アップアップガールズ(2)8人の偶然、あるいは必然 第5回 絶対的センターでエースの孤高の美学・吉川茉優

吉川茉優

アップアップガールズ(2)のメンバーたち、ひとりひとりにフォーカスを当て、その魅力を掘り下げていくこの連載、5人目に取り上げるのは、1期メンバーであり、グループのエースでセンターという大役を担う、まーちゃんこと吉川茉優を取り上げます。

まだ映像でしか観たことがないだとか、ライブもたまたま対バンで観ただけだとか、そんなアプガ(2)がちょっと気になっている初心者のみなさんも、ステージでは吉川がセンターであり、エースであることはすぐに解ったでしょう。

マシュマロボイスと言われる特徴的な歌声と歌唱力、170センチの長身を活かしたダンス、言わばアイドル超人のような印象を持っている人も少なくないでしょう。

ですが彼女は、もともと歌が上手いわけではなかったようですし、アイドルが大好きで憧れていたというわけでもなかったようです。

アプガ(2)加入直後のこのインタビューを観ると、幼い頃は活発なお子様でひとり鏡の前で歌ったり踊ったりしていたようですが、特にアイドルを好きだったことはなかったのです。小学生でダンスを習い始めたのも、倖田來未が好きで、そのバックダンサーになりたいと憧れたからなのだとか。

吉川がアイドルというものを意識したのは、アイドルになってから…秋田県のご当地アイドル・pramo(プラモ)に、1期メンバーのMAYUとして加入してからでした。
そのオーディションも、モデル、タレント志望として受けたのですが、アイドルグループをやらないかと誘われ、2011年4月、12歳でpramoの一員になりました。

吉川はpramoでは2年目から歌の中心であるセンターに選ばれ、活動するようになりました。

その時のことを吉川は、「2年目からいきなりセンターに選ばれて、「なんでだろう」って思ってました」とこちらに掲載された単独インタビューで語っています。

アプガ(2)になってから「どしゃぶりのテラス席」のセンターを決めるためにTwitterのフォロワーの増えた数を競った「Twitterフォロワーアップアップキャンペーン」についても、「負けず嫌いなんで、センターになりたいってガンバってセンターになったんですけれどが、もともと私、センターとかイヤな人なんですよ」とも告白しています。

「Twitterフォロワーアップアップキャンペーン」については、本人がブログに詳しく書いてくれています。

ハイパーホビーの単独インタビューでは、このようにも語っています。

「(センターに)向いてないと思いますし、自分が一番って考えがないんですよね。それが、ダメなところだなとも思うんですけれど。基本的にはグループ全体がよくなればいいなって思うので」

センターを望んだわけではないのにpramoでもセンターに選ばれ、アプガ(2)でも不動のセンターでエースという吉川。
吉川のアイドルとしての魅力の本質に迫るためには、その理由を突き止めるほかにないでしょう。

さて、pramo時代の吉川の映像は、pramo公式チャンネルで確認できますし、

こちらのMVではセンターであるMAYUの姿を見ることも出来ます。

現在とほとんど変わらない、若き日のMAYU=吉川の姿を確認できます。
さて、pramoは17歳までで卒業という明確なルールがあったため、2017年2月5日の卒業ライブを持って、MAYUはpramoを卒業します。

ですが吉川は、アイドルを続けることを選択しました。

実は推薦で大学も決まっていたそうですが、今しか出来ないアイドルを続けたい、続けるのならばもっと大きなステージに立ちたい…という理由で東京の、アップアップガールズ(2)オーディションを受けました。

生オーディション特番では、さすがはアイドル経験者、マシュマロボイスでアップアップガールズ(仮)の「ジャンパー!」を歌いあげました。続くSHOWROOM審査最初のミッション、発売されたばかりのアプガ(仮)の書籍「7 LIVES アップアップガールズ(仮)の生き様」を使っての配信では、秋田弁で座談会を読むという、さすがはご当地アイドルという内容で感心した視聴者も多かったのではないでしょうか。

そして吉川は合格を果たし、アプガ(2)の初期メンバーになりました。

デビューシングル「二の足Dancing」から高萩千夏とともにサビを担当し、2ndシングルではセンターを勝ち取り、以降新たなメンバーが加入しても、変わらず吉川はアプガ(2)のエースであり、センターポジションを維持し、歌もダンスも後輩たちを引っ張る存在となっています。吉川のパフォーマンスに惹かれてファンになったという人も少なくありません。

最近では、ソロでのパフォーマンスの機会も増えました。

ソロでの配信ライブだけではなく、自粛中に、Instagramで「mayu_uta_loft ロフトの住人」という本来の使っていたアカウントとは別の、自宅の部屋のロフトでアカペラで歌うというアカウントを作り、非アイドル系の数々の楽曲を歌っています。

