【学科】国立国会図書館 国際子ども図書館
前回からの続きです.
~↓↓↓1分で解説!YouTubeショート動画↓↓↓~
コチラ↓のYou Tube動画(約11分)もご覧ください.1.5倍速や2倍速での視聴で構いません.
国際子ども図書館(東京都,2002年,久留正道,安藤忠雄)は,日本で唯一の国立の児童書専門図書館である.1906(明治39)年に帝国図書館として新築されたレンガ造のレンガ棟と,アーチ棟で構成される.
レンガ棟は,明治期を代表するルネサンス様式の洋風建築として東京都の歴史的建造物にも選定されており,レンガ棟を正面から見て左側の部分は,1929(昭和4)年に増築された鉄筋コンクリート造であり(設計/久留 正道(くるま まさみち)),外壁仕上げには,既存部分のレンガ仕上げにあわせたタイルが貼られている.レンガ棟の道路を挟んで中庭側には,外壁にガラスボックスを貼り付けて,そこに各階の廊下(ラウンジ)空間としているため,建物内部から当時の外壁部分の姿を間近で見ることができる.画像はコチラ.
さらに,建物の原形保存に努めながら,2002年に児童書の専門図書館としての機能を果たすための改修(設計/安藤忠雄他)が行われた.
旧建物の内外装の意匠と構造をできるだけ生かしつつ,1階部分には,2つのガラスボックスが既存建物を貫くイメージで増築され,道路からアプローチする部分がエントランスとなっており,反対側の中庭部分は,カフェとなっている.
また,各部屋や大階段部分については大規模な改修を避け,補修のみにとどめている.また,安全性,耐久性に十分考慮して,大規模地震にも備えて免震レトロフィット工法が採用された.この工法は,既存の建物を地盤面から切り離し,地震による揺れの影響 を1/3~1/5に低減させるもので,建物本体の補強を最小限にすることができる.詳しくはコチラ.
このように,レンガ棟は明治・昭和・平成の3つの時代を渡り,旧時代を尊重する形で進化し続け,貴重な建築遺産を保存利用しながら,新しい機能と空間をあわせもつ図書館として再生されている.
一方,2015年に完成したアーチ棟(設計/安藤忠雄)は,ガラスに覆われた,美しい曲線を描く弓状の建物で,緩やかに弧を描くデザインは,本をめくるようなイメージで設計された.講演会やイベントを開催するスペースの他,国立国会図書館の児童書関連の所蔵を利用できる資料室が設けられた.また,新たに65万冊規模の書庫も増設され,本の保存環境にとって最適な温度22度,湿度55%に保たれている.レンガ棟と2階部分で行き来できるように接続されている.
令和4年(2022年)の一級建築士「学科」試験で問われた知識です↓
【解説】
問題文は,「東京駅丸の内駅舎」の説明であるため誤り.敷地の余剰容積を他の敷地に移転できる制度とは,「特例容積率適用地区制度」のことで,「東京駅丸の内駅舎」で採用されています.この話は,平成23年(2011年)の学科本試験問題として出題されてもいます.コチラ.
「国際子ども図書館」の周辺には,高層ビルがありませんので,「特例容積率適用地区制度」とは無関係です.今後は,出題されている建物の外観や平面計画に加えて,Google Earth等で周辺環境もチェックされておくことをお薦めします.例えば,コチラ.
【解答】×
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