【学科】トーレ・ヴェラスカ(用途/集合住宅)
前回からの続き【建築作品を学ぼう♪】シリーズ
今回は,イタリアのミラノに建つトーレ・ヴェラスカ.
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■解説
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歴史あるミラノの町並みの上空に集合住宅の塊が浮かぶトーレ・ヴェラスカは.高さ106メートルの高層建築でありながら最上部に勾配屋根を持ち,中世都市の塔を彷彿させる.
上空に浮かぶ「塊」から外部に柱が飛び出し,その柱が低層部のボリュームと斜材(コンクリート・ブレース)で連結されている.この力学的緊張感は,中世のゴシック建築の特徴であるフライング バットレス(↓)を逆さにしたようだ.
このつっかい棒のような斜材は,近くにあるミラノ大聖堂との呼応関係がある.つまり,地域性がデザインされている.これは,地域性を無視して,どの地域でも同じ材料(鉄,ガラス,コンクリート),同じ構成で高層ビルを乱立させていったインターナショナル スタイル(=国際様式)への皮肉というか,反発的なデザインでもある.
設計者の一人であるE.ロジャースも,トーレ・ヴェラスカのデザインは,ミラノ大聖堂の構造表現に対する応答であり,ミラノという街の〝雰囲気〟への応答であると語っている.
低層部は店舗やオフィス等で,上層部の「塊」部分が,集合住宅となっている.
設計はBBPR.BBPRは4人の建築家(Gianluigi Banfi,Lodovico di barbiano,Enrico Peressutti,Ernesto N Rogers)で構成されるグループ名.
尚,第二次世界大戦後の1950年代後半に,敗戦国となったイタリア,日本,ドイツで高層集合住宅の名作がそれぞれ新築されている.日本では,前川國男の設計による晴海高層住宅(コチラ)がこのトーレ・ヴェラスカと同じ1958年に竣工し,その翌年に,ドイツでハンス・シャロウンによるロメオとジュリエットが竣工している.
■学科試験ではどう問われる?
平成5年(1993年)の一級建築士「学科」試験で問われた知識です↓
【解答】〇
■まとめ【サマリーキーワード】
✅高層集合住宅
✅低層部は店舗,上層部は集合住宅
✅フライングバットレスのようなデザイン
✅地域や街並みとの呼応
■建物概要(製図試験対策用)
【建 物 名】トーレ・ヴェラスカ
【竣 工】1958年
【階 数】地下2階 地上27階建て
【構 造】鉄筋コンクリート造
今回は以上です♪
次の建築作品へ続く.