メンバーの鍛治島彩や高萩千夏とのコラボとしても、YouTubeにも数々の歌ってみた動画がアップされています。

2020年6月27日に開催された、約4か月ぶりのアプガ(2)の観客動員ライブ「アップアップガールズ(2)アオハルし・て・る・も・ん NEW SEASON」では、先輩である佐保明梨のソロ曲「Showtime」を歌い踊り、マシュマロボイスはだけではなく、グループとは違うセクシーなダンスに魅了されたファンも多かったようです。

@JAM EXPO2019の時のように喉を痛めたりすることはあれど、ほとんどいつも完ぺきなパフォーマンスでステージを魅せてくれる吉川茉優。

もちろんそれはすべて彼女の実力に間違いないのですが、彼女のパフォーマンスは最初から持っていたものではないのです。

子どもの頃はカラオケに行くと、いとこに音痴だと言われていたという発言もしています。現在の歌唱力は、確実にレッスンの賜物なのです。

ダンスは小学生から学んでいて、pramo時代にさらに研鑽され、今も新たなものにチャレンジしようとしています。

運動が苦手なのにチャレンジした東京マラソンも、最終的には楽しんで完走しました。

このように吉川をよく見ているとわかりますが、とにかく向上心が人一倍あり、ストイックで、そして誰よりも負けず嫌いである、そういう人間なのです。

こちらの結成1周年に行われた、高橋千夏との取材では、ともにアプガ(2)を引っ張ってきて、吉川はビジネスパートナーと一時期よく発言していた高萩が次のように語っています。

「まーちゃんはすごいストイックだなって思います。グループとしての成長はもちろんだけど、まずは自分を高める。みたいな姿勢はすごく尊敬します」

アプガ(2)結成から、常に一番近くで走っていた高萩が言うのですから、間違いはないでしょう。

余談ですが、クラウドファンディングでCD制作を行う#アプガ2ニューチャレンジの成功祈願ということで課された、りんごの皮むきでも…。

最初はこんな、本当に危ない!という感じだったのですが、

この生配信での29:40あたりからのチャレンジでは、見事に大成功! これも吉川の向上心とストイックさ、ひとつのことをしっかりとやり遂げるという人間性を象徴していると思います!

吉川は誰よりも練習をして、誰よりもトレーニングをして、日々向上心を持ってすべてに取り組み、その結果として不動のエースでセンターという位置にいるのです。

ストイックさという部分では、吉川は最初にあげたインタビュー動画で、オーディションの最終候補者たちがみんなLINEで連絡先を交換している中、彼女はそれは違うと思い、交換をしなかったといいます。その理由を聞かれ、

「オーディションで戦うのは自分しかいない」

「まわりに助けを求めたところで、どうなるわけでもない」

と答えました。この言葉に、彼女のストイックさが最も表れていると思います。

ステージでのパフォーマンスでは常に上を目指している吉川ですが、それ以外に意外な才能も開花させています。

まずはこの、「パプリカ」。最初は“歌ってみた”だけのつもりだったそうですが、曲の世界観、魅力にハマりMVが作りたいと思い、作ってしまいました。

2期メンバーの中川千尋、佐々木ほのか、3期メンバーの島崎友莉亜、新倉愛海の4人の魅力が短い中にギュッとつまっている珠玉の1本になっています。

「どのみちハッピー!」では、もともとMV用に自分自身を自宅で撮影した映像を、たくさん撮ったのにもったいないからと、ソロバージョンとして自ら編集しMVとして仕上げています。

アイドルになってからアイドルのファンになった吉川は、ももいろクローバーZを擁するスターダストプラネットが特に好きだといいます。
数々のスタダ系のMVを観ているからか、アイドルのMVのツボもしっかり心得ているのでしょう。2本とも非常に萌えポイントの多い、アイドルのMVとして完ぺきに近い仕上がりになっています。

MVの編集という作業も、考えてみれば最終的にはひとりでの戦いですから、ストイックで向上心のある吉川の性に合っているのかも知れません。

もちろん吉川はステージがいつも楽しく、「私は歌って踊ってさえいればいい」とも発言しています。ステージではグループアイドルとしてメンバーとともに楽しんでいますし、ファンのみなさんともいつも楽しんでいます。
ですがその根底には、ひとりで、ひとりきりで、上を目指して、高みだけを見ている、負けず嫌いの孤高の魂があるのではないでしょうか?

そんな吉川のpramo卒業直前に、アプガ(2)のオーディションが開催されました。
そして吉川が常に上を目指しているアップアップガールズの一員になったのは、タイミングがよかったのでも、偶然だったのでもなく、必然だったのだと今は思えます。

吉川がさらなる高みを目指し、いったいどこへ到達するのか、どんな存在になっていくのか、みなさん、いっしょに見守っていきましょう。

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次回もメンバー1人に焦点をあて、紹介していきます! お楽しみに!

文:岩岡としえ 


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