチしてるように聴こえます。
4.HOUSE OF RIGING SUN
アニマルズによる楽曲のカバー。そもそもアメリカのトラディショナルな楽曲が様々なバンドを経過して70年の日本のバンドの元で演奏されているのが面白いですね。そしてこのフラワートラベリンバンドによるアレンジはフォークを前面にだしかつそれがツェッペリンの天国への階段を想起させるというのがすごい。
天国への階段のリリースが71年ですからこのバンドの音楽への解釈の幅広さというか、何しろ今ほど情報が無い時代にやってしまうのがすごい。
それは他の選曲やアレンジにも言えますが。
5.21st CENTURY SCHIZOID-MAN
キングクリムゾンの楽曲のカバー。邦題は21世紀の精神異常者 または狂った男。数年前に表記に問題があるとして題名が変えられましたが私はこちらで覚えたので。
割とストレートなカバーですが原曲に比べてホーンが無かったり録音技術の足りなさのせいか若干いなたい印象を受ける方もいるかもしれませんが私はよりバンドサウンドを感じられ好みの音です。しかしやはりカッチョいい。原曲がもちろんブッチギリカッコイイからというのはあるのですがそれを70年の日本で引けをとらない演奏がされていたというところに感動してしまいます。
6.ANYWHERE
アルバム最後の曲。一曲目と同じなのですがこの曲で始まり終わるというのがコンセプチュアルですね。
聴きました。
とてもカッコいい今作。
バンド名とアルバム名、さらに収録曲から感じるのは内田裕也氏がこのバンドを日本から世界へ発信し日本にもカッコイイバンドがいるぞということを知らせ、また国内には海外の音楽を知らせるためのパスポートとしての働きを期待していたように思います。
ハードロック、サイケ、フォーク、ブルース、プログレ等々と音楽を旅するバンド。
このバンドの演奏を聴いた人は同じように様々なジャンルを越えた音楽の旅にでてしまうのではないでしょうか。どこへでも。(決まりました)
わちゃわちゃ言ってますが
前回書いた嘘記事もよろしければー。
それではー。