駆け抜けた10年。個性派集団slangでの有意義な時代〜前編〜
slangに入社を決めた思い出
20代前半に上京し、やっと就職出来たACQUAをわずか3年で辞め、翌日入社したサロン『slang』
第一線でヘアメイクをしているクリエイターが経営者のサロンです。
今旬のミュージシャンや俳優さんたちを担当しているパワフルな社長です。
後日、音楽業界のお客様が
「slang社長さんは美容業界では無名かもしれないけれど芸能、特に音楽業界では有名ですよ。」とおっしゃっていたのを覚えています。
当時は原宿店と恵比寿アトリエ店、花小金井店(小平市)の3店舗ありました。(現在は原宿店と花小金井店の2店舗)
サロン見学の時点で、個性達がひしめき合っていて、なんじゃココ!!という印象でした。
初めて原宿店に伺った際、サロン営業終了後に待合で待っていたら、
スタッフから「飲む?」と言ってテキーラが出てくる。笑
え?営業後とはいえ…ですよね?
花小金井店の営業中にお邪魔した際も、店長が黄色のサンバイザーをして(派手!)カットしているし、他のスタイリストも皆個性的で元気!
そして店内のインテリアは私好みのミッドセンチュリーで、カリモクやらイームズやらで構成されていてお洒落…
そして最先端のバックシャンプー。
天井も高くてバリアフリー。
郊外とはいえ、高レベルの空間、そして雰囲気もいいな、と一瞬で惹かれました。
印象としてはクレイジー!アウトロー!
実は原宿店希望でサロン見学をお願いしたのですが、新しく移転オープンしたばかりの花小金井店でスタイリストを募集しているので是非見学だけでもしてほしいと言われて、しぶしぶ見に行ったのでした。
見るだけ見て原宿店勤務が無理なら断ろうと思っていました。
ところがどっこい、素敵なサロン。
とても悩みましたが、社長に「原宿店に転勤希望を出し続ける形で入社をお願い出来ますか?」と伝えました。
そして、「前のサロンではアシスタントで辞めています。アシスタントからのスタートになりますか?」と尋ねると「地元で立派にスタイリストやっていたんだからスタイリストとしてお願いするに決まってるよ!ヨロシクちゃん。」みたいな感じで(まぁ、こんな感じだったと思います、笑。)男気溢れるお返事をいただきました。ありがたいことです。
当時は代々木に住んでいたので花小金井店まで片道1時間…
まぁまぁ遠いのですが、都心に住み続けないと流行を吸収しづらくなりそうだし、原宿へ帰って来られなくなりそう、と考え、都心から郊外へ通うことにしました。
実質東京スタイリストデビュー
ありがたいことにslang花小金井店は連日御新規様が沢山ご来店くださる繁盛店で、
初日から沢山のお客様を担当させていただきました。
顧客はゼロだったのですが、友人とACQUAの同期が数名、気を遣ってカットしに来てくれました。郊外まで!励みになりました。
初月、ほぼ御新規のお客様だけで100万円売上!あまり売上のことは口にしたくないのですが初月にほぼ御新規様だけでこの数字というのは、slangがどれだけ凄いのか、社長をはじめ店長がどれだけ信頼してくれたのかを表す数字だと思います。ありがたかった。
花小金井という街は私の地元、愛知県春日井市にとても似ていて過ごしやすい街でした。
スタッフに恵まれました。団結力!
とにかく社長含めスタッフが受け入れてくれたことが嬉しかったです。
後輩にも恵まれました。
今でも付き合いがありますが、想いをはっきり発言し、前向きでかわいい後輩たちとは当時、頻繁に食事やライブ、夏は海に遊びに行ったりしていました。
ヘアーショーも頻繁ではありませんでしたが
年1回くらいありました。
ヘアーショーの内容はスタッフみんなで話し合うのですが、大抵最終的には社長の案に賛同する形になりました。
社長の奇抜で斬新なアイデアが面白く、聞いているだけで楽しくてワクワクし、最後にはそれ!やりたいです!ってなるのでした。
ある年のヘアーショーでは、
モデルをマネキンにしてマネキンに髪の毛で作った服を着せました。
マネキンは3体用意し、チームも3チーム。
それぞれの服をそれぞれのチームが作る。
まずはマネキン工場にアポを取って見学し、イメージに合うマネキンを選ぶ所から始まりました。
その後、スタイル(ヘアスタイルではなく服のデザイン)を決めていく。
チーム1はピンクの髪を細く三つ編みし網タイツに。ちょっとセクシーな衣装でした。まず髪の毛の束をピンクに染めていくことからスタート。網タイツの三つ編みが太くて編み直しては調整する、の繰り返し…根気のいる作業でした。
チーム2はロングのストレートヘアのワンピースで、ショー当日に表面をカットすると内側から違った色が出てくる仕組み。
超ロングの髪の暖簾のような束を調達し、切ったら3色のグラデーションになるように計算して綺麗に染め、それをストレートアイロンで綺麗に整えておく。
当日のカットが決め手!の緊張感漂うスタイルです。
チーム3はウエディングドレス風な、後ろを引きずるタイプのロングドレスです。白に近い金髪の髪の束をひたすら三つ編みしてほぐして羽のようにして重ねていきました。
書けば簡単ですが準備が大変で、当日までの間とにかく時間に追われる日々でした。
手が空いたスタッフは常に毛束を三つ編みする日々。最終的にはチーム関係なく全員で毎日毎日三つ編み。
ショーまでのラスト1週間は始発までひたすら三つ編み。夜中じゅう編み続けました。
ナチュラルハイで、「午前様」という歌を作り歌いながら眠気を吹き飛ばしていました。笑
始発で帰宅してシャワーを浴びたらすぐ出勤。
若かったです。
月1回の社長直々のメイクレッスン、作品撮りやドライカットなどなど…
学び、吸収し、とても充実した日々を過ごしていました。
つづく…