「フロアロック」及び「アップロックとトップロック」(EP.10)
1.フロアロックとは
フロアロックとは、言葉の通り「床のロック」である。フロアロックが生まれた背景として、前エピソードでアップロックの歴史としてバーニングからアップロックが生まれ、そこからフロアロッキングとなりブレイキンが誕生したムーブメントを紹介した。このように、アップロック(たち踊り)から、床を使って踊れるんじゃないかという発想が生まれ、フロアロッキングが誕生したのである。ビジュアルは、ブレイキンのフットワークに似ているとよく言われる。しかし、フロアロックは厳密に言うとブレイキンのフリーズに近い動きである。よく見られる基礎的な動きとしては、アップロックをしている際に床に手をついて足を開脚させるポーズが代表的である。基礎的なフロアロックのシルエットを下図に添付する。
フロアロックをバトルで使用する際は、隙が大きくなるため不向きという側面がある。しかし、一人でフリーで踊る時などは、音のハマるタイミングで行うことによって音ハメをすることができ渋くクールに見せることができる。フロアロックは、シンプルで誰でもできる動きであるがシンプルだからこそ形などにこだわり・アレンジすることができる。
例えば、フロアロックの後に足のシャッフルを入れて立ち上がりアップロックに戻ったりそういうアレンジも可能である。
総じて言うと、フロアロッキングは、いわいる床で踊るロッキングでフットワークというよりはフリーズに近い動きである。
2.トップロックとアップロックの違い
2.1.アップロックとブレイキンの違い
まず、この章の話の前に念頭においていただきたいことがある。これは、一個人の考え方の一つとして聞いていただければと思う。
まず、トップロックとアップロックの違いであるが、まずトップロックというのは、ブレイキンをやっている、bboy、bgirlが立ち踊りをすることをいう。そしてアップロックは、アップロックというジャンルのダンスである。なので、実質トップロックとアップロックは違うものである。しかし、たち踊りの内容としては、ほぼ同じである。違うところをいうと、動きのニュアンスぐらいである。両者の共通点として1点目は、両者ともに踊っている曲が同じであることだ。ブレイキンでもよくアップロックソングが流れていることが多いのである。2点目は、アップロックからブレイキンに進化しているという歴史背景があることだ。なので違いといえば、トップロックっていうのは、ブレイクダンスをする時の立ち踊り、アップロックは、アップロックというジャンルのダンスであることぐらいである。
少しの違いといえば、アップロックとブレイキンでのブロンクスステップが違っていたり、ブレイキンでは、インディアンステップをするが、アップロックではあまりやられないなど、その程度である。もちろん一概にはいえないが、アップロックもブレイキンもそれぞれにそれっぽいニュアンスの動きはある。
2.2.アップロックとトップロックの動きのニュアンスの違い
具体的に動きの話をするとまずトップロックは、ステップを踏む時に跳ねるという特徴がある。ブレイキンのツーステップやインディアンステップなどは地面から体が浮く・飛び上がる感じでステップを踏むため特徴としてダイナミックに動きが見える。対照的にアップロックのステップは跳ねず、地面から体が離れないのが特徴である。動きは、ずっとすり足のイメージである。ここは明らかな違いとしてある。動きのニュアンスとして、トップロックは跳ねるけとアップロックは跳ねないというイメージである。なぜすり足かというと、アップロックは前回記事で、半分格闘技・半分ダンスという表現をした。格闘技で考えると、人間は跳ねて宙に浮くと右左に身動きが取れないため、ジャンプしたところで止まってしまうので相手からの攻撃を対処することができないのである。そういった側面からアップロックは避けたり・ガードしなければならないため、ステップの特徴として跳ねないのである。
二点目に、トップロックの特徴としてはステップが全体として激しく全力で踊るニュアンスがある。もちろんトップロックにもスタイルはあるが一般的に激しく、全体のムーブ構成の中でも一瞬で終わることが多く、トップロックを踏んですぐにフロアに入る(フットワークなどをする)ことがほとんどである。
それに対して、アップロックは緩く・リラックスして踊るのが特徴である。もちろんブレイクスなどの激しく踊るところでは調整するが、基本的に肩の力をぬいてリラックスして踊るダンスである。なぜかというとアップロックは、基本的に一曲(5分、長ければ10分)踊り切るためである。bboyのように激しく踊ってしまうと、体力がもたないのである。
まとめとしてトップロックとアップロックの違いとして、言葉の意味としては、「トップロック=ブレイクダンスの立ち踊りのこと」「アップロック=ダンスの一つのジャンル」という位置付けである。動きの特徴でいうとトップロックは「跳ねる」のに対しアップロックは「すり足」で、足が床から離れないのである。動きのニュアンスで言えばトップロックは「激しい」のに対し、アップロックは「緩い・リラックス」しているという感覚である。
2.3.トップロックコンテストでアップロックをして良いのか問題について
結論、トップロックコンテストでアップロックをすることは、全く問題ないという見解である。アップロックは言い換えると「リラックスしたトップロック」という意味合いに捉えることができる。その理由として、アップロックのステップとトップロックのステップには共通するステップが多く、ほとんど同じである。違いを言うならば、動きのニュアンスの話だけで先ほど前述(2.2.章)した内容のことだけである。先ほどの内容からいうとトップロックを激しく踊らなければならないという決まりは存在しないし、別にリラックスしてトップロックを踏んでもいいのである。それが個々人のトップロックのスタイルだと言えるからである。だからアップロックの動き(リラックスしたトップロック)をブレイキン・トップロックに混ぜることは「問題ない」と本マガジンでは、結論づける。つまり、bboyバトルにもトップロックコンテストにも全然混ぜて良いのである。
3.まとめ
POINT.1
フロアロックとは、言葉の通り「床のロック」であり、ブレイキンのフリーズに近い動きである。
POINT.2
トップロックとアップロックの違いは、「トップロック=ブレイクダンスの立ち踊りのこと」、「アップロック=ダンスのジャンル」である。動きの特徴・ニュアンスでいうとトップロックは「跳ねる」、「激しい」のに対しアップロックは「すり足」、「緩い・リラックス」である。
POINT.3
アップロックはトップロックコンテスト及びブレイキンに混ぜることができる。その理由として、アップロックは「リラックスしたトップロック」と捉えることができるためである。
